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豪州の輸出構成比24.7%の鉄鉱石と2 .4%の
原油。豪ドル/円と相関が高いのはどっち?

2021年06月18日(金)12:12公開 (2021年06月18日(金)12:12更新)
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2020年終盤から注目が高まってきた資源国通貨

 世界の国や地域のほとんどが持っているもの―――それは自国通貨です。日本の円、米国の米ドル、欧州のユーロといったメジャーな通貨からマイナーな通貨まで、世界には170以上もの通貨が存在します。

 世界の国や地域を分類するとき、「先進国」「新興国」「資源国」「北米」「欧州」「アジア」などの分け方をしますが、通貨においてもそれは同じ。分け方として「先進国通貨」「新興国通貨」「資源国通貨」「北米通貨」「欧州通貨」「アジア通貨」などが挙げられます。

 上の通貨の分け方のなかで、2020年終盤からFX市場で注目が高まってきたのが「資源国通貨」です。

 資源国通貨とは、エネルギー資源や鉱物、農産物などの資源を主な輸出品としている国の通貨のこと。有名な資源国通貨としては豪州(オーストラリア)の豪ドル、ニュージーランドのニュージーランドドル、カナダのカナダドル、南アフリカの南アフリカランドなどが挙げられます。

2020年終盤から原油、鉄鉱石、銅、プラチナといった資源価格が急騰したことで、こうした資源国通貨への注目も高まったというわけです。

WTI原油先物&シンガポール鉄鉱石先物&NY銅先物&NYプラチナ先物 週足
WTI原油先物&シンガポール鉄鉱石先物&NY銅先物&NYプラチナ先物 週足チャート

(出所:TradingView

 2020年終盤から資源価格が急騰した背景についてザックリ触れておくと、まず、2020年11月の米大統領選で、クリーンエネルギー投資を掲げるバイデン氏の勝利が確実となったことが挙げられます。クリーンエネルギーに必要とされる銅やプラチナの需要が高まり、急騰したというわけです。

 また、2020年12月には英国や米国で新型コロナウイルスのワクチン接種がスタート。世界景気の回復やポストコロナ時代への期待感などが原油、鉄鉱石といった資源価格の急騰へとつながっていきました。

資源国通貨は資源価格にどれくらい左右される?

 このように資源価格は急騰しているわけですが、ここで先ほど挙げた4つの資源国(豪州、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ)の主要輸出品目を確認しておきましょう。

 下表のとおり、豪州は鉄鉱石、カナダは原油などの鉱物性生産品、南アフリカはダイヤモンド、金、プラチナ、パラジウムといった貴石、貴金属などが主要輸出品目となっています。

豪州、ニュージーランド、カナダ、南アフリカの主要輸出品目
豪州、ニュージーランド、カナダ、南アフリカの主要輸出品目

(出所:JETRO「世界貿易投資動向シリーズ」)

 このような資源国の主要輸出品目になっている資源価格が上昇すれば、その国の通貨も上昇しやすそう……なのですが、たとえば豪州全体の輸出品目のうち、鉄鉱石が占める割合は24.7%ですから、鉄鉱石が急騰したとしても、その急騰分まるまるの影響を豪ドルが直接受けるというわけでもなさそうです。

 ここで、資源国通貨について一般的に言われている傾向などをまとめてみると、以下のようになるでしょうか。

資源国通貨について一般的に言われている傾向
・ 資源価格が上昇すると、資源国通貨が上昇する
・ 原油が上昇すると、原油を産出していない国も含めて資源国通貨全体が上昇する
・ 株高でリスクオンになると、資源国通貨が上昇する
・ 資源国の長期金利が上昇すると、資源国通貨が上昇する

 果たして、資源国通貨は自身の国が輸出する資源価格にどれくらい左右されるものなのでしょうか。もしかしたら、自身の国が輸出する資源価格より、資源国通貨を左右するものがあるのかもしれません。

 そこで、今回は資源国通貨のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)とドルストレート(米ドルが絡んだ通貨ペア)のチャートに、自身の国が輸出する資源価格、原油価格、日米株価指数、通貨ペアにかかわる長期金利の金利差のチャートを重ね合わせることで、資源国通貨の動きと関連性が高いものを探っていきたいと思います。チャートの参照期間は2020年11月から2021年6月です。

