■米ドル不足を背景に急騰したドルインデックスが急反落
みなさん、こんにちは。
新型コロナウイルスの金融市場への影響は甚大であり、株、商品、通貨市場のボラティリティは極めて高いままです。
まず、金融市場の安定性を探るため、米ドルの状況をチェックしてみましょう。以下は、ドルインデックスの日足チャートになります。

(出所:Bloomberg)
米ドル不足を背景に急騰したドルインデックスですが、3月20日(金)に102.99まで到達後、急反落しています。
対主要通貨でも、米ドルは同じくらいの時期に高値に到達。
ユーロ/米ドルが1.0636ドルの安値に到達したのが3月23日(月)、米ドル/円が111.72円に急騰したのが3月24日(火)、英ポンド/米ドルが1.1412ドルの安値に到達したのが3月20日(金)でした。
そして、豪ドル/米ドルが0.5510ドルの安値に到達したのが3月19日(木)となります。

(出所:Bloomberg)
個人的には、豪ドル/米ドルの動向は、主要通貨のリーディングカレンシー的な側面もあると考えています。今回も、豪ドル/米ドルは、米ドルの高値に到達するのが、もっとも早かったといえます。
■CP市場の極端な米ドル不足は改善傾向
視点を変えて、極端な米ドル不足が解消したのかどうかをCP(※)市場の状況から探ってみます。
(※編集部注:CP(コマーシャルペーパー)とは、企業が短期資金の調達の為に発行する無担保の約束手形のこと。企業は公開市場で割引形式で発行する)
以下は、以前ご紹介させていただいた3カ月物のCPと同じ期間の米短期金利のスプレッド。
【参考記事】
●FRBが流動性供給策導入も、米ドルの需給逼迫は継続! 株安でも米ドル/円は上昇か(3月19日、西原宏一)

(出所:Bloomberg)
こちらをご覧いただくと、改善傾向にあることがわかります。これは、CP市場も極端な米ドル不足が解消されつつあることを意味します。
つまり、銀行と企業間の血流の目詰まりが解消され、パニックは徐々におさまってきていることを示しています。
結果、株の暴落もいったん沈静化。
米ドルの急騰もおさまり、徐々に米ドル安に戻っているといえます。
■金融市場は「極めて痛みを伴う環境」を先取りしている
では、どの通貨を売ればいいのか?
前述のように、グローバルマーケットの中で、現在、「炭鉱のカナリア」(有毒ガスなどの発生を察知すると、鳴き声が止むとされる)的な動きをするのは豪ドル/米ドルになります。
3月19日(木)に、0.5510ドルというボトムをつけた豪ドル/米ドルは、急速に値を戻し、3月31日(火)には、一時0.6214ドルまで高騰。わずかな営業日の間に、豪ドル/米ドルは700pips急騰しました。

(出所:Bloomberg)
4月に入り、NYダウが反落すると、豪ドル/米ドルも0.60ドル台に値を下げています。NYダウを筆頭とした米国株が反落した要因とされているのが、トランプ大統領の下記のコメント。
これから2週間は「痛みを伴う」厳しい状況、死者10万人超を予想 米大統領
米国のトランプ大統領は31日、ホワイトハウスで記者会見し、新型コロナウイルスによる米国の死者は10万人を超え、最大で24万人に達する可能性もあるとの見通しを明らかにした。
出所:CNN
世界の大都市の多くは、NY市を筆頭にロックダウン(都市封鎖)しているところが多く、トランプ大統領のコメントのように、今後、「極めて痛みを伴う」環境が続きそうです。
ただ、そうした状況を金融市場が先取りし、織り込んだ結果、NYダウは1万ドルもの暴落を演じたともいえます。

(出所:Bloomberg)
このように悲観的な状況を、金融市場が、ある程度、織り込んだと仮定すれば、CP市場の改善が示すように、米国株の下落余地は限られ、反発余地のほうが大きくなっているのではないでしょうか?
■豪ドル/米ドルは上値余地が拡大していると想定
同様に「炭鉱のカナリア」的な意味を持つと考えている豪ドル/米ドルの下落余地も限定的であり、上値余地が拡大していると想定しています。
【参考記事】
●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)

(出所:Bloomberg)
米国株を取り巻く環境は、まだ極めて不安定ではありますが、CP市場が示すように環境は徐々に好転。
呼応して、0.55ドル台でボトムアウトし、上値余地が大きく拡大している豪ドル/米ドルの行方に注目です。
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