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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

ユーロ/米ドルの巻き返しに注意!
マーケットはコロナ克服を織り込み始めたか

2020年08月26日(水)17:53公開 (2020年08月26日(水)17:53更新)
志摩力男

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■米メディアはワクチン完成後の話題でもちきり

 8月23日(日)、トランプ大統領は記者会見において、コロナから回復した人の血しょうを使う治療法がFDA(米食品医薬品局)によって許可されたことを受けて、「これは強力な治療法だ」と高らかに喧伝しました。

トランプ大統領写真

トランプ大統領は8月23日(日)、FDAによって許可されたコロナから回復した人の血しょうを使う治療法について「これは強力な治療法だ」と記者会見で高らかに喧伝した (C) Chip Somodevilla/Getty Images News

 大統領が言うほどすごい治療法なのか、という議論はありますが、翌日(8月24日)の株式市場では航空関連株、銀行、エネルギーセクター等に買いが入り、その日の米メディアは「ワクチンが完成したら…」と、ワクチン完成後のマーケットがどうなるのか、そうした話題でもちきりでした。

 米国の人は、非常にポジティブです。

 現在、開発中のワクチンが167種ぐらいあると言われており、そのうち有力な8種が、すでに後期臨床試験(フェーズ3)に進んでいます。

少なくとも年内には、早ければ11月ぐらいにも承認されるのではないかと言われています。11月まであと2カ月と少しですから、もうすぐそこです。

■マーケットはコロナ克服を織り込み始めたか

米国はコロナ第2波に苦しんでいましたが、7月末をピークに1日あたりの感染者数は減少に転じています。

 日本も第2波に驚かされましたが、厚労省専門家会議でも7月末がピークだったのではないかと言われており、少しずつ落ち着いてきています。

何より第2波では、重症患者数・死亡者数が劇的に少ない

 正体不明の恐ろしい病気であった新型コロナウイルスですが、慣れもあり、深刻さはだいぶ低下してきました。

 もちろん、インフルエンザ同様、ワクチンができたとしても完全にコロナが消え去ることは難しいかもしれません。しかし、いずれは克服され、普通の生活に戻る道筋が見えてきました

 まだ何カ月も先の話かもしれませんが、道筋さえ見えてくれば、マーケットは織り込みにいきます

 もしかしたら、ワクチン開発後の世界に向けて、マーケットはもう走り出しているかもしれません。

■結局、正しかったのは株式市場

 コロナは本当の「ブラックスワン」でした。

 ロックダウンの代わりに、各国政府は巨額の資金を投じて経済を支え、金融政策は世界中で緩和、どの国の金利も「ゼロ」になりました。

【参考記事】
新型コロナの影響で市場は今後どうなる? 世界中が金利ゼロへ!? ドル/円100円割れも!(3月4日、志摩力男)

 しかし、リーマンショック以上の、世界大恐慌以来の経済危機が来ると言われたのに、株式市場は急速に切り返し、米国株は連日のように過去最高値を更新しています。

実体経済は悪いのに株価が高いのはおかしい、株式市場が間違っているという意見が強かったのですが、結局、正しかったのは株式市場の方でした。

【参考記事】
現実とマーケットの違いに猛烈な違和感。米マイナス金利導入なら米ドル大暴落も…(5月13日、志摩力男)
新型コロナ不況とリーマン・ショックの違いは? 景気後退は厳しくなる。市場は楽観的すぎ!(4月8日、志摩力男)

ナスダック総合指数&S&P500 日足
ナスダック総合指数&S&P500 日足チャート

(出所:TradingView

つまり、最初からリーマンショック以上の危機ではなかったのでしょう。

 リーマンショックの時は、金融機関が被った莫大な損失があり、政府資金の多くは、その救済に使われました。

 今回は、そうした巨額の損失はありません。意図的に経済を止めたことから来る危機です。経済が再稼働できるようになれば、自然と克服されます。

 しかし、経済を意図的に止めることで大変な困難に陥る人・産業があるため、大量の財政マネーが投じられました

 必要なところへは当然投じられなければなりませんが、必要としていない人にも資金は行きました。それが銀行預金の積み上がりとなり、株価の高騰につながりました

【参考記事】
対GDP比17.9%! 巨額の米財政支出で溢れたマネーが次は米ドル相場を押し下げる?(6月24日、志摩力男)
新型コロナ対策の補正予算は巨額! リスクは円安方向。ユーロ/円は長期の大底形成中か(6月3日、志摩力男)

■今回の景気回復はV字という意見が強まってきている

 今回の景気回復は、V字なのかL字なのか、はたまたナイキのマークのようになるのか…?議論されてきました。

 当初は、これまでにない不景気なので、L字という意見が強かったのですが、ここに来て経済は急速に回復するという意見の方が強まっています。つまりV字です。

 年末までに米失業率は9%へと低下し、来年(2021年)には6.5%という予測が有力米系証券から出されていますが、もっと早い回復かもしれません。

 諦めていた東京オリンピックの開催も、もしかしたら可能かもしれません。

■米ドル買い戻しか。ユーロ/米ドルの巻き返しに注意

 FOMC(米連邦公開市場委員会)では、2022年まで現行のゼロ金利が続くという予測が6月に出されましたが、コロナの状況が変化すれば、それも変わってきます。

少なくとも、さらに金融緩和するという状況ではなくなってきています

【参考記事】
米ドルは状況が落ち着けば下落していく…。ゼロ金利は5年ぐらい続くのではないか?(7月8日、志摩力男)

 そうなると、マーケットはどう動くのか――?

株価に関しては、グロースからバリューへの資金シフトはあるでしょうが、高いままではないかと思います。出遅れている航空関連、旅行関連、エンターテインメントは買いでしょう。

 為替に関しては、これ以上の米金融緩和がないということが明らかになってくると、米長期金利が少しずつ上昇してくるでしょう。米ドルが買い戻されることになる可能性があります。

前回のコラムで言ったことと真逆になりますが、少なくとも、これまでの動きは調整されます。

【参考記事】
IMMでロングだからこそ、ユーロ/米ドルはロングでOK! 金調整時もほとんど下落せず(8月19日、志摩力男)

ユーロ/米ドルがもっとも顕著に上昇してきたので、巻き返しには注意です。米ドル/円もリスクは上方向でしょう。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 金が米金融緩和とコロナによる不透明感からかなり上昇してきました。

金価格の調整が、今後、あると思います。高値から500ドル程度の調整があってもいいのではないかと思います。

NY金先物 日足
NY金先物 日足チャート

(出所:TradingView


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