■米最高裁は共和党の優位がより強固に
週末、トランプ米大統領は亡くなったギンズバーグ最高裁判事の後任にエイミー・バレット氏を指名しました。
エイミーは、超がつく保守派。承認されれば、最高裁判事は保守派6名、リベラル派3名の構成となり、保守派の優位がより強固になります。
【参考記事】
●フラッシュ・クラッシュの再来はあるか? 北から米へのクリスマスプレゼントに注意(2019年12月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
米大統領選にも影響が出ますか?
「民主党支持者の危機感を煽り、民主党へ優位に働く」との意見と、「従来は、トランプを敬遠していた共和党支持者のエスタブリッシュメント層が、トランプへの評価を高め、共和党優位になる」との意見と、両論がありますね。
■トランプが討論会の第1回目に気合を入れる理由とは
今回の米大統領選では、郵便投票の増加による混乱で法廷闘争へ持ち込まれる公算も高まっています。
そうなった時、最高裁判事の構成は、トランプへ有利に働くことになりますね。
今週(9月28日~)からは、選挙へ向けた全3回の討論会も始まります。第1回は9月29日(火)、日本時間では9月30日(水)午前中です。
今回のモデレーターは、FOXニュースのクリス・ウォレス。共和党寄りのキャスターですから、トランプも力を入れてくるでしょう。
これまでの市場の反応は「バイデン優位なら株安、トランプ優位なら株高」。
4年前には、トランプの優勢が伝えられると株価は下がりましたから、マーケットはいい加減ですね(笑)。
今回の討論会でも、株や為替が反応する場面がありそうですね。
ただ、討論会が開催されるのは日本時間の午前中。東京市場の動きはあてにならず、NY勢の参入を待って慎重に判断したいところです。
■円高一服の背景に中国人民元の動きも
最近の米ドル/円の動き、トリッキーですね。
先週月曜日(9月21日)のNY時間には、104円割れの攻防から一転、104.87円まで上昇しました。
(出所:TradingView)
何が原因だったのでしょうか?
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は104円台前半に買い注文を置いていたようですし、上期の期末も近い。
菅政権の意向を忖度した買いが入ったのかもしれません。
今週木曜日からは、10月。下期に入ると流れが一気に変わる可能性もあるため、要注意ですね。
中国人民元の動きが、為替市場全体へ影響を与えているとの指摘もあります。
米ドル/中国人民元レートは、5月末から下落トレンドが続き、米ドル安・中国人民元高が進んでいましたが、先週(9月21日~)から反転上昇し、中国人民元安に転換しています。
コロナ禍で進行した中国人民元安は、中国からの資本流出をもたらすとして、PBC(中国人民銀行[中国の中央銀行])が米ドル売り・中国人民元買いの為替介入を行ったとの指摘もあります。
これが円高にもつながっていたなら、中国人民元の反発で米ドル/円相場も流れが変わるかもしれません。
中国が3兆ドルを超える外貨準備を動かせば、為替市場全体へ影響を与えることもありそうです。
(出所:TradingView)
真相はわかりませんが、9月1日(火)にユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルなどが一斉に高値をつけて反落し、ナスダック総合指数も翌日(9月2日)に高値をつけて反落しています。
9月1日(火)を境にして、米ドル安・株高のトレンドが調整局面入りしたとの見方は変わりません。
【参考記事】
●33%急騰してきた豪ドル/米ドルが調整局面入りか! 金の反落に利下げの噂も…(9月24日、西原宏一)
●ユーロ/円は120円へ向けて下落か。FOMCでゼロ金利維持が示唆され、円高圧力高まる(9月17日、西原宏一)
●リスクオフのきっかけはユーロ/ドルの反落。9月1日からトレンドが変わった可能性…(9月10日、西原宏一)
●1.20ドルを背に、ユーロ/米ドルを戻り売り! ラガルドECB総裁はユーロ高を牽制するか?(9月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
■RBAのキーマンは豪ドル高へ牽制発言
今週(9月28日~)は米雇用統計もありますね。10月2日(金)21時30分発表です。
市場の注目は、1カ月後に迫っている米大統領選。雇用統計には、あまり反応しないかもしれませんね。
今週の戦略は、どう考えますか?
注目は豪ドル。
ウェストパック銀行は、10月6日(火)のRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])理事会での利下げの可能性を指摘し、また、ガイ・デベルRBA副総裁は「豪経済にとって低めの為替レートは確実にメリットがある」と発言しています。
古くから有料メルマガ「FXトレード戦略指令! with 日経先物」を読んでくれている人にはおなじみの名前ですが、ガイはRBAの中でも力があり、副総裁になる以前から注目していた人物。彼の発言には、重い意味があります。
【参考記事】
●33%急騰してきた豪ドル/米ドルが調整局面入りか! 金の反落に利下げの噂も…(9月24日、西原宏一)
ゴールドが8月から形成していた三角保ち合いを下抜けしたことも、資源国通貨である豪ドルの弱気材料ですね。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●保ち合いはトレンド継続中の休息期!? トレンド相場の再開に乗り遅れるな!
(出所:TradingView)
現在の調整局面は、少なくとも10月第1週目、第2週目くらいまでは続くでしょう。
そうであれば、今週は豪ドル/米ドルの戻り売りがいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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