■リスクオフの円買いは短命、再び米ドル高に
先週(3月22日~)の後半の段階では、リスクオフの動きから、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を中心に、全体的に円買いの動きが見られました。
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しかし、それも短命に終わり、この1週間は、また、米ドル高相場が戻ってきました。
(出所:TradingView)
言い方を変えれば、金利相場に戻ってきた、とも言えると思います。
【参考記事】
●米ドル/円は、近いうちに110円へ到達か。米給付金の約4割が株式投資に回る可能性!?(3月11日、今井雅人)
■米ドル高相場は、まだ続きそう
結論から申し上げれば、まだ、この米ドル高相場は続くと思います。
米ドル/円は、112円が視野に入ってきましたし、ユーロ/米ドルも、かねてから予想していました1.16ドル辺りまでの下落が、現実味を帯びてきました。
【参考記事】
●IMMの動向で、米ドル/円・クロス円は下落!? クロス円の押し目買いは、少し控えたい(3月25日、今井雅人)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
その中で、クロス円は、中期的には株高に支えられる形で底堅い、つまり、円安傾向は続くのではないか、と考えています。
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ですから、私自身は、長期的な観点からの、豪ドル/円などのロング(買い)ポジションを持ちながら、短期、中期的な観点では、米ドル/円のロング、ユーロ/米ドルのショート(売り)ポジションで攻めています。
【参考記事】
●豪ドル/円、月足チャートで見た長期目標は90円辺りか。少し気長に考え、買いを維持!(3月18日、今井雅人)
●米ドル/円の押し目買いに安心感! 米長期金利が上昇してもしなくても下値は堅い(3月4日、今井雅人)
●米ドル/円は中期で120円に向けて上昇か。米金利の上昇に呼応し、上値余地拡大!(3月11日、西原宏一)
■米長期金利は、景気動向を反映して上昇
そこで、改めて相場予想をするにあたっての背景について、考えてみたいと思います。
私は、これまで一貫して、先進国の中でいち早く景気が回復していくのは、米国であると主張してきました(中国は他国とは違って、国内でも新型コロナウイルスの感染を抑え込んで、安定的に経済成長をしていますが、一応、現時点では、中国は先進国に位置付けられていませんので、除外しています)。
今後、そのことは、より明確になってくると考えています。理由はあとで説明します。
その上で、景気動向は、長期金利の推移に反映されます。非常に単純に言えば、景気が良くなると長期金利は上昇していくということです。
あるいは、景気が良くなるとみんなが考えるようになると、長期金利が上がっていくという面もあります。
米国の長期金利(10年物国債利回り)の推移を見てみると、今年(2021年)の2月ごろから、上昇傾向が続いていることがわかります。
(出所:TradingView)
■長期金利上昇・米ドル高・株高からの円安が同時発生
この、米国の長期金利の上昇が、米ドルを上昇させている原因です。
(出所:TradingView)
長期金利の上昇は、企業の調達コストの上昇を招きますので、株価の下落をもたらすことがあります。しかし、景気拡大期は、長期金利の上昇によるマイナスの影響より、景気拡大の恩恵の方が大きいため、長期金利が上昇すると同時に株価も上昇する、という流れになることが、多く見られます。
まさに、今は、その状況だと、私は考えています。
(出所:TradingView)
ですから、長期金利の上昇に伴う米ドル高に合わせて、株価上昇からの円安ということが、同時に起きるということです。
【参考記事】
●新年度入りに向け、米ドル/円は大幅上昇の可能性! 米長期金利は2%超えもあるか(3月10日、志摩力男)
■ワクチンが景気回復のカギに
最後に、米国の景気回復の要因について考えてみます。
もちろん、バイデン政権の巨額な経済対策も要因の1つではありますが、それ以上に大きいのは、ワクチンの普及です。
米国は、すでにワクチンの接種回数が、1億5千万回に達しようとしています。これは、100人当たりの接種回数で見ると、約44回となります。
やはり、ファイザー製やモデルナ製など、自国でワクチンを開発できている強みが、ここに現れています。
米国以外の先進国で、ワクチン接種が進んでいるのが英国です。こちらは、100人当たり52回程度と、米国を上回っています。
(出所:日本経済新聞)
英国もアストラゼネカ製という、自国で開発されたワクチンがあることが、強みとなっています。
おもしろいことに、外国為替市場では、米ドル高と同時に英ポンド高にもなっています。
ユーロ/英ポンドのチャートを見ると、継続的に英ポンドが強くなっていることがわかります。
(出所:TradingView)
中国も、自前のワクチンを開発していて、景気も好調です。コロナ禍では、ワクチンが景気回復のカギを握るということに尽きるのかもしれません。
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