■米国でのコロナウイルス感染で空気が一変!
中国の新型コロナウイルスでリスクオフとなっています。
アジアのローカルニュースだったコロナウイルスに市場が注目し始めたのは、米国で初めて感染者が確認された1月21日(火)。
それまでは無反応だったNYダウが下げています。
(出所:Bloomberg)
金曜日(1月24日)のNYダウを見ると、前日(1月23日)の陽線をすっぽり包み込んだ長い陰線。
教科書的には下落トレンドへの転換を示唆する足型ですね。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●ローソク足の並び・「二本足」【前編】1本より確実!? こんな並びには要注意!
(出所:Bloomberg)
今日(1月27日)の日経平均も、一時500円超安。中国は春節で休場ですが、先物市場は、やはり急落。
中国発のパンデミックリスクが、一躍、市場のテーマとなっています。
(出所:Bloomberg)
先週(1月20日~)時点では500人にも満たなかった感染者は、今朝(1月27日朝)時点で2755人。
中国は海外への団体旅行を禁止し、武漢は事実上の封鎖状態。
日本の外務省も、武漢のある湖北省への渡航禁止を勧告しています。
人・モノの移動が制限されると、景気への影響も出てきますね。
【#感染症 対策】#新型コロナウイルス の発生について、感染症危険レベルが引き上げられた地域があります。中国 #湖北省 全域 に関して、レベル3(渡航は止めてください(渡航中止勧告))となっています。
— 首相官邸(災害・危機管理情報) (@Kantei_Saigai) January 24, 2020
詳細はこちらをご確認ください。https://t.co/BRY4ouZdmE
■原油や「炭鉱のカナリア」と呼ばれる銅も総崩れ
コロナ騒動が個人消費を冷え込ませることは、たしかでしょう。
中国経済は、個人消費が牽引する構造へと代わりつつあるため、影響は小さくありません。
今後の景気減速を織り込んでいるのか、WTI原油も急落しています。
(出所:Bloomberg)
NY銅も9%近く急落していますね。
(出所:Bloomberg)
銅は「炭鉱のカナリア」と呼ばれる景気の先行指標ですし、同じく先行指標とされるバルチック海運指数は昨年(2019年)末からすでに急落し始めていました。
反対に安全資産とされるゴールドや米国債には資金が流入しています。
【参考記事】
●「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!(2018年10月11日、西原宏一)
●炭鉱のカナリアが米国株急落を再度警告! 2019年の米ドル/円は105円台に下落か(2018年12月20日、西原宏一)
イラクの米大使館にロケット弾が撃ち込まれる事件もありましたし、こうした動きを見ると、リスクオフの要因がそろっていますね。
中国は発生当初、情報を統制していたとされ、それも混乱を大きくしたようです。
武漢には中国最大規模のウイルス研究所があるため、生物兵器の流出説も出ていますね。陰謀論めいていますが……。
思い出すのは、2002年から2003年にかけてのSARS(重症急性呼吸器症候群)騒動。
当時、僕はシンガポールの銀行にいましたが、国外への渡航禁止はもちろん、空港への接近すら禁止。
高級ホテルさえも大幅なディスカウントを行い、景気が冷え込みました。
■バランスシート拡大に陰り。FOMCの焦点に
コロナウイルスも気になりますが、今週(1月27日~)は1月29日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)、1月30日(木)にはBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の結果発表が控えています。
FOMCは現状維持でしょうが、気になるのは隠れQE(量的緩和)ですね。
株式市場を下支えしてきたFRB(米連邦準備制度理事会)の資産買い入れですが、このところバランスシート拡大の勢いに陰りが見られます。
隠れQEの目的は短期金融市場の安定ですから、短期金利が正常ならばやる必要がない、ということなのでしょうが……。
実際の目的は株価対策もあるのでしょうが、それはともかく、4-6月期までは継続するとしていた隠れQEの打ち切りについて、パウエルFRB議長から何らかの発言があれば株価への影響は出てくるでしょう。
FRBが4-6月期まで継続するとしていた隠れQEの打ち切りについて、1月29日(水)のFOMCでパウエルFRB議長から何らかの発言があれば、株価への影響が出てくると西原氏は見ている (C)Bloomberg/Getty Images News
■ブレグジット実現へ。BOEのサプライズ利下げはあるか
BOEはいかがですか。
強い英経済指標が続いて、利下げの織り込み度が低下しているようですが。
【参考記事】
●米国株を「買わない理由」はない!? 株高追い風に豪ドル/円は押し目買い!(1月20日、西原宏一&大橋ひろこ)
今のところ、織り込み度は50%ほど。
利下げすればサプライズですが、金利がアンカーとなってトレンドが発生するようなイメージはありません。
また、1月31日(金)をもってようやくブレグジット(Brexit)が実現。EU(欧州連合)や米国との通商協議に焦点が移ります。
今週(1月27日~)の戦略は、どう考えますか?
リスクオフですから、教科書的には豪ドル売りなのですが、今朝(1月27日朝)もそれほど売られていません。
リスクオフと豪ドル安の相関性が、徐々に薄れてきているようです。
ただ、銅や原油などのコモディティが売られているため豪ドルの上値が限定的であることはたしか。
今回はチャートの形状も考慮して、先週(1月20日~)から米ドル/円のショートを選択しています。
110円には米ドル売り遅れ組のオーダーも並んでいるようで、上値は重いのでしょう。
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)