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 ギリシャ危機とは、2009年10月のギリシャ政権交代で発覚した問題をきっかけに起こった、ギリシャに対する信用不安と、それに伴って発生したギリシャの一連の経済危機のことを言います。また、ギリシャ危機によって生じた金融市場の混乱は「ギリシャショック」などと呼ばれます。

 ギリシャの信用不安はその後、南欧を中心とした欧州諸国にも波及して、欧州債務危機へとつながっていったほか、ギリシャとの結びつきが強いキプロス共和国でキプロスショックと呼ばれる金融危機を引き起こすなど、ヨーロッパ全体に大きな影響を与えました。

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■危機の発覚から金融支援まで

 ギリシャ危機は、2009年10月のギリシャ総選挙で5年ぶりに政権を奪回したPASOK（全ギリシャ社会主義運動）が、前政権がギリシャの財政赤字を実際よりも少ない規模で公表していたと明らかにしたことから始まります。

 実際のギリシャの財政赤字は、ＥＵ（欧州連合）の安定成長協定にもとづく基準を大幅に上回っており、前政権下で巨額の債務隠蔽が行われていたことが発覚します。これを受けて、大手格付会社が次々とギリシャ国債の格付けを引き下げると、債券市場でギリシャ国債が投げ売り状態となって利回りが暴騰。

 その後、PIIGSと称される、財政状況がそれほど良くない欧州諸国へと信用問題が波及すると、PIIGS諸国の国債を保有していた金融機関に対する信用懸念にも発展し、経済危機が連鎖する欧州債務危機へとつながっていきました。

 危機を封じ込めるため、ＥＵとＩＭＦ（国際通貨基金）を中心とした国際機関はギリシャに対し、2010年5月に総額1100億ユーロ（第一次）、2012年2月には総額1300億ユーロ（第二次）の金融支援を実施します。

 ギリシャには支援の条件として、大幅な緊縮財政策や大規模な民営化の実施が求められたため、ギリシャは国際機関による監視のもとで財政再建をスタートさせることとなり、危機が落ち着いていくことが期待されました。

■反緊縮政権の発足から危機回避まで

 緊縮財政の実施によって、ギリシャの財政状況は少しずつ改善していくものの、その結果、ギリシャの景気は大きく落ち込み、ギリシャ国内では負担の増す国民による反緊縮デモが頻発するようになります。

 こうした状況の中、2015年1月にギリシャ総選挙が行われ、緊縮反対と国際機関との再交渉を公約に掲げた急進左派連合（SYRIZA、シリザ）が勝利し、政権を担うことになります。急進左派連合のチプラス党首（ツィプラスと表記されることも）はギリシャの首相に就任し、この頃、たびたび欧州関連の報道に登場していました。

 そして、緊縮反対を唱える急進左派連合政権と国際機関との関係は悪化し、2016年6月にギリシャが借入金の返済を延滞すると第二次金融支援が打ち切られ、ギリシャの信用懸念が再燃します。

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 2015年7月には、緊縮財政策の受入れの是非を問うギリシャ国民投票が行われ、そこでは反緊縮が圧倒的多数を占めます。しかし、国民投票では、ユーロ圏には留まることが前提となっていたため、ＥＵ側は条件付きの継続支援で合意し、ギリシャ議会が財政改革に関連する法案を可決したことで、最大860億ユーロの第三次支援が決定しました。

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 その後、再びギリシャ政府とＥＵが対立して融資が見送られたため、危機が再発するものの、最終的にはギリシャ議会が改革法案を可決したことで2017年6月に追加融資が認められました。これによって、ギリシャ危機と、ギリシャ危機に端を発した欧州債務危機は、一通り終息したとみなされるようになりました。