■新型コロナウイルスの感染者は70万人超え
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、世界の感染者数は70万人を超えてきました。最近では、毎日、感染者が1割ずつ増えており、感染が加速している状況です。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、世界の感染者数が70万人を超えたと報じられており、世界保健機関の3月30日時点のデータでも、感染者数が70万人に迫っている
(出所:世界保健機関)
感染を抑え込もうと、封鎖をしている国もありますが、感染が拡大している状況では、その封鎖を解くメドも経たない状態です。
そうなると、経済への悪影響が続くことになります。
■雇用統計悪化予想も材料にはなりにくいか
米国も、行動制限を4月末まで延長することを決めました。
先週(3月23日~)発表された、米国の新規失業保険申請件数は328万人と、かなり悪い数字が出てきました。
4月3日(金)には、米雇用統計の発表もあります。
市場では、失業率は3.8%、非農業部門雇用者数はマイナス10万人が予想されていますが、ネガティブサプライズとなっても、市場参加者は「やっぱり」となるため、金融市場への材料にはならないと思います。
良かったとしても、新型コロナウイルスの感染拡大が収まっていないこともあり、その場合も材料になりにくいと思います。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●ADP全国雇用者数と新規失業保険申請件数。2つのデータが米雇用統計のカギを握る!?
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■可能な限りの対応策実施で一相場が終了
実体経済が悪化していくこともあり、米国は過去最大となる2兆ドル規模の財政政策を発表しました。
米国では過去最大となる2兆ドル規模の経済対策法案が可決され、トランプ大統領が署名した (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
3月23日(月)には、FRB(米連邦準備制度理事会)が無制限の量的緩和実施を発表したこともあり、株式市場はいったん、下げ止まりました。
(出所:Trading View)
為替市場では、米ドルへの現金化の動きも落ち着いています。
【参考記事】
●FRBが無制限の量的緩和をしてもまだドル高。ドル安に反転してくるのはいつか?(3月24日、バカラ村)
●FRBが全力で信用収縮を阻止しているから、リスクオフの換金売りは続かない!(3月27日、 陳満咲杜)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
できる限りの対応をしたこともあって、一相場がいったん、終わっています。
■期末の動きは本流とは別。今後は米ドル安か
本日(3月31日)は、期末になります。
金融ショックが起きたときの期末は、機関投資家のリバランスが、大きく出てくる可能性があります。
東京市場に関しては、日経平均や米ドル/円は、底堅くなる可能性はあります。しかし、その後のリバランスで、一時的に乱高下する動きが考えられるため、今日(3月31日)の動きに関しては、本流とは別の動きと考えるべきかと思います。
株式市場の急落も、財政政策や金融政策で、いったん下げ止まり。為替市場は、FRBによる無制限の量的緩和の影響もあって、FRBのバランスシートも5兆ドルを突破しており、米ドル安に推移するのではないかと思います。
■ユーロ/米ドルと米ドル/円はどうなる?
ユーロ/米ドルに関しては、ECB(欧州中央銀行)が、国債購入プログラムOMT(アウトライト・マネタリー・トランザクション)を通じて、無制限に国債を買い入れる可能性があります。これは、ユーロ安の材料になるため、ユーロ/米ドルでは米ドル安の方が強いと思いますが、綱引きになると思います。
(出所:Trading View)
米ドル/円に関しては、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、運用資産に占める外債比率を、15%から25%へ引き上げます。
さらに、許容幅を±6%としていることから、最大で外債比率を31%まで引き上げることができます。これは、円安の材料にもなるため、米ドル/円は下げたとしても、勢いが出ないことになります。
(出所:Trading View)
■英ポンド/米ドルに底打ちのパターン確認
英ポンド/米ドルは、長期のサポートである1.20ドルを下抜け、3月20日(金)と25日(水)は、その水準がレジスタンスとなっていましたが、26日(木)に、そこを超えてきました。
サポートがレジスタンスとなり、その後、そこを超えたときは、底打ちしたパターンとなることが多く、英ポンド/米ドルは買い方向で考えています。
(出所:Trading View)
豪ドル/米ドルは、0.60ドルのサポートを下抜けて、0.5510ドル近辺まで下がりましたが、現在は0.61ドル台まで戻ってきました。
まだ、原油価格が軟調なため、資源国通貨の豪ドルも軟調ですが、FRBの無制限量的緩和もあって、米ドル安になると思いますので、豪ドル/米ドルも買いで良いのではないかと考えています。
(出所:Trading View)
FRBの実質ゼロ金利政策や無制限の量的緩和は、米ドル安への材料になるため、新型コロナウイルス相場が落ち着いてきたのであれば、トレードとしては米ドル売りで考えたいと思います。
【参考記事】
●FRBが無制限の量的緩和をしてもまだドル高。ドル安に反転してくるのはいつか?(3月24日、バカラ村)
●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)
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