 そして、資源国通貨として有名な豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドル、南アフリカランドのうち、今回取り上げるのは豪ドルです。ニュージーランドドル、カナダドル、南アフリカランドについては次回以降、全4回のシリーズ記事のなかで取り上げていく予定です。

豪ドル/米ドルと鉄鉱石は上昇と下落のタイミングが合いやすい

 それではまず、豪ドルと豪州の主要輸出品目である鉄鉱石の動きに関連性があるのか、確認していきましょう。豪ドル/円とシンガポール鉄鉱石先物の動きは以下のとおりです。

豪ドル/円&シンガポール鉄鉱石先物 日足
豪ドル/円&シンガポール鉄鉱石先物 日足チャート

(出所:TradingView

 豪ドル/円とシンガポール鉄鉱石先物の動きを比べてみると、2020年11月は豪ドル/円が上昇しましたが、鉄鉱石はあまり上昇しておらず、相関性は高くありませんでした。

 2020年12月から2021年1月末までは、豪ドル/円と鉄鉱石が右肩上がりの高い相関を見せましたが、2021年2月初めには鉄鉱石だけ急失速。

 2021年3月にかけて豪ドル/円は上値を伸ばし、鉄鉱石も反発しましたが、豪ドル/円は次第に84円を意識したもみ合いに。一方、鉄鉱石は2021年4月から5月半ばにかけて急騰。その後、一時調整するなど、豪ドル/円とは違う動きを見せました。

 結局、豪ドル/円と鉄鉱石は上に示したチャート全体で見ればどちらも右肩上がりなので、大まかにいえば、同じトレンドを示しているといえそうですが、部分部分では動きが異なるところもあるということです。

 続いて、豪ドル/米ドルとシンガポール鉄鉱石先物の動きは以下のようになっています。

豪ドル/米ドル&シンガポール鉄鉱石先物 日足
豪ドル/米ドル&シンガポール鉄鉱石先物 日足チャート

(出所:TradingView

 豪ドル/米ドルとシンガポール鉄鉱石先物の動きを比べてみると、2020年11月は豪ドル/米ドルの上昇が大きい一方、鉄鉱石は小動きでしたが、2020年12月以降は高い連動性を保ちました。

 2021年4月から5月半ばは鉄鉱石が急騰したのに対し、豪ドル/米ドルは急騰とまではいかないまでも底堅く推移。その後、鉄鉱石と豪ドル/米ドルはともに伸び悩みました。

 2021年6月に入って、鉄鉱石は再び上昇している一方、豪ドル/米ドルは0.76ドル付近まで下落しています。これは6月16日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ実施時期の見通しが前倒しされるなどタカ派的な内容が発表されたことにより、米ドル高が進んだためです。

 足もとでは、FOMCの結果を受けて、鉄鉱石と豪ドル/米ドルの方向感は異なっているものの、総じて見れば、変動幅に違いはあっても、両者の上昇と下落のタイミングは合っていることが多い印象です。

豪ドル/円と原油はかなり高い相関

 次に見ていきたいのは、豪ドルと原油です。

 豪州の主要輸出品目の24.7%を鉄鉱石が占めることは記事前半で触れたとおりですが、豪州は原油についてはどれくらい輸出しているのでしょうか。豪州の主要輸出品目をもう少し詳しく見てみると、以下のとおりになります。

2019年の豪州の主要輸出品目

(出所:JETRO「世界貿易投資動向シリーズ」)

 豪州の主要輸出品目において原油が占める割合は2.4%しかありません。鉄鉱石の10分の1ほどの輸出規模しかないのです。そんな原油と豪ドルの関係はどうなっているのでしょうか。豪ドル/円とWTI原油先物のチャートは以下のとおりです。

豪ドル/円&WTI原油先物 日足
豪ドル/円&WTI原油先物 日足チャート

(出所:TradingView

 2020年11月から、豪ドル/円とWTI原油先物は絡みつくようにピッタリ寄り添って動いています。

 2021年3月下旬から4月上旬にかけて豪ドル/円が上昇した一方、原油は上昇しなかったり、2021年6月現在は豪ドル/円が小動きである一方、原油が上昇する場面が見られるなど、部分的には異なる動きをしている時期もあるものの、基本的にはかなり高い相関性があると言えそうです。

