■いったん動いたら10円程度では済まない?
もっとも、本コラムで指摘したように、米ドル/円は今年(2020年)、動いてくれるはずだ。
【参考記事】
●2020年は相場が動く! ドル/円は1月中にも111円へ。でも円高ならターゲットは90円!?(1月17日、陳満咲杜)
なぜなら、一昨年(2018年)の10円程度の変動幅に続き、昨年(2019年)の8円程度の変動幅は史上最低記録なので、3年連続で低い変動幅に留まるよりも、今年(2020年)はその反動で動いてくれる可能性が大きいと考えるからだ。
【参考記事】
●ザイFX!で2019年を振り返ろう!(1)大暴落後は動かない、動かない、動かない
●平成2年=バブル崩壊。令和2年は? 動かなかった米ドル/円、2020年は動くか?
ゆえに、円安にしても、円高にしても、いったん動いたら、その変動幅は10円程度では済まないだろう。
となると、仮に1月8日安値の107.64円前後が今年(2020年)の安値であれば、例年の変動幅の中間値である15円程度で考えると、円安方向に行くなら今年(2020年)、120円の大台乗せが達成可能だろう。
半面、仮に1月17日高値の110.30円前後をもってすでにピークアウトを果たしたのであれば、95円ぐらいになるだろう。
■いろいろな危機が浮上しても円高は限定的だった
そもそも、2015年高値から2019年年初のフラッシュ・クラッシュまでだいぶ時間(158週間)をかけて大型トライアングル状の保ち合いを形成してきたから、本来、昨年(2019年)1月安値からすでに大幅なトレンドの進行があってもおかしくなかった。
しかし、周知のように、米中貿易戦争や英EU(欧州連合)離脱問題などリスク要素の浮上で再度波乱となり、結果的に保ち合いは延長された。
が、やはり限度があるから、今年(2020年)はその反動でトレンドを推進してくれるかとみる。
そして、なにより重要なのは、いろいろな危機が浮上してきたが、結果的に円高の方向にもって行かれなかったということだ。これが肝心なことであり、円安予測の根幹ともいえる。
要するに、相場の内部構造が円高ではなく、円安を示しているから、何かあっても円高が制限され、逆にいったん危機が収まると、これから円安の方向に大きくシフトしていくと推測される。
■円高にいくなら、90円ぐらいを覚悟しなければ…
さらに、一般論として円高は大きなリスクオフを伴うから、何らかのショッキングな材料の浮上で急速な円高が進む場合は、リスクオンの円安よりそのスピードが速い上、往々にして「オーバーシュート」の現象が起こる習性がある。
となると、やはり例年の変動幅の中間値である15円程度ではなく、動くとされる20円以上の値幅を達成する可能性が高いから、円高方向にいくなら、90円ぐらいを覚悟しなければならないだろう。
一部銀行系アナリストたちの100円程度の円高予想はとっても「甘い」と感じる所以である。相場における甘い見通しは往々にして正しくない、といった個人的な経験則もある。
■米国株も日本株もブル基調。米ドル/円も近々高値更新か
最後に、米ドル/円に比べ、米国株や日経平均のほうが今回の新型肺炎の件で「得している」とみる。
米国株も日本株もブル基調に変調なし、米ドル/円はなおレンジの範囲内に止まっているが、近々再度の高値更新を果たすだろう。
日常生活においては、新型肺炎のリスクに気をつけたいが、マーケットにおいて杞憂は要らない。市況はいかに。
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