■ゴールドだけでなく、他も一気に値を下げる
先週(8月3日~)、7日(金)はゴールドのみならず、他市場でも一気に値を下げているプロダクツが多数あります。
まず、豪ドル/米ドル。
このコラムで頻繁に取り上げている豪ドルですが、豪ドル/米ドルは、今年(2020年)の安値(=0.5510ドル)をつけたのがRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が利下げをした3月19日(木)。そして、高値である0.7243ドルをつけたのが8月7日(金)で、これはゴールドが高値をつけたのと同日ということになります。
【参考記事】
●豪ドル/米ドルは0.8000ドルに向けて上昇か。米国に続き、豪州も中国批判を強めるが…(7月30日、西原宏一)
(出所:TradingView)
次は、ドルインデックスの週足チャートです。
(出所:TradingView)
ドルインデックスが高値である102.99に到達したのが、他のプロダクツが安値をつけたのとほぼ同じ時期の3月20日(金)。そして、安値(=92.52)をつけたのが、他のプロダクツとほぼ同じ時期の8月6日(木)。その後、戻りを試しています。
そして、ドルインデックスの動きと相関しているユーロ/米ドルですが、安値(=1.0636ドル)をつけたのが3月26日(木)。そして、高値(=1.1916ドル)に到達したのが8月6日(木)となります。
(出所:TradingView)
つまり、多くのプロダクツにおいて、先週(8月3日~)の米雇用統計前後に、一斉に利益確定の売りが出ているということになります。
■どれだけゴールドが値を崩すか…注目!
マーケット関係者によれば、モルガン・スタンレーも、先週(8月3日~)の金曜日に、中期でキープしていたユーロ/米ドルと豪ドル/米ドルのロングを利益確定し、スクエアにしているようです。
では、彼らは豪ドル/米ドルの反発を起点とし、ゴールドが牽引してきた米ドル安相場はこれで収束すると思っているのでしょうか?
結論からいえば、彼らはいったん利益確定したものの、カントリーリスクを嫌って新興国からあふれ出た資金の一部は再びゴールドへ。そして、米ドルの代替として豪ドルやユーロへ流れると思っているようです。
ただ、気をつけたいのが、最近の投資資金というのはシステムを利用しているのもあり、非常に足が速いということ。
そのため、中長期プレイヤーであっても、着実に利益確定を入れながらポートフォリオを運用しているようで、今回もゴールドが40%アップしたタイミングで、他のプロダクツも含め、いったん一部を利益確定するという判断になったようです。
そして、先週(8月3日~)いったん利益確定した彼らは、今週(8月10日~)の相場で、特にゴールドが調整により、どれだけ値を崩すか注目しているようです。
(出所:TradingView)
この押し目が浅ければ再びゴールドのロングを構築し、米ドルショートに戻す予定のようですが、今週(8月10日~)のゴールドが続落するようであれば、3月から続いていた米ドル安相場が調整に入ったとみなし、いったん為替もニュートラルにする予定のところが多いという印象。
3月中旬から始まったゴールド高、米ドル安、豪ドル高、ユーロ高相場は先週(8月3日~)末いったん終焉へ。今週(8月11日~)は、その調整がどの程度になるのかを図るために、ゴールド、豪ドル/米ドル、ユーロ/米ドルの動向に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)