■米ドル/円は、日米金利差の変化をまだ織り込んでいない
しかし、私は先週(7月27日~)と違い、次の米ドル/円の下落局面では、104.00円がブレイクしてしまう可能性が高いのではないか(?)と想定しています。
その理由はまず、米金利の低下。以下は、米2年国債の利回りです。
(出所:Bloomberg)
本稿執筆時点での米2年物国債の利回りは、0.11%レベルで推移。
2020年は1.60%レベルでスタートしているので、わずか7カ月で急激に低下しています。
そして、日本の2年物国債利回りは、ほぼマイナス0.13%で変わらず。
(出所:Bloomberg)
日本の金利が、年間を通してまったく変わっていないにも関わらず、米金利は年初から大幅に低下しています。
一方、今年(2020年)の米ドル/円のスタートは108.61円。
本稿執筆時点の米ドル/円は、105円台後半で推移しており、今年(2020年)の日米金利差の急速な変化を米ドル/円のマーケットはまだ織り込んでいないといえます。
(出所:Bloomberg)
その米ドル/円を支えているのが、前回のコラムでもご紹介させていただいた米ドル/円の104円台前半のサポートレベル。
【参考記事】
●豪ドル/米ドルは0.8000ドルに向けて上昇か。米国に続き、豪州も中国批判を強めるが…(7月30日、西原宏一)
この104円近辺には、米ドル/円にとって重要な200カ月移動平均線が位置しています。
(出所:Bloomberg)
このレベルは、2016年にブレグジット(英国のEU離脱)懸念で、英ポンド/円が暴落したときに一時割り込みましたが、同年(2016年)11月にトランプ氏が米大統領に選出されると、米ドル/円は急騰し、再びこの200カ月移動平均線より上での攻防が繰り返されています。
【参考記事】
●2017年のドル/円は調整あっても130円へ! リスクオフの円高が継続しないワケとは?(2016年12月22日、西原宏一)
その後、マーケットは何度もこのレベルのブレイクに挑戦しますが、終値ベースではブレイクできず、ことごとく反発。
■米ドル/円は100円台へ下落の可能性、さらに高まる
そして、先週(7月27日~)金曜日に、再び米ドル/円は、この200カ月移動平均線レベルに沈みますが、ブレイクできずに反発。
ただ、仮にもう一度、マーケットが米ドル/円の104.00円割れにトライすることになれば、今週(8月3日~)の米2年物国債利回りの低下、そして、ゴールドが2000ドル台到達などといった材料が目立つ中においては、104.00円が決壊する環境も徐々に整ってきているのではないか(?)と想定しています。
ゴールドが2000ドル超の高値に到達し、ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルを筆頭として主要通貨に対し、米ドルは急落。
200カ月移動平均線が米ドル/円を104.00円レベルで支えていますが、前述のように米金利の急速な低下により、このサポートがブレイクする可能性が先週(7月27日~)以上に高まっています。
104.00円のサポートが脆くなり、100円台の可能性がさらに高まっている米ドル/円の行方に注目です。
【参考記事】
●米ドル/円は「雇用統計天井」で反落!ダウントレンド入り…中期では100円へ(6月11日、西原宏一)
●トランプ大統領が習主席に再選支援懇願!? 米ドル/円は依然として100円への過程に(6月18日、西原宏一)
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