■トランプ大統領の劣勢が、香港問題にも影響
このような環境下、6月30日(火)に中国政府が驚きの発表をします。
それは……「香港国家安全維持法」の施行。
これにより、「一国二制度」は終焉。
先月(6月)初旬までのマーケットのコンセンサスは、仮に米中貿易戦争が加速したとしても、米国との対立が鮮明とならないように、中国は「香港の一国二制度」は守るというものでした。
それが、6月30日(火)にあっさり崩された格好。
この中国の決断の要因のひとつに、トランプ大統領の再選の可能性が大きく後退したからだとするコメントも目立ちます。
香港国家安全維持法の施行は、トランプ大統領の再選の可能性が大きく後退したからだというコメントも目立つという。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
こうした香港問題も、米大統領選が絡んでいるのではないかという意見が多いことにも驚かされます。
ともあれ、近いうちに米国が対中制裁を発表することが予想されます。
【参考記事】
●米ドル/円の戻りを慎重に売っていきたい。株価下落のトリガーは香港めぐる米中対立か(7月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
■米国株調整間近か。米ドル/円は戻り売りで臨む
米中冷戦のスタートともいえる混乱は、株にとってネガティブ。
マーケット参加者の中でも、現在の米国株高に懸念を示す銀行も。
たとえば、シティグループ.
ブルームバーグの報道によれば、シティグループは米国株の上値追いに警告を発した模様。新型コロナウイルスの感染拡大リスクや、市場の企業利益予想が楽観的過ぎるとの懸念が、その理由。米国株が、1年後も現在の水準にとどまると指摘しています。
(出所:Bloomberg)
米国株の調整は、米ドル/円の売り圧力となり、下値余地を拡大させます。
(出所:Bloomberg)
8月17日(月)に開催される、米民主党の公認候補を正式に指名する全国大会まで、あと1カ月と迫ってきました。
トランプ大統領の暴露本同様、バイデン氏への攻撃が加速するのも、今月(7月)からになります。
米中冷戦のスタートに加え、大統領選に向けての米国内政治の混乱。
米ドル/円を支えてきた米国株の上昇が調整すると、米ドル/円の下値も拡大すると考えています。米ドル/円は、戻り売り継続で臨みたいです。
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