■保守党の単独過半数シナリオで英ポンドはどう動く?
本稿執筆時点(12月11日)では、英総選挙の結果が出ていないので、まず、もっとも可能性が高い保守党が単独過半数を取った場合のシナリオで進めていきます。
注目の英総選挙の投票締め切りが、日本時間12月13日(金)の午前7時。
そのため、選挙結果が判明するのが、日本時間13日(金)の午前中ということになります。
まず、注目は、投票が締め切られたと同時に発表される予定の出口調査。英国の出口調査は、日本同様、正確性が高いので注目です。
保守党が単独過半数を取った場合、2020年1月31日(金)までに英国はEU(欧州連合)から離脱することになります(マジョリティーが30議席、もしくは40議席あればなお可ですが、30議席未満でもブレグジットの執行には影響ありません)。
この場合、英ポンド/米ドルは1.3500ドル、そして1.4000ドルへと続伸する可能性が高まります。
ただ、保守党が、ぎりぎり勝利した場合は、セル・ザ・ファクトが優勢になり、いったん英ポンド/米ドルは値を下げる可能性も。
(出所:TradingView)
次に、保守党が過半数を獲得できず、再国民投票を推進する勢力(労働党、自由民主党、スコットランド国民党、緑の党、ウェールズ党、無所属(TIG)など)が過半数を獲得した場合。
戦略的な投票(Tactical Vote)(※)が、どこまで趨勢を動かすかは、実際の投票結果を見るまでなんとも言えないのですが、選挙区の中には、わずか数%の票差で結果が動く可能性があるところもかなりあるため、この可能性も想定しておかなければいけないようです。
(※今回の英総選挙が実施される650ある選挙区の中で、それぞれ1名しか当選者を出さない小選挙区制では「死に票」が多く、大政党が圧倒的に有利といえます。そうした中、今回、接戦が予想される選挙区で、保守党候補の当選を食い止めるために戦略的な投票(たとえば、自由民主党支持者が、あえて労働党候補に投票すること)を呼び掛ける運動が広がっています)
この場合、少なくとも短期的には不透明感が高まるため英ポンド売り。
ただ、EU残留の可能性が残るため、中期では英ポンド買いでしょうか。
■英ポンドは1.31ドル台半ばの明確なブレイクがカギに
ここで、英ポンド/米ドルの週足をチェックしてみます。
英ポンド/米ドルは、200週移動平均線が1.3109ドルに位置していることに加え、2014年7月15日の高値である、1.7191ドルからのレジスタントが1.3164ドルに位置しており、1.31ドル台ミドルが明確にブレイクできるかどうかが重要になってきます。
(出所:TradingView)
仮に、このレベルをクリアに抜いてくれば、1.37~1.38ドル台への上昇の可能性が高まります。
メインシナリオは保守党が単独で過半数を獲得する、そしてできれば、マジョリティーが30議席以上あれば、英ポンド/米ドルは続伸。
しかし前述のように、12月11日(水)早朝のYouGovの発表では、保守党の獲得予想議席が339と、前回よりも20議席少ない結果となっていることで、選挙情勢が最終盤で厳しさを増したことを意味していること、さらには英国の世論調査の結果は、あまり当てにならないことが多いため、繰り返しになりますが、英選挙にむけて、あまりシナリオを固定せず望みたいところ。
今年(2019年)最後のビッグイベントとなる英国の総選挙、そして英ポンド/米ドルの行方に注目です。
【参考記事】
●どうなる? 12月12日英総選挙。6つの予想シナリオから英ポンドの動きを大予測!(松崎美子)
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