豪州の原油は2.4%しか輸出構成比がないというのに、これだけ原油価格と豪ドル/円が連動していることは一見すると驚きですが、ここで豪州の主要輸出品目を改めて見てみると、石炭が16.4%、天然ガスが12.5%となっていることが目につきます。

 豪州は原油が2.4%と少ないですが、石炭、天然ガスを含めたエネルギー資源全体の輸出構成比は大きいのです。エネルギー資源価格は相互にある程度連動する部分があることを考慮すると、豪ドル/円と原油の相関が高いことに納得できる部分もあるのではないでしょうか。

 続いて、豪ドル/米ドルとWTI原油先物の動きを見ていきましょう。

豪ドル/米ドル&WTI原油先物 日足
豪ドル/米ドル&WTI原油先物 日足チャート

(出所:TradingView

豪ドル/米ドルとWTI原油先物は、相関している時期と相関していない時期に分かれているようです。

 2020年11月初めは豪ドル/米ドルが急伸したものの、原油は小動き。2021年1月にかけては豪ドル/米ドルと原油のいずれも上昇しましたが、2021年1月末から2月初めは豪ドル/米ドルが下落した一方、原油は上昇。その後は相関関係が続きましたが、2021年5月下旬から原油は一段と上昇している半面、豪ドル/米ドルは上値が切り下がっており、相関関係は崩れているようです。

豪ドル/円は足もとでNYダウと相関を高めている

 今度は、豪ドルと日米株価指数の関係を見ていきましょう。以下は豪ドル/円と日経平均、NYダウを重ねたチャートです。

豪ドル/円&日経平均&NYダウ 日足
豪ドル/円&日経平均&NYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

 2020年11月から2021年1月まで、豪ドル/円と日経平均、NYダウはいずれも右肩上がりで、高い連動性がありました。2月はNYダウの上昇が一服したものの、豪ドル/円と日経平均は急伸。4月半ばにかけても、豪ドル/円と日経平均は高値圏で一進一退となるなど、相関関係が続きました。

 ただ、4月下旬から5月半ばにかけて日経平均は調整。その間、豪ドル/円とNYダウは高値圏で底堅く推移しており、相関性を高めています。

全般的には豪ドル/円とNYダウの連動性はまずまず高いように見えます。

 続いては、豪ドル/米ドルと日経平均、NYダウの動きです。

豪ドル/米ドル&日経平均&NYダウ 日足
豪ドル/米ドル&日経平均&NYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

 2020年11月から2021年2月まで、豪ドル/米ドルと日経平均、NYダウは右肩上がりとなっており、比較的高い相関関係がありました。けれど、2021年3月以降、豪ドル/米ドルは0.7700ドルを挟んで方向感のない展開に。日経平均は一進一退しながら上値が切り下がり、 NYダウはさらに上昇しましたが、豪ドル/米ドルとの相関は見られませんでした。

 上のチャート全体の印象としては、豪ドル/米ドルはNYダウよりも日経平均に比較的似た動きをしているように見えます。豪ドル/円は日経平均よりもNYダウによく連動していましたが、そちらとは異なる動きともいえるかと思います。

豪ドル/米ドルと豪米長期金利差は足もとでじわじわ低下

 最後に、豪ドル/円と豪日長期金利差、豪ドル/米ドルと豪米長期金利差の関係を確認しましょう。

 本記事では、長期金利差を、長期金利の代表的な指標とされる10年債利回りの金利差で算出することにします。つまり、豪日長期金利差は豪州と日本の10年債利回りの金利差、豪米長期金利差は豪州と米国の10年債利回りの金利差ということです。

 それでは、豪ドル/円と豪日長期金利差のチャートから見ていくと、以下のとおりです。

豪ドル/円&豪日長期金利差 日足
豪ドル/円&豪日長期金利差 日足チャート

(出所:TradingView

豪ドル/円と豪日長期金利差は相関している時期と、相関していない時期が割とハッキリ分かれるようです。

 2020年11月から12月初めにかけて、豪ドル/円と豪日長期金利差はともに上昇して、高い相関関係にありました。ただ、2021年1月半ばにかけては豪ドル/円が上昇した一方、豪日長期金利差はあまり上昇しておらず、相関性が低下しています。

