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米ドルは状況が落ち着けば下落していく…。
ゼロ金利は5年ぐらい続くのではないか?

2020年07月08日(水)17:40公開 [2020年07月08日(水)17:40更新]

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■米ドルには2つの顔がある

米ドルには2つの顔があります

 1つは、当然ですが米国という国の通貨であること

 もう1つは、国をまたいだ貿易や金融取引に使われる「国際決済通貨」としての側面。要は、基軸通貨であるということです。

 米国は世界最大のGDP(国内総生産)を誇りますが、それでも世界全体の約25%にしか過ぎません。

 しかし、国際貿易や金融取引といった場面では、正確な数字は持っていませんが、7~8割は米ドルで決済されているでしょう。世界各国が持つ外貨準備の約3分の2は米ドルです。

■コロナ以降は「リスクオフの米ドル高」になった

 コロナ以降(正確には2020年3月半ば以降)、為替相場のルールも変わってきました。

かつては、株価暴落といった経済危機の局面では「リスクオフの円高」でしたが、今は「リスクオフの米ドル高」になっています。

【参考記事】
クロス円上昇は豪ドル/円が牽引? 6月高値更新を念頭に中期的には80円台も!(7月3日、陳満咲杜)
「リスクオフの円高」は過去の話と再度証明。「リスクオフの米ドル高」を米ドル/円でも確認(6月26日、陳満咲杜)
円高示唆でも米ドル/円が下落しないワケは? ビッグマック指数では1ドル=68.78円になる!?(6月17日、志摩力男)

 米国株が上昇すると、ユーロ/米ドルが上昇(米ドルが下落)し、米国株が下落するとユーロ/米ドルが下落(米ドルが上昇)します。

NYダウ&ユーロ/米ドル 日足
NYダウ&ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

 こういった時、かつてはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上がったり下がったりしましたが、寂しいことに「円」はそうした対象ではなくなったようです。

■“Cash is King”で米ドルは上昇

 ではなぜ、「リスクオフの米ドル高」となったのか――。

 コロナによる経済危機が顕在化し始めた3月以降、FRB(米連邦準備制度理事会)は大胆な金融緩和策を次々と打ち出しました。

 1.50-1.75%であった政策金利は0.00-0.25%へと1.5%も引き下げられ、事実上、無制限の量的緩和策やジャンク債の購入まで打ち出したのです。

 こうした政策は、米国の通貨という側面を考えると、当然、米ドル売りとならなければなりません。

【参考記事】
FRBはトランプ政権の「無限の財布」になった。市場正常化とともに米ドル下落が始まる(4月15日、志摩力男)

 しかし、経済危機のときには「現金」が必要です。

 コロナ危機以降、“Cash is King(現金は王様だ)という言葉がよく使われましたが、手元に、決済に必要な現金がないと会社は潰れてしまいます。

国際取引の現場における「現金」とは、「国際決済通貨」である米ドルです。

米ドルを必要とする世界中の企業、金融機関が手元に米ドルを必要としました。そのため、米ドルは上昇したわけです。

【参考記事】
利下げにもかかわらずレパトリで米ドル高。弱い商品市況。豪ドルは弱い通貨に逆戻りか(3月18日、志摩力男)

■状況が落ち着けば米ドルは下落していくのではないか

 そうであるならば、コロナによる危機的状況というものが落ち着けば、米ドルを手元に置く必要がなくなるので、米ドルは下落することになります。

 それを簡単に判断する指標が米国株であるので、米国株上昇で米ドル売り、米国株下落で米ドル買いという動きになっています。

 今は米国におけるコロナ感染になかなか歯止めがかからず、「第2波」に対する懸念も強く残っています。そのため、なかなか米ドル下落が進みません。

 しかし、いずれ状況が落ち着けば、3月に行われたFRBによる大胆な金融緩和が浸透し、米ドルは下落していくのではないかと思います。

【参考記事】
現実とマーケットの違いに猛烈な違和感。米マイナス金利導入なら米ドル大暴落も…(5月13日、志摩力男)
FRBはトランプ政権の「無限の財布」になった。市場正常化とともに米ドル下落が始まる(4月15日、志摩力男)

■米国のゼロ金利は少なくとも5年ぐらい続きそう

 前回6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)において、久しぶりに「ドットチャート」が示されましたが、2022年まで、ほぼ全員が現在のゼロ金利が継続すると予想し、驚かされました。

前回6月のFOMCのドットチャート
前回6月のFOMCのドットチャート

(出所:FRB)

 しかし、個人的には米国のゼロ金利はもっと続くと思います。少なくとも、5年ぐらいはゼロ近辺なのではないでしょうか。

 というのも、2006年6月の利上げを最後に、2008年に起こったリーマン・ショックを経て米国が再び利上げに踏み切るまでには、9年半かかっているからです(2015年12月、イエレン前FRB議長時代)

 現在の危機をリーマン・ショックと比較してよいのかわかりませんが、今回も相当の期間ゼロ低金利が続くでしょう。米ドル売り要因になると思います。

 今回のコロナショックと前回のリーマン・ショック、1つ決定的に違うことが…


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志摩力男 (しま・りきお)

慶應義塾大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関にてプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任。その後、香港でマクロヘッジファンドマネージャーを務める。独立後も世界各地のヘッジファンドや有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。

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