■6兆ドルから1.2兆ドルへ。規模削減のインフラ投資
バイデン米大統領は、超党派の議員グループとインフラ投資計画で合意しました。
投資額は8年で1.2兆ドル規模です。
バイデン米大統領は、8年で1.2兆ドル規模のインフラ投資計画を超党派の議員グループと合意した (C)Scott Olson/Getty Images News
当初は6兆ドルといった数字も出ていましたが、上院議員のバーニー・サンダースや「AOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員)」など民主党左派が主張していた、子育てや教育など「人的インフラ」部分を別法案へと切り分けたことで、だいぶ小さくなりました。
新規の歳出は5590億ドルです。
【参考記事】
●トランプ米大統領の天敵「AOC」とは…!? ユーロ/円、英ポンド/円は戻り売りか(2019年9月30日、西原宏一&大橋ひろこ)
それでも大きな金額ですし、合意したことで市場へ安心感が広がる、と見る向きもあります。
週末にはバイデンさんが、人的インフラとのセットでないと署名を拒否すると発言したり、ドタバタしましたが、前進したこと自体は安心でしょうね。
■米株は最高値更新も、木材やビットコインは反落したまま
先週(6月21日~)注目されたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言ですが、特筆すべき発言はなく、無難に通過しました。
また、米個人消費支出(PCE)も29年ぶりの大きな伸びとなりましたが、予想の範囲内であったことから、早期テーパリング思惑がやや後退したようで、S&P500やナスダック総合指数は先週、史上最高値を更新しています。
6月16日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降のリスクオフムードは後退でしょうか。
【参考記事】
●タカ派転換のFRBは「市場との対話」に失敗。鉄鉱石が崩れれば、豪ドルは一段安へ(6月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
木材価格やビットコインなど、過剰流動性相場で買われた資産は、高値から50%反落したまま戻っていません。
豪州(オーストラリア)の友人によれば、中国経済はみんなが思っているほど強くない、との見方もあります。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
中国共産党は7月、100周年を迎えます。
先週には小幅ではありますが、市場への資金供給を拡大し、上海株が強含みましたし、FOMC直後にはいったん売られた中国人民元も、上昇を再開しています。
資金供給の拡大は、7月中は市場を支えていく、というメッセージなのかもしれません。
ちょっと気になるのが豪州の感染状況。
メルボルンに続き、土曜日(6月26日)からはシドニー全域でもロックダウンとなりました。
新規感染ゼロが続き、緩んでいたため、ワクチン接種が遅れているのも不安ですね。
■欧米の半期末、ロンドンフィックスをどう利用する?
カレンダー的には今週(6月28日~)、月末、四半期末を迎えます。欧米勢にとっては半期末ともなる重要な月末。
ファンダメンタルズとは無関係な乱高下が起きやすくなります。
要注意ですね。
ロンドンフィックス(日本時間24時)へ向けた妙な動きも出やすくなります。
【参考記事】
●ロンドンフィックス(フィキシング)とは? 月末のロンフィクトレード4つの手法!
そうした動きをどう利用するのか。
米ドル安継続と見て米ドルを売るのか、米ドル買いのチャンスとするのか。
西原さんはどう考えますか?
FOMC以降、米10年債利回りは投機の影響もあり乱高下していますが、底堅く推移しているのがドルインデックス。
米ドル買い需要は強く、米ドル高は続くと見ています。
特に、一時は強気なセンチメントが広がり、ロングがたまっているユーロに対して、米ドル買いが進みやすいのではないでしょうか。
【参考記事】
●パウエル議長発言で、米ドル下落も限定的。ユーロ/ドルは、1.1600ドルへの下落過程続く(6月24日、西原宏一)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
■米雇用統計、米2年債利回りなど短期金利に注目
今週はOPEC(石油輸出国機構)総会も開催されます。
おそらく減産規模の縮小、つまり増産が発表されるとのコンセンサスですが、それでも原油は強そう。
木材のような急騰だと急落も怖いですが、今のようなじり高だと暴落の不安も少ないですね。
(出所:TradingView)
原油の価格調整権を米国がOPECに渡して以降、原油は強いですね。
金曜日(7月2日)は米雇用統計です。
強い数字となれば、早期テーパリング観測が強まり米ドル高になりやすく、弱ければ反応しない、といったイメージでしょうか。
【参考記事】
●市場はFOMCの結果に悪乗り! しっぺ返しを食らった! 今後は強い米指標で米ドル優位へ(6月24日、今井雅人)
米2年債利回りなど短期金利に注目でしょう。
(出所:TradingView)
FRBの政策を素直に反映するのは、10年債よりも短期の2年債ですね。
今週の戦略はどう考えますか?
米ドル高という意味では、ユーロ/米ドルの戻り売りでいいのでは。
米ドル/円も最終的には上がるのでしょうが、市場が上目線でそろっているのが気がかりです。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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