■米国の雇用情勢が急速に悪化
4月2日(木)に、米国で新規失業保険申請件数が発表されました。
そこでは前週比で664.8万件と、驚くような数字が発表されました。その前の週は330.7万件なので、失業保険を新規で申請した人の数が、2週間で約1000万件になっていることになります。
リーマン・ショック時など、過去の景気後退のときは、徐々に景気が後退していることもあり、これだけの数字にはなりませんでしたが、今回は、急激に経済を停止したことで悪い数字が出てきたものと思います。
そして、4月3日(金)に発表された米3月雇用統計では、非農業部門雇用者数がマイナス70.1万人、失業率は2月の3.5%から、3月は4.4%へ上昇しました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
今回の雇用統計は、米国の多くの地域がロックダウン(都市封鎖)された影響が、まだ出ていないときの数字になりますが、それでもかなり悪い内容になります。
■日本は緊急事態宣言発表へ。経済対策は真水部分に注目
日本では、本日(4月7日)、緊急事態宣言が発表される予定です。
そして、108兆円規模の経済対策もあり、そのうちの真水(直接給付)部分が、どの程度なのかが注目されますが、これが少ないようであれば、日経平均は下がってしまうことになると思います。
【参考記事】
●日本の緊急事態宣言でセル・ザ・ファクトか。豪ドルの瞬間的な急騰は、誤発注だった!?(4月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
●首都封鎖のウワサの中、米ドル/円月足のサインが発した強烈なメッセージとは?(4月3日、陳満咲杜)
(出所:TradingView)
■米国の感染者数拡大は安定化へ
市場参加者が注目している材料としては、新型コロナウイルスの感染者数と、経済への悪影響、そして、逆オイルショックになります。
新型コロナウイルスの感染者数は、先週(3月30日~)までは加速傾向にありましたが、まだ増加はしているものの、加速する増え方ではなくなってきました。
(出所:世界保健機関)
米NY(ニューヨーク)州がロックダウンを行ったのが、2週間前の3月23日(月)ですが、感染後の潜伏期間も2週間ほどと言われていることもあって、ロックダウンの効果で、米国の感染者数拡大は、安定化が始まったものと思います。
また、イタリアやスペインでも、その傾向が出始めているように思います。
■悲観一色から変化。ポジティブな報道も
ただし、ピークは付けたことになりますが、ロックダウンを解除することはまだできず、経済は停止したままになります。
これが長くなるほど、企業の倒産リスクが高まってくることになります。
ただ、目先は感染拡大のスピードが安定したこともあって、株式市場はこれを好感し、反発してきています。
(出所:TradingView)
中国の武漢に関しては、封鎖を4月8日(水)に解除する見通しとなっています。
これまでは、悲観的な報道しかありませんでしたが、ここにきて、少し良い内容が出てきていることになります。
【参考記事】
●長期目線で株は二度とない絶好の買い場! でも、為替相場は短期のトレンド狙いで!(4月2日、今井雅人)
■今週前半は、リスク回避になりにくいか
原油価格は急落していましたが、4月2日(木)にトランプ大統領が、「サウジアラビアとロシアが、産油量を最大で日量1000~1500万バレル削減すると予想している」と発言。
Just spoke to my friend MBS (Crown Prince) of Saudi Arabia, who spoke with President Putin of Russia, & I expect & hope that they will be cutting back approximately 10 Million Barrels, and maybe substantially more which, if it happens, will be GREAT for the oil & gas industry!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) April 2, 2020
4月3日(金)には、OPECプラス(※)が、日量1000万バレルの減産に向けて協議すると報道され、原油価格は上昇しています。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
(出所:TradingView)
OPECプラスの協議は4月9日(木)に開催される予定で、ここで合意できるのかはわかりませんが、それまでは合意への思惑・期待が出てくるので、今週(4月6日~)前半は、リスク回避にはなりにくいと思います。
■コロナウイルス相場が終われば米ドル安へ
今週(4月6日~)に関しては、NY州のロックダウンから2週間経ったこともあり、今後は感染者数が横ばい、もしくは安定的に推移するため、リスク回避にはなりにくいでしょう。OPECプラスへの期待もあって、加ドル/円の上昇に期待したいところです。
(出所:TradingView)
ただし、景気の悪化は、これから。株式市場もまだ、戻り局面に過ぎないと考えています。
コロナウイルス相場が終われば、各国の低金利政策や、FRB(米連邦準備制度理事会)の無制限量的緩和もあって、資金の行き場は、株式市場になると考えています。
為替市場に関しては、各国が行っている政策は通貨安となるため、判断が難しいですが、FRBによる無制限の量的緩和は、米ドル安へ作用するのではないかと考えています。
【参考記事】
●コロナ相場が落ち着いてくれば米ドル安へ。英ポンド/米ドルに底打ちのパターン確認!(3月31日、バカラ村)
●FRBが無制限の量的緩和をしてもまだドル高。ドル安に反転してくるのはいつか?(3月24日、バカラ村)
今週(4月6日~)に関しては、リスク回避の後退から、戻り局面としてクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の買いが良いのではないかと考えていますが、大きな流れとしては、まだ、株式市場は下がるときがくると思います。そのときは、為替市場では現金化としての米ドル買いが起きると考えています。
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