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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

今週は、米ドル高が進む可能性もありそう。
EUサミットやECB理事会は見逃せない

2020年12月07日(月)16:48公開 (2020年12月07日(月)16:48更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■イベント集中の欧州。12月10日は見逃せない!

米国では、追加経済対策の協議が進んでいます。


バイデンさんは、超党派が提出した9000億ドル規模の法案への支持を表明。


早期合意への期待から、株式市場は高値圏を維持しています。

もうひとつのテーマである英EU通商交渉は、相変わらず進みませんね。


12月10日(木)、12月11日(金)のEU(欧州連合)サミットを控えて、ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)の可能性が再び高まっています。

【参考記事】
バイデン政権では、ある程度の経済対策が実現し、増税はない。緩やかなドル安進行か(11月11日、志摩力男)

今朝(12月7日朝)の英ポンドはギャップダウン(下窓)で始まりましたが、12月10日(木)までフラフラとするのでしょう

英ポンド/米ドル 5分足
英ポンド/米ドル 5分足チャート

(出所:TradingView

ユーロ高の一因ともなっていた復興基金も、ポーランドやハンガリーの反対で暗礁に乗り上げています。


EUサミットでは、復興基金についても議論される見通しです。

来年(2021年)の予想がまだ出揃わないのは、ブレグジットの行方を見たい、ということもあるのでしょう。


現在までに確認できる予想は、米ドル安がほとんど。


2021年予想を先取りする形で今週(12月7日~)も米ドル安が続くのではと思いますが、ノーディール・ブレグジットとなれば英ポンド/米ドルが急落し、米ドル高となります。

【参考記事】
注目は豪ドル! 豪ドル/NZドルは、中期で1.15NZドルまで上昇との予測も!!(12月3日、西原宏一)

■ラガルドECB総裁のユーロ高牽制発言はあるか

12月10日(木)にはEUサミットだけでなくECB(欧州中央銀行)の政策発表も控えています。


予告されている追加金融緩和の規模に注目ですし、ラガルドECB総裁の記者会見も焦点となりますね。

ユーロ/米ドルが9月に1.20ドルをつけたときには、レーンECB理事から牽制発言が出ました。


ところが、今回のステージではまだ出ていません。

【参考記事】
1.20ドルを背に、ユーロ/米ドルを戻り売り! ラガルドECB総裁はユーロ高を牽制するか?(9月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
110円へと反発を始めた米ドル/円に注目! バフェット氏の日本の商社株取得も追い風か(9月3日、西原宏一)

記者会見では、ユーロ高についての質問も出るでしょうから、ラガルドECB総裁がユーロ高を容認するのか、あるいは牽制発言が出るのかどうか。


逆に考えれば、今週(12月7日~)は、英EU通商協議やECB理事会などをきっかけにして米ドル高が進む可能性もありそうですね。

ラガルドECB総裁写真

ECBの政策金利発表後の記者会見で、ラガルドECB総裁がユーロ高を容認するのか、あるいは牽制発言が出るのかに注目と大橋ひろこさんは解説。、今週は英EU通商協議やECB理事会などをきっかけにして米ドル高が進む可能性もありそうという (C)Visual China Group/Getty Images

来年(2021年)の予想は米ドル安が大多数とはいえ、ターゲットはユーロ/米ドルで1.25ドル程度。値幅は限られています


コロナ感染者が増加し、ロックダウン中でもあるユーロをどこまで買い進めるか、という疑問もある。「押したら買う」というスタンスでいいのではないでしょうか。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足チャート

(出所:TradingView

■「欲望と恐怖指数」は総楽観に傾く

米ドル/円は、いかがですか?

動きが少なく、一部のヘッジファンドでは103円と106円の「ダブルノータッチ・オプション」を組む動きもあるようです。


103円を割らないし、106円を超えることもないという見通しのオプションですね。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

ボラ(ボラティリティ)が出ないという見通しは株式市場でも同様のようですが、そんなときこそ得てしてボラが出ますよね。


CNNが発表している「欲望と恐怖指数」も総楽観。今年(2020年)1月以来の高水準です。


危険な兆候かもしれません。

CNNの恐怖と欲望指数
CNNの恐怖と欲望指数チャート

(出所:CNN「恐怖と欲望指数」

株式市場は「ワクチン相場」で上昇しましたが、英国では明日(12月8日)にもワクチン接種が始まります。


米国の友人は、「最初は医療関係者からだろうが春になれば我々も打てる、東京五輪も問題なく開催できる」と楽観的です。

【参考記事】
円高になったところでドル/円・クロス円の買い。東京オリンピック開催も見えてきた!?(11月19日、今井雅人)

米国ではこの5日間での新規感染者が100万人を超えましたし、接種が始まれば副作用が出てくる可能性もあります。

ワクチン接種のタイミングで「セル・ザ・ファクト」となるかもしれないし、追加経済対策の合意や法案の成立、1月20日(水)の大統領就任式が調整のきっかけになるかもしれない。


きっかけはさておき、遅くとも1月20日(水)までに調整が入る、という見通しは先週と変わりません

【参考記事】
株式市場の調整は、月末の今日にも始まる!? ワクチン接種開始でセル・ザ・ファクトか(11月30日、西原宏一&大橋ひろこ)

■25歳起業家が億万長者へ

日本株では今月(12月)、26社がIPO(新規株式公開)を予定しています。


年間では93社となり、13年ぶりの高水準となる見通しです。

米国では先週(11月30日~)ナスダックへ上場した「ルミナー・テクノロジーズ」が話題です。


創業者は弱冠25歳。周辺の物体を検知する次世代センサー「LiDAR(ライダー)」を開発する会社で、いわば「自動運転の目」となる技術です。

LiDARはiPhone12にも搭載されたので、聞き覚えがあるかもしれません。

ルミナーはボルボと提携しており、自動運転への搭載が期待されています。


ルミナーのような、世界で覇権を握るようなベンチャーが日本でも登場してほしいですね。

今月(12月)のIPOは数こそ多いものの、ロボアドのウェルスナビやデザイン家電のバルミューダが目立つ程度。ルミナーのような会社はなさそうですね。


今週の戦略はいかがですか?

今週は英EU通商交渉やEUサミット、ECB理事会などをきっかけにして米ドル高となる可能性もあり、米ドルは触りたくない


「ヘッジファンドの思惑」でも書いたように、1.15NZドルへ向けて上昇している豪ドル/NZドルの押し目買いでいいのではないでしょうか。

豪ドル/NZドル 週足
豪ドル/NZドル 週足チャート

(出所:TradingView

【参考記事】
注目は豪ドル! 豪ドル/NZドルは、中期で1.15NZドルまで上昇との予測も!!(12月3日、西原宏一)

(構成/ミドルマン・高城泰)

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