■米ドルは下落一服があってもおかしくない時期
とはいえ、米ドル全体の「売られすぎ」の状況自体も鮮明になりつつあり、また深刻化してきたと思う。
6月30日(火)に「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯して以来、途中ほぼスピード調整らしい値動きがなく、一気に92.52まで反落し、500pips超の下落幅を達成したから、下落一服があってもおかしくない時期に来ているかと推測される。
【参考記事】
●短期スパンではしばらく米ドル安が続くが、長期スパンでは米ドル安の最終段階に!(2020年7月17日、陳満咲杜)
(出所:TradingView)
米ドルの対極であるユーロでみるとわかるように、ユーロは今月に入ってからほぼ一直線に急騰、ユーロ/米ドルは2008年高値から引かれたメインレジスタンスゾーンにトライしている。
(出所:TradingView)
このメインレジスタンスゾーンの意味合いを考えると、これを一直線に上回るのは容易ではなく、いったんの頭打ちがあってもおかしくなかろう。
■米ドル全体の下落一服や切り返しは緩やかな基調に留まる
米ドル全体の下落一服、また、切り返しがあれば、以下の2点が推測されるかと思う。1つは緩やかな基調に留まること、もう1つは円の反落がリードすることである。根拠は以下のとおり。
まず、米ドル全体の急落があったからこそ、この急落に対する修正は、何らかの特別な材料がない限り、V字反騰などの急激な値動きにはなれない。
前述のように、「売られすぎ」の状況にあるからこそ、反発があっても限定的で、目先弱いモメンタムに留まる公算が高い。「売られすぎ」とは一方通行の市況だから、何らかの特別な材料なしでは、修正するのも容易ではなく、急速な値動きになりにくいからだ。
次に、米ドルに対して主要外貨が上昇する中で、円の上昇が一番遅れていたから、米ドル全体の下落一服、また反発があれば、ユーロや豪ドルなどの強い外貨に対してよりも、対円のほうが反騰しやすいかと推測される。
実は、このような構図があると、円の素性、すなわち、円がもう「普通の通貨」になっているということや、円高の局面ではないことを証左してくれるから、これからの市況を検証する重要なポイントになってこよう。
いずれにせよ、米ドル全面安であって、円高は今マーケットにおける本流でないことは再確認しておきたいところだ。
詳しい検証はまた次回、市況はいかに。
(執筆時刻 14:00)
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