■マイケル・ムーアはトランプのコロナ感染に懐疑的
トランプ米大統領のコロナ感染、驚きましたね。
ホワイトハウスで開催された最高裁判事の指名式典がクラスターを発生させたのではとの見方が強まっています。
参加者のうち、トランプさん以外にも6名の感染が確認されました。
トランプ感染はバイデン有利に働くとの見方が優勢ですが、反トランプの映画監督のマイケル・ムーアは、「トランプは嘘つき」と茶番劇の可能性を指摘しています。
Brave(勇敢)でDurable(丈夫)な大統領してとして復帰することで、選挙戦を有利に進めようとしている、ということのようです。
トランプ米大統領のコロナ感染はバイデン氏に有利に働くとの見方が優勢だが、反トランプの映画監督のマイケル・ムーアは、「トランプは嘘つき」と茶番劇の可能性を指摘していると西原氏は解説 (C)Chip Somodevilla/Getty Images News
感染の判明後は、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)系を中心にナスダック市場の下落が目立ちました。
トランプ感染をきっかけにして、バイデン当選を織り込み始めたように見えますね。
ただ、まだ不確実性は高い。本当に織り込んでいいのか、気迷いも感じられます。
【参考記事】
●米大統領選、討論会はバイデン氏に軍配? メディアの論調よりも浮動票の行方に注目(10月1日、西原宏一)
●米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)
(出所:TradingView)
■「バイデン当選なら株価は落ちる」が明確に
これでハッキリしたのは、「バイデン当選なら株価は落ちる」ということ。
今回はナスダックだけでしたが、本番でバイデン当選となればNYダウもS&P500も落ちるのでしょう。
とはいえ、当面はトランプの病態次第。「おれ元気!」と、動画を一発投稿するだけで株価が上がるリスクがある。
不透明性が高まり、10月15日(木)に予定されていた第2回の討論会も延期でしょう。
今週10月7日(水)にはペンスVSハリスの副大統領候補の討論会が予定されています。
2人とも検査結果は陰性。予定通りに開催される見通しです。
ワイドショーのネタになることはあっても、市場への影響はさほど出ないでしょう。
■追加経済対策とトランプ感染の2テーマが同時進行
トランプの感染でも株式市場がさほど下がらなかった理由のひとつに、追加経済対策への期待がありますよね。
民主党提案が下院を通過し、次は上院で共和党とどう歩み寄るのか、です。
ナンシー(ナンシー・ペロシ下院議長)は、宿敵であるトランプが不在となったことで成立に楽観的な見通しを示していますが、まだ揉めるのでしょう。
仮に決まっても、大統領選前に株価が急騰するかといえば疑問です。
「合意間近」のヘッドラインで上がって、実際に決まるとセル・ザ・ファクトで落ちるという展開は考えられませんか?
あるでしょうね。
トランプの病態が悪化して株価が下がり、追加経済対策が合意して上昇。しかし、そこを高値に下落して大統領選を迎えるといった展開も十分に考えられます。
当面はトランプさんの病態と追加経済対策への期待、2つのテーマが同時に進行していくイメージですね。
米ドル/円は104円割れの攻防から公的とも思える買いで急反転したものの、106円にも届かない。かなり煮詰まってきています。
東証がシステムトラブルで売買停止となっても、為替市場は驚くほど反応しませんでしたね。
大統領選挙で動き出すのでしょう。
(出所:TradingView)
■RBAは利下げ見送りか
今週10月6日(火)にはRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の政策発表が控えています。
利下げ予想を出していた豪銀大手のウェストパック銀行は先週(9月28日~)、予想を撤回しました。今回は据え置きでしょう。
豪ドルが高値圏にあるならともかく、豪ドル/米ドルは0.72ドル付近。この水準で利下げする理由もありません。
【参考記事】
●豪ドル/米ドルを戻り売り! 豪ドル高を牽制したRBAの注目人物とは?(9月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
●33%急騰してきた豪ドル/米ドルが調整局面入りか! 金の反落に利下げの噂も…(9月24日、西原宏一)
(出所:TradingView)
気になるのは、嫌な下げ方をしている原油。この3カ月、OPEC(石油輸出国機構)の原油生産量が増加しているためです。
増産しているのは、OPECプラス(※)による協調減産の枠組みから除外されている2カ国。内戦状態にあるリビアと経済制裁中のイランです。
このところの原油安で、産油国の財政状況は逼迫しています。
原油安は、オイルマネーの市場からの撤退という思惑につながりますし、米シェール企業へのダメージにもなりますから、株式市場への影響も懸念されます。
となると、米ドル高気味となるでしょうか。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
(出所:TradingView)
原油安を考えても、今週(10月5日~)は豪ドル/円の戻り売りでいいのでは。
米ドル/円は106円を超えないでしょうし、豪ドル/米ドルも0.73ドル以上ではRBA関係者の通貨高牽制発言が出てきて上値は重い。
そうなれば、豪ドル/円の上値も限定的です。
ただ、あくまでも豪ドル売りは短期。10月のどこかで調整を完了して再び上がってくる可能性があると見ています。
【参考記事】
●豪ドル/米ドルを戻り売り! 豪ドル高を牽制したRBAの注目人物とは?(9月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
金余り相場ですし、株にしても下がったら買いたい向きは多いでしょうね。
不透明感が強いため、仕方なくキャッシュポジションを増やしているだけ、という投資家は多そうです。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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