■ドルインデックスは2018年以来の水準へ低下
米ドル安が、止まりません。米ドルの相対的な強弱を示す、ドルインデックスを見てみると、新型コロナウイルスの感染拡大以降、いったんは米ドルを確保したいという動きが世界的に広がって、103近辺まで上昇しましたが、その後は反落。
6月ぐらいから、米ドルの下落はさらに鮮明となり、直近は93台と、2018年以来の水準にまで低下してきています。
(出所:TradingView)
正直、ここまで米ドルの下落が続くというのは、予想を超えた動きでした。
【参考記事】
●米ドル/円の買い戦略が一番安全! 106円台半ばから下を、しっかり買いたい(7月22日、今井雅人)
●今の米ドル安は理由が不明なまま進行か。ならばやはり、レンジトレードを続けたい!(7月16日、今井雅人)
■米ドル安の背景を考察。米政権への不安感も
そこで、もう一度、米ドル安の背景を整理してみたいと思います。
大きく、4つが考えられます。
1つ目は、米国の新型コロナウイルス感染者数が、世界最大であること。
トランプ米大統領は、コロナ対策で厳しい批判を受けており、今のところ、11月の米大統領選挙に関する世論調査で、民主党の大統領候補に指名されることが確定しているバイデン氏に、大きく負けています。
(出所:RealClearPolitics)
そうした政権への不安感も、米ドル安の原因になっている可能性は、あるかもしれません。
■米ドルのばら撒き政策も、米ドル安要因か
2つ目は、米国の金融政策が、かなり米ドルのばら撒き政策になっているということです。
7月28日(火)~29日(水)に開催された、FOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文の一部を引用すると、
経済の道筋は、ウイルスの行方に著しく左右されるだろう。現在進行中の公衆衛生の危機は短期的に経済活動、雇用、インフレの大きな重石となり、中期的な経済見通しに著しいリスクをもたらすだろう。
こうした状況を踏まえ、委員会はFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標レンジを0~0.25%に維持することを決定した。
委員会は経済が最近の出来事を乗り切り、雇用安定と物価安定の目標を達成する軌道に乗ったと確信するまで、この誘導目標レンジを維持すると予想する。
という内容になっています。
(出所:FRB)
つまり、かなりの覚悟を持って、緩和政策を続けるということです。
■対ユーロでの米ドル安が他通貨にも波及
3つ目は、米国と中国の対立が、総領事館の閉鎖合戦というかたちで激化していることを、嫌気しているということ。
そして4つ目は、欧州サイドの問題です。
先日、EU(欧州連合)首脳会議で、7500億ユーロの復興基金創設に関する合意がなされたことが前向きに評価され、対ユーロで米ドル安・ユーロ高が進行し、そのほかの通貨に対しても、つられて米ドル安が進みました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
まあ、どれも、それっぽいと言えばそれっぽいのですが、ここまでの米ドル安をもたらす要因になるとは、どうも思えませんでした。
【参考記事】
●米ドル安となる環境が完璧に整いつつある! 大統領再選には、対中国強硬姿勢しかない(7月29日、志摩力男)
●米ドル安の材料豊富で短期的には過熱感も。戻り局面に注意だが長期的な米ドル安は継続(7月28日、バカラ村)
さて、そこで今後ですが、正直に言って…
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