■ウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社株を取得
みなさん、こんにちは。
以前のコラムで、ウォーレン・バフェット氏(以下、バフェット氏)が金鉱山株に投資したことが、マーケットで大きな注目を集めていることをご紹介させていただきました。
【参考記事】
●豪ドル/米ドルは、ゴールドとともに上昇! 金鉱株急騰の裏にウォーレン・バフェット(8月20日、西原宏一)
バフェット氏については、2016年に、低迷していたアップル株を購入して大成功したことが記憶に新しいため、彼が金鉱山株に投資したことがマーケットの注目を集めたわけです。
そして驚くことに、今週(8月31日~)もバフェット氏の投資が大きく報道されています。
金鉱山株の購入に続いて、次に彼が狙ったのは日本の商社。
バークシャー、5%を超える商社株を取得-伊藤忠や三菱商など5社
米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは日本時間31日、日本の5大総合商社株を5%をわずかに上回る比率まで取得したと発表した。
出所:Bloomberg
上記のように、バフェット氏がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイが、伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅といった日本の5大総合商社株を、それぞれ5%超まで取得したとの報道で日本株は活況です。
バフェット氏は「世界中で合弁会社をつくっている」と、着目した理由を明かしていますが、中国とのデカップリング(非連動)との思惑も。

金鉱山株に続いて、日本の5大商社株の取得を発表した、ウォーレン・バフェット氏。そのワケは…!? (C)Bloomberg/Getty Images
米中の分断により、日本が漁夫の利を得て商社の活躍の場が広がるとの連想です。
ともあれ、バフェット氏の日本株への投資という報道が、世界中の投資家の目を、再び日本株に向けさせる効果は十分だと考えています。
■割安の日本株への投資が見直される可能性が高まる
もちろん、海外投資家が、いきなり日本株に対して積極的になるとは考えにくいのですが、米国株に比べて圧倒的に割安である日本株への投資が見直される可能性は高まります。
そして、日本株への投資で気になるのが為替動向。
現状、仮に米ドル/円が極端に円高に振れると、どうしても日本株の上値を抑えることになるため、為替はどちらかというと円安気味に推移していたほうが日本株の上昇要因となります。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
この点においては、先月(8月)のようにユーロ/米ドル中心に米ドル安が進行しているような状況だと、米ドル/円もどうしても米ドル安気味に推移してしまいます。
ところが、9月に入るとユーロ/米ドルはいきなり急反落し、米ドル急落懸念が急速に和らいでいます。

(出所:TradingView)
■ユーロ/米ドルは1.2000ドルが強烈なレジスタンスに
ユーロ/米ドルの1.2000ドルには、巨大なバリア・オプションがあると言われており、8月6日(木)に1.1916ドルに到達して以来、月を通してマーケットが何度攻めても崩せなかった水準です。
それが、9月入っていきなり1.2000ドルのバリア・オプションが決壊し、1.2011ドルの高値まで急騰。
マーケットのセンチメントが「9月もユーロ/米ドルを中心に米ドル安が進む」というセンチメントになった局面で、ユーロ/米ドルはあっという間に、1.18ドル台前半まで急反落しました。

(出所:TradingView)
その要因は、ECB(欧州中央銀行)のチーフエコノミストの口先介入ともとれる下記のコメント。
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーでチーフエコノミストのフィリップ・レーン理事は、為替レートを金融政策の目標にしてはいないが、「ユーロ・ドルのレートは重要」だと、オンラインで行われたパネル討論会で語った。
出所:Bloomberg
彼のコメントにより、ユーロ/米ドルの1.2000ドル超えはブルトラップとなり、当面1.2000ドルが強烈なレジスタンスとなりそうです。
■英ポンド/米ドルは1.3500ドルのレジスタンスを抜けられず
9月1日(火)は、他通貨も極めて神経質な水準で推移しており、たとえば、英ポンド/米ドルは1.3482ドルの高値まで急騰。
英ポンド/米ドルの1.3500ドルという水準は、昨年(2019年)12月13日、英国保守党が過半数獲得の流れ受けて1.3514ドルまで急騰したあと、「セル・ザ・ファクト」で一転して急落したレベルであり、重要なレジスタンスです。
【参考記事】
●2大イベント終了で利益確定の動き加速!? トランプ大統領の弾劾裁判の影響は…?(2019年12月19日、西原宏一)
今回も、英ポンド/米ドルは1.3500ドルのレジスタンスが抜けなかったことになり、英ポンド/米ドルも急速に値を下げています。

(出所:TradingView)
■日本株上昇と米ドル安懸念後退で、米ドル/円は110円へ
ユーロ/米ドルが調整局面入りし、米ドル急落懸念が和らいだことで、米ドル/円のダウンサイドリスクも軽減される形となり、106円台に反発。
加えて、次期首相は「菅官房長官で、ほぼ決まり」といった報道が多く、「アベノミクスは継承される」との思惑で、米ドル/円は、じわじわと値を上げる展開となっています。

(出所:TradingView)
バフェット氏の日本株投資という報道で日経平均が2万3000円台を回復していること、そして、ユーロ/米ドル中心に、米ドル急落懸念が和らいでいることから、下値余地が限定的となり、110円へと反発を始めた米ドル/円の動向に注目です。
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