■米ドル安継続の中、豪ドルに買い妙味アリ
ただ、米ドル売りの対象通貨としては、ボラティリティの乏しい円ではなく、違う通貨を選択したいところです。
その対象通貨は、豪ドル。
欧米では冬を迎えたためか、新型コロナウイルスの感染が拡大し、深刻化。そのため、欧州ではロックダウンを長期化させる国が続出しています。
たとえば…
英国、11月5日(木)よりイングランド全域でロックダウン
イタリア、規制強化承認へ
フランス、12月1日(火)まで全土でロックダウン
ドイツ、部分的なロックダウン措置を実施
そして、一番ひどいのがスペイン。来年(2021年)5月まで緊急事態宣言を続けると報じられています。
スペイン、全土の緊急事態宣言を来年5月まで延長
スペイン議会は29日、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない中、25日に全土対し発令した期間2週間の緊急事態を来年5月9日まで延長した。
出所:ロイター
来年(2021年)5月まで緊急事態宣言が出されるということは、スペインは、長期にわたって経済活動が大きく落ち込むことになります。
こうした状況は、ユーロにとってマイナス。
そして、米大統領選挙に注目が集まっている米国でも、11月1日(日)、1日の新型コロナウイルスの新規感染者が10万人を突破し、過去最多を更新。
米国は、累計感染者数が世界でもっとも多く、特に中西部や南部の州で深刻な状態が続いていて、地元当局が夜間外出禁止にするなどの制限措置を相次いで導入しています。
(出所:AXIOS)
■新型コロナウイルス感染者が少ない豪州に注目
一方、新規感染者が極めて少ない国もあります。
それは、豪州。
豪州では、11月1日(日)、国内の新たな新型コロナウイルス感染症例が6月以来のゼロとなったと発表。
豪州ではビクトリア州の州都メルボルンが長期にわたりロックダウン(都市封鎖)していましたが、その感染者数は30人程度でした。
北半球では、「ウィズ(With)コロナ」といわれ、感染者数がメルボルンとはケタ違いの多さでも経済を回していましたが、冬季に入り、欧米の主要都市は徐々にロックダウンしています。
逆に、メルボルンでは新規感染者数がゼロに――。
本稿執筆時点では、ニューサウスウェールズ州で2名感染者が出ていますが、感染者は空港で見つかっており、管理が徹底されていることを踏まえると、ほぼゼロといえるでしょう。
南半球の豪州は、これから暖かくなる時期に、感染者が極めて少ない状態で経済が動き出します。
一方、欧米では感染者が拡大している状況であり、経済が停滞する可能性が高くなっています。
■豪ドル/米ドルは0.7500ドルを目指す展開に
こうしたことから、欧米から豪州に資金が移動し始めています。
これを警戒したRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は、豪ドル/米ドルの急騰を押さえるため、11月3日(火)の理事会で政策金利を0.15%引き下げ、0.10%にしました。
そして、「政策行動が、より低水準の為替レートの一因となろう」とコメントしています。
ただ、彼らの行動はあくまでもスムージングオペレーションであることを知っているマーケットの反応は限定的であり、豪ドル/米ドルの下げも限定的。
米大統領選挙後は、逆に0.71ドル台ミドルへと反発しています。
お伝えしたとおり、欧米ではロックダウンが長期化する傾向がある中、南半球の豪州は感染者数が極めて少ない状態で経済活動が再開する状況です。
RBAが利下げをしても値を下げず、再び0.7500ドルに向けて上昇を始めた豪ドル/米ドルの行方に注目です。
(出所:TradingView)
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