■米国のインフレ率は2%弱。今は米ドル売りが正解か
では、先進国ではどうでしょうか?
インフレ率の高い通貨は、売られるというのがセオリーです。そうなると、やはり米ドル、もしくは、オセアニア通貨が売られやすいという結論になります。
米国は、かつてのようにインフレ率が高くはないですが、それでも景気とともに徐々に回復し、2%弱はあります。年間、購買力が2%減少するわけですから、ゼロ金利の今は米ドル売りが正解と思います。
今年(2020年)は、米ドル売り・ユーロ買いのトレンドですが、米インフレ率の高さが影響していると言っても良いかもしれません。
■動かない米ドル/円。低インフレの円は実質的に弱体化
また、インフレ率が常に低位で安定している円は、いつ強くなっても仕方がないと言えます。
ところが、米ドル/円は、このところ常に105~107円ぐらいで一向に動きません。
為替が安定していて良いのかもしれませんが、低インフレの日本円がインフレ率の高い米ドルに対して動かないというのは、実質的に、円はずっと弱くなってきたということです。

(出所:TradingView)
■見えない円安は、いつか円高で調整されるかも
このまま見えない円安が続くのか、それとも大規模な調整があるのか。
調整には2つの方法があります。ひとつは、円高になること。もうひとつは、日本が米国以上にインフレの高い国になることです。
しかし、長年、日本経済を見ていて、米国以上にインフレになるということは極めて難しいと思います。
特に、収入が年金という固定収入しかない高齢者は物価上昇を嫌います。少しでも値段を上げるとパタッと売れなくなります。こういう社会では、企業が値段を上げようとしても難しいでしょう。
そうなると、いつかは円高で調整される…かもしれません。
【参考記事】
●円高示唆でも米ドル/円が下落しないワケは? ビッグマック指数では1ドル=68.78円になる!?(6月17日、志摩力男)

(出所:TradingView)
■日本は、ただ貧乏になって行っただけ
実は、もうひとつのパターンもありえます。これまでの継続です。
日米のインフレ率は変わらず、日本が常に低いが、米ドル/円は動かないというパターンです。
これは輸出企業には良いのでしょうが、米国はどんどん成長し、日本は、ただただ貧乏になるという道です。
為替の安定というと聞こえはいいですが、日本は、ただ貧乏になって行っただけです。
どこかで円高を受け入れるか、もしくは、反動で極めて厳しいインフレが来るのか、覚悟を決める瞬間が近づいているのかもしれません。
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