■米中通商協議のヘッドラインで乱高下
米中の通商協議では、米WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)や英FT(フィナンシャル・タイムズ)が、「合意に向けての協議が難航している」と報じたこともあり、米ドル/円は108.23円まで下がりました。
ただ、クドローNEC(米国家経済会議)委員長が「合意は近い」と発言したこと、週末(11月16日)に米中閣僚級電話協議が行われ、「建設的な協議が行われている」と報じられたことなどもあって、109.07円まで上昇しました。
その後に、米CNBCが米中の通商合意を巡り、悲観的なムードになっていると報じたことで、再度、108.51円まで下がっています。
米中の通商協議に関するヘッドラインで乱高下していますが、米ドル/円は108円~109.50円での推移が続いています。
【参考記事】
●悲観が底を打ってリスクを取れる環境へ! 米ドル/円の押し目買いが基本戦略に!(11月12日、バカラ村)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
■米ドル/円はレンジ継続か
米株式市場で主要3指数が最高値を更新していることから、米ドル/円も上昇を期待したいところですが、米ドル/円は米長期金利との相関の方が強く出ています。
【参考記事】
●米ドル/円の下げは限定的か。リスクオン継続の中、豪ドル/米ドルの200日線に注目!(11月5日、バカラ村)
●主要クロス円の反落は押し目買いの好機。NYダウのバブルは3万ドルを超えてから!(11月15日、陳満咲杜)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
米長期金利は、しばらくFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げも利上げもないことから動きにくく、米ドル/円の動きも、期待できない状態です。
さらに、オプションの影響もあって、少なくとも今週(11月18日~)は、このレンジ内(108円~109.50円)での推移が続くものと考えています。
(出所:TradingView)
■英ポンドは10月のレンジ上限へ上昇したが…
市場の注目は、米中の通商協議とブレグジット(英国のEU離脱)ですが、ブレグジットの方では、ブレグジット党が12月12日(木)の総選挙で、保守党の候補者が立候補する選挙区では出馬を見送ることを示唆しました。これでEU(欧州連合)から離脱できる可能性が高まるため、英ポンドは上昇しました。
さらに、ジョンソン英首相が、「総選挙で当選した場合は離脱合意案に賛成する、との誓約書に保守党の立候補者全員がサインした」と述べたと報じられ、英ポンドはさらに上昇しました。
ただ、英ポンド/米ドルや英ポンド/円は、10月のレンジ上限まで上昇したものの、ブレイクするにはまだ、至っていません。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
合意なき離脱の可能性は、ほとんどない状況になっていることもあって、英ポンドが下がるとは考えにくくなっていますが、総選挙を前に、上昇トレンド再開というような状況にも、なりきれない動きが続いています。
■英ポンドは買い目線の参加者が増えて上昇しにくい
ロイターによると、モルガン・スタンレーがレポートで、「来年(2020年)の10大トレード」のひとつとして、英ポンド/米ドルの買い推奨をしており、「第1四半期までに秩序だった離脱プロセスが明確になって急上昇する」として、1.40ドルを予測しているようです。
【参考記事】
●利下げほぼ確実…米株はバブルの可能性!? 英ポンド/米ドルは1.40ドルがターゲット?(10月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
英ポンドに対して、買い目線の参加者も多くなってきたことから、上昇しにくくなっているとも言えます。
■今の英ポンド/米ドルはエリオット波動の4波動目
テクニカルからは、英ポンド/米ドルの日足は現在、エリオット波動の4波動目だと考えています。
1波動目のスタートは、9月3日(火)の1.1958ドルで、623pips上昇しています。
2波動目は、価格調整となりやすいのですが、1波動目の61.8%戻しの水準で、ピタリと下げ止まりました。
3波動目は、一番強い上昇となりやすく、10月21日(月)の高値1.3012ドルまで急騰しています。
4波動目は、時間調整になりやすく、今はまさに、その動きとなっています。
(出所:TradingView)
■教科書的には1.13ドル台への上昇か
このあと、5波動目となりますが、上昇を再開すれば、教科書的には5波動目の値幅は1波動目と同じになりやすいことから、623pipsの上昇幅が期待できます。
まだ、4波動目が続いているため、スタートの安値が確定したと言い切れませんが、ここから大きく下がるとは考えにくいため、5波動目のターゲットとしては1.33ドル台への上昇が、テクニカル的には期待できる状況になっています。
(出所:TradingView)
まだ材料に乏しい状況のため、時間調整が続いており、市場参加者が英ポンド買いにも傾きつつあって、英ポンドは動きが出てきていません。しかし、材料が出てくれば、エリオット波動的には、最後の5波動目が期待できる状況だと考えています。
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