■金融市場は「極めて痛みを伴う環境」を先取りしている
では、どの通貨を売ればいいのか?
前述のように、グローバルマーケットの中で、現在、「炭鉱のカナリア」(有毒ガスなどの発生を察知すると、鳴き声が止むとされる)的な動きをするのは豪ドル/米ドルになります。
3月19日(木)に、0.5510ドルというボトムをつけた豪ドル/米ドルは、急速に値を戻し、3月31日(火)には、一時0.6214ドルまで高騰。わずかな営業日の間に、豪ドル/米ドルは700pips急騰しました。
(出所:Bloomberg)
4月に入り、NYダウが反落すると、豪ドル/米ドルも0.60ドル台に値を下げています。NYダウを筆頭とした米国株が反落した要因とされているのが、トランプ大統領の下記のコメント。
これから2週間は「痛みを伴う」厳しい状況、死者10万人超を予想 米大統領
米国のトランプ大統領は31日、ホワイトハウスで記者会見し、新型コロナウイルスによる米国の死者は10万人を超え、最大で24万人に達する可能性もあるとの見通しを明らかにした。
出所:CNN
世界の大都市の多くは、NY市を筆頭にロックダウン(都市封鎖)しているところが多く、トランプ大統領のコメントのように、今後、「極めて痛みを伴う」環境が続きそうです。
ただ、そうした状況を金融市場が先取りし、織り込んだ結果、NYダウは1万ドルもの暴落を演じたともいえます。
(出所:Bloomberg)
このように悲観的な状況を、金融市場が、ある程度、織り込んだと仮定すれば、CP市場の改善が示すように、米国株の下落余地は限られ、反発余地のほうが大きくなっているのではないでしょうか?
■豪ドル/米ドルは上値余地が拡大していると想定
同様に「炭鉱のカナリア」的な意味を持つと考えている豪ドル/米ドルの下落余地も限定的であり、上値余地が拡大していると想定しています。
【参考記事】
●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
米国株を取り巻く環境は、まだ極めて不安定ではありますが、CP市場が示すように環境は徐々に好転。
呼応して、0.55ドル台でボトムアウトし、上値余地が大きく拡大している豪ドル/米ドルの行方に注目です。
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