 その後、豪ドル/円と豪日長期金利差の相関性は戻り、いずれも2月に急上昇して、5月中旬まで高値圏でのもみ合いが続きました。しかし、2021年6月現在は再び相関が崩れ、豪ドル/円は依然として高値圏でのもみ合いにある一方、豪日長期金利差は低下しています。

 そして、豪ドル/米ドルと豪米長期金利差の動きは以下のとおりです。

豪ドル/米ドル&豪米長期金利差 日足
豪ドル/米ドル&豪米長期金利差 日足チャート

(出所:TradingView

豪ドル/米ドルと豪米長期金利差は相関している時期と、逆相関している時期にどうも分かれているように見えます。

 2020年11月から12月初めは豪ドル/米ドルと豪米長期金利差は相関していました。しかし、12月半ばから2021年2月初めにかけては逆相関の時期に入ります。12月半ばから1月半ばにかけて豪ドル/米ドルは上昇した一方、豪米長期金利差は低下。1月半ばから2月初めにかけては豪ドル米ドルが下落し、豪米長期金利差は上昇したのです。

 その後は相関が戻り、豪ドル/米ドルと豪米長期金利差は2月半ばから2月末にかけて急上昇、3月末にかけては急低下しました。その後はともにしばらく方向感を欠いた動きとなっていましたが、6月現在はともにじわじわ低下しています。

まとめ

 ここまで、2020年11月から2021年6月の豪ドルの動きと、鉄鉱石、原油、日米株価指数、通貨ペアにかかわる長期金利差の動きに関連性があるのかを見てきました。

 豪州の代表的な輸出品目は原油ではなく鉄鉱石であるため、普通に考えれば、鉄鉱石と豪ドルの相関が高そう……と思いきや、豪ドル/円と非常に高い相関を見せたのは、鉄鉱石よりも原油でした。

 豪州の輸出全体における原油の割合は低いものの、石炭、天然ガスを含めたエネルギー資源全体の割合は大きく、エネルギー資源価格が相互にある程度連動することを考えると、豪ドル/円と原油の相関がかなり高いことに納得いく部分もあるかもしれません。

 それでは、鉄鉱石と豪ドルに相関がないのかと言うと、そんなことはなく、鉄鉱石と豪ドル/円は部分部分で動きが異なるところもあるものの、チャート全体で見ればどちらも右肩上がりでしたし、鉄鉱石と豪ドル/米ドルは上昇と下落のタイミングが合いやすいという印象があります。

 また、株高でリスクオンになると、資源国通貨が上昇するイメージがありますが、足もとでは、日経平均もNYダウもともに上昇するという単純なリスクオンではなくなっています。

 そして、豪ドル/円と比較的連動性が高いのはNYダウ、豪ドル/米ドルと比較的連動性が高いのは日経平均となっているようです。

 また、豪ドル/円と豪日長期金利差、豪ドル/米ドルと豪米長期金利差については、相関する時期と相関しない時期に分かれるという特徴がありました。

 ですから、豪ドルのトレードを行う際、豪ドルと長期金利差が相関していない時期は、長期金利差をあまり気にしない、というのもありかもしれません。

 あるいは、豪ドルと長期金利差が相関していない時期から相関する時期に戻りそうな場合、豪ドルが長期金利差に近づいていくようなら、その流れに乗ってみるというのもひとつの手です。

 最後に、今回の内容は、2020年11月から2021年6月という期間において、豪ドルの動きと、豪ドルに関連性が高そうなものの動きに着目したものです。本記事で取り上げた豪ドルとの相関の有無や強さが今後も永遠に変わらないかどうかはわかりません。

 とはいえ、直近では本記事で取り上げたような動きをしてきたのは事実です。豪ドルをトレードする際は、なんとなくのイメージだけでトレードするのではなく、こうした傾向をしっかり把握したうえで、トレードしてみてはいかがでしょうか。

(ザイFX!編集部・藤本康文)

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