■イスラエル、イラン科学者を暗殺か
イランの著名な核科学者が暗殺されました。
ロウハニ大統領は、イスラエルが事件に関与したと非難し、報復を示唆しています。
今年(2020年)1月、イランのソレイマニ司令官を米国が殺害したことでリスクオフとなりました。
今回も、イランの出方次第でリスクオフへ転換する可能性がありますね。
【参考記事】
●リスクオフ沈静化で豪ドル買いに妙味!? イランと米国による戦争回避で株価反発!(1月9日、西原宏一)
●ソレイマニ司令官暗殺で中東情勢緊迫化! トルコリラの2つのリスクシナリオとは?(1月8日、エミン・ユルマズ)
●第3次世界大戦の危機!? 今はイラン情勢がすべて。ドル/円や豪ドル/円は戻り売りか(1月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
トランプ米大統領は、イラン核合意から離脱し、イスラエルとUAE、バーレーンとの国交正常化を仲介するなど、イランへの包囲網を狭めてきました。
しかし、バイデン政権となればイラン核合意へ復帰することになり、UAEなどはハシゴを外されてしまいます。
地政学リスクに要注意ですね。
【参考記事】
●ポンドを戻り売り! 合意なき離脱での下落余地大きいが、ボリスのウルトラCには注意(9月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
●豪ドル/米ドルを押し目買い! バフェットも注目のゴールドより先に、豪ドルが動き出す(8月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
地政学リスクが高まればゴールドが買われるはずですが、下落していますね。
1770ドル付近は、コロナショック後の上昇に対する50%戻し。重要な節目にさしかかっています。
ゴールドには12月に下落し、1月に上昇するアノマリーがあるため、12月に節目を割ってきて1月に戻すのかもしれませんね。
そのときは、相場の景色が今と大きく変わっているのかもしれません。
(出所:TradingView)
■月末リバランスの株売りも
今日(11月30日)は、月末です。
株高に対するリバランスが入れば、株式市場が天井をつけて調整が始まるかもしれません。
JPモルガンは、リバランスの影響で年内3000億ドルが株式市場から流出するとの試算を示していますし、12月21日(月)にはテスラがS&P500に採用されます。
だいたい10日前くらいから、インデックスファンドなどはテスラ以外の499社とテスラを入れ替えることになります。
テスラの時価総額は50兆円超と非常に大きいだけに、この影響も出てきそうです。
【参考記事】
●爆上げテスラに異変!? 外国株は空売り可能? CFDなら上がっても下がってもチャンス!
●爆上げ中のテスラ株はバブルか? 本物か? CFDなら売り買い自在にテスラを取引可能!
●イーロン・マスクCEOに大麻騒動!? 株価は10%下落。テスラ株をカラ売りする方法は?
NYダウは先週(11月23日~)、3万ドルをつけました。
ワクチン期待もありますが、次期財務長官にイエレン前FRB(米連邦準備制度理事会)議長の指名が濃厚となったことのほうが影響は大きそう。
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)への規制強化を訴えるエリザベス・ウォーレンも候補として取り沙汰されていましたから、「イエレン財務長官」で安心感が広がったようです。
【参考記事】
●NYダウが3万ドル突破! バブルが続けば為替市場にリスクオン相場が戻ってくるかも(11月25日、志摩力男)
●米大統領選はバイデン氏勝利が既成事実化。米ドル安継続、豪ドル/米ドルの押し目買い!(11月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
■ワクチン接種で「セル・ザ・ファクト」?
米国では、早ければ12月11日(金)にもコロナワクチンの接種が始まります。
ワクチンへの期待相場が「セル・ザ・ファクト」で終了し、ワクチンの副作用などを懸念するリスク相場に移行する可能性もありませんか?
同感です。
ワクチンの治験結果が発表され、接種も始まる。これ以上、いい話が出るようには思えません。
株式市場の調整は、早ければ月末の今日(11月30日)にも始まるかもしれませんし、ワクチン接種が始まる12月11日(金)もきっかけとなりやすい。
遅くとも、大統領就任式の来年(2021年)1月20日(水)までには崩れるのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
■従来の相関性を一度捨てたほうがいいのかも
コモディティ市場では、先週(11月23日~)、原油が買われました。
OPECプラス(※)による、来年1月以降の減産継続に対する期待感からですが、ゴールドが下がっているのに、原油が買われる動きには違和感を覚えます。
金市場では、年金などが換金売りを始めている、との見方もあり、機関投資家勢がキャッシュ化に動いているとすると、先行きの不安感が高まりますね。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
(出所:TradingView)
従来の相関性から考えれば、ゴールドが崩れれば米ドルが買われるはずなのですが、そうはなっていません。
日経平均の上昇に米ドル/円がついてこないことも含め、従来の相関性を一度、捨てたほうがいいのかもしれませんね。
【参考記事】
●上値の重さを確認したドル/円を戻り売り! 日経平均は独歩高。短期的な調整を警戒か(11月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
■米ドル安の流れは変わらない
今週(11月30日~)は、経済指標の多い週ですね。
12月1日(火)に米ISM製造業景況指数、12月3日(木)に米ISM非製造業景況指数、12月4日(金)に米雇用統計が発表されます。
【参考コンテンツ】
●ISM製造業景況感指数とは? 米国の景気を占う先行指標!? 非製造業部門にも注目!(FX初心者のための基礎知識入門)
●米雇用統計は、FXトレーダーなら知らない人はいない、月に一度のお祭り的イベント(FX初心者のための基礎知識入門)
●経済指標にはどんなものがある?(IMM/経済指標・政策金利)
12月1日(火)にはRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の政策金利も発表されますが、据え置きの見通しです。
今週の戦略は、どう考えますか?
米ドル安の流れは、変わらないのでしょう。
米ドル/円の戻り売り、あるいは豪ドル/米ドルの押し目買いでいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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