■米ドル/円は100円台へ向けて続落中
みなさん、こんにちは。
米ドル/円が109.85円へと反発した6月5日(金)以降、本コラムでは、一貫して米ドル/円は弱気のスタンスを続けてきましたが、今週(7月27日~)、やっと104円台に突入しました。
【参考記事】
●米ドル/円は「雇用統計天井」で反落!ダウントレンド入り… 中期では100円へ(6月11日、西原宏一)
●トランプ大統領が習主席に再選支援懇願!? 米ドル/円は依然として100円への過程に(6月18日、西原宏一)

(出所:TradingView)
過去2年間、米ドル/円の104円台前半は、何度もサポートされているレベルです。

(出所:TradingView)
よって、104.00円をブレイクするのに一定の時間がかかるのでしょうが、米ドル/円の下落トレンドは変わらず。
米ドル/円は、100円台への過程にあると考えています。
米ドル/円のターゲットは100円台で変わらずも、104円台前半の攻防に注目です。
■ポンペオ国務長官の発言で米中関係はさらに悪化
もうひとつ、筆者が米ドル/円以上に注目している通貨ペアは、豪ドル/米ドル。
豪ドル/米ドルは、筆者が3月以降、一貫して強気のスタンスを続けてきた通貨ペアですが、6月前半に豪ドル/米ドルが0.7063ドルに到達して以降、様子見を続けてきました。

(出所:TradingView)
その要因は、米中関係の悪化。
そして、今月(7月)に入って、その関係が、さらに悪化してきました。
【参考記事】
●米ドル/円、104円台半ば抜ければ100円が見えてくる! 動き出せば下落余地は大きい(7月27日、西原宏一&大橋ひろこ)
まず、米国側では、ポンペオ国務長官の中国批判。
米国務長官、中国指導部の「暴政」批判-米中関係緊張高まる
ポンペオ米国務長官は23日にカリフォルニア州で演説し、中国指導者を世界的覇権を目指す暴君と位置付け、米中関係緊迫化の中で中国の方向性を批判した。
出所:Bloomberg
これは、2018年10月4日にペンス副大統領がハドソン研究所で行った「中国との冷戦」を宣言した内容に近いものといえます。特に今回は、一昨年(2018年)の副大統領に続き、国務長官までもが同様の趣旨の発言をしている点が重要です。
そして、中国側では成都にある米国総領事館の閉鎖。
中国、米国に成都の総領事館閉鎖を要求-ヒューストン閉鎖に対抗
中国政府は米国に対し、中国南部の四川省成都にある総領事館を閉鎖するよう要求した。中国外務省が24日に声明で明らかにした。米政府が中国にテキサス州ヒューストンの総領事館閉鎖を迫ったことに対抗する措置。
出所:Bloomberg
マーケットのコンセンサスは、米大統領選挙を11月に控え、トランプ大統領は米国株を反落させるような行動は控えるのではないか?というのが主流ですが、こうした報道が続くと、米国株は調整を深める可能性が高まります。
■豪州も中国批判を強める中、豪ドルは底堅い
こうした米中の動きを反映して、上海総合指数は下落しました。以下は、上海総合指数の日足チャートです。

(出所:TradingView)
上海総合指数と豪ドル/米ドルは極めて高い正の相関を示すことが多く、今年(2020年)の3月19日(木)に豪ドル/米ドルが0.5510ドルの安値に到達した局面で、上海総合指数も今年(2020年)の安値である2646ポイントへと下落しています。
その後、豪ドル/米ドルが急速に値を戻すのに連れて、上海総合指数も反発。
そして、上海総合指数は7月13日(月)に3458ポイントの高値に到達して以降、米中関係の悪化も影響し、弱い動きが続いています。
ただ、この間、豪ドル/米ドルはほとんど値を下げておらず、7月29日(水)には、逆に0.7193ドルまで反発。このように、上海総合指数と豪ドル/米ドルの相関性は、かなり後退しています。

(出所:TradingView)
これは、豪ドル/米ドルのゲームチェンジャーといってもいい変化だと考えています。
過去10年間、豪ドル/米ドルは中国人民元の疑似通貨であり、上海総合指数のヘッジ通貨としても利用されてきました。
それは、中国と豪州の経済が密接に関わってきたためです。
ところがこのところ、豪州は中国に対する批判を強めています。
南シナ海、中国の領有権否定=米と足並みそろえ国際圧力―オーストラリア
オーストラリア政府は26日までに国連のグテレス事務総長宛てに書簡を送り、海洋進出を進める中国が主張する南シナ海の領有権について、国際法に違反していると否定する見解を示した。
出所:時事通信社
■豪ドル/米ドルは0.8000ドルに向けて再び上昇へ
このように、米中間のみならず、豪州と中国の関係も悪化しているような環境では、リスクアセット通貨である豪ドル/米ドルは真っ先に値を崩す傾向があるのですが、今回は底堅く推移してきています。
これは、豪政府が中国との関係を大きく修正していることが影響しているのですが、結果として、これまでのようにグローバルで株が下落する局面では豪ドルでヘッジするという手法が使えなくなっているわけです。
視点を変えれば、米中関係の悪化のようにマーケットに大きく負荷がかかるような局面でも、豪ドル/米ドルは極めて強い耐性を見せるようになったといえます。以下は、豪ドル/米ドルの週足チャートです。

(出所:TradingView)
今年(2020年)の豪ドル/米ドルは、豪州の大規模森林火災や新型コロナウイルス問題、加えて米中関係の悪化などの悪材料で、一時0.5510ドルまで急落。
【参考記事】
●森林火災危惧も、豪州株は最高値更新。豪ドルは底堅い! 対円は80円へ反発開始(1月16日、西原宏一)
しかし、7月29日(水)には、一時0.7193ドルまで急反発しています。
これは、今年(2020年)の豪ドル/米ドルのスタート時の0.7023ドルを上抜いており、大きな下ヒゲを形成中。つまり、上値余地が大きく拡大していることを示唆しており、中期では0.8000ドルに向けて上昇していくのではないかと想定しています。
豪州の大規模森林火災や新型コロナウイルス問題、そして、米中関係の悪化、さらには、豪州と中国との関係悪化と多くの悪材料が挙げられる中、強い耐性を見せ、0.8000ドルに向けて再び上昇し始めた豪ドル/米ドルの行方に注目です。

(出所:TradingView)
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