■ユーロ高の局面は過ぎたか、これからトップアウトを迎える
もっとも、欧州のコロナ禍の再拡大もユーロの頭を抑え込む要素として無視できない。
3月安値から大きく切り返してきたユーロだが、独、仏の再度のロックダウンでわかるように、ECB(欧州中央銀行)の追加緩和策の実施が、十分想定される。
リスクオフに備える米ドルの買戻しに加え、EU(欧州連合)圏の追加緩和によるユーロ安への圧力もあって、ユーロ高の局面はすでに過ぎたか、これからトップアウトを迎えるだろう。
(出所:TradingView)
米ドルの対極という位置付けで言うと、ユーロの頭打ちは米ドル全体の買戻しを促進するもっとも重要な要素だが、前述のように、仮に米ドル全体がさらに大きく切り返してくれば、それはリスクオフの米ドル高となり、いわゆる「悪い米ドル高」となる可能性が大きい。
■本格的なリスクオフの兆し。「悪い円高」の可能性!?
リスクオン・オフを敢えて「良い」、「悪い」と白黒つけるなら、平行するもう1つの「悪い通貨高」の可能性も無視できない。
そう、それは「円高」である。
良い円高、悪い円高といった言い方は筆者自身あまり好きではないが、残念ながら今回は敢えて「悪い円高」という言い方をせざるを得ない。
本格的なリスクオフの特徴として、株以外、金もビットコインも売られ、米ドルと円(米ドル/円を除く)のみが買われることが挙げられるが、今週(10月26日~)からの値動きからすると、その兆しがすでに出ていると思う。
今一度、警戒のスタンスを点検しておきたいところだ。
■「危」は「機」なり。これからクロス円のショートに妙味あり!
とはいえ、「危」は「機」なり。
米ドル全体の切り返しに伴い、円の上昇(米ドル/円を除く)の同時進行があれば、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の急落を意味するから、クロス円のショートを仕掛ければよい。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
前述の見方が正しければ、また、米大統領選の不確実性が強ければ強いほど、これからクロス円のショートポジションには妙味があると見ていいだろう。
実際、ユーロ/円、英ポンド/円や豪ドル/円といった主要クロス円は、すでに下げてきたとはいえ、執筆中の現時点において、英ポンド/円を除き、なお200日移動平均線の上に位置している。
これから200日移動平均線を割り込み、また、英ポンド/円のように、割り込んでから一段と下落余地を拡大するだろう。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米ドル/円の104円の節目割れも確実視される以上、クロス円の下落モメンタムの再加速に注意しておきたい。
市況はいかに。
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