デルタ株懸念で米長期金利は下落も、米経済指標の好結果などを受けて急反発
みなさん、こんにちは。
先週(7月26日~)、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が「米国経済はテーパリングへと進展したがその時期はまだ先 」とコメントしたこと、そして、世界的に新型コロナウイルスのデルタ株の影響が拡大したことで、今週(8月2日~)の米10年債利回りは続落。
そして、8月4日(水)のNY市場では、7月のADP全米雇用報告が33.0万人増と、コンセンサスを大きく下回ったことから、米10年債利回りの下落が加速し、1.1258%まで急落しました。
これは、7月20日(火)の安値である1.1260%とほぼ同値。
連動して、米ドル/円は一時、108.72円まで急落。
しかしその後、7月のISM製造業景況指数が好結果となったことに加えて、クラリダFRB副議長が「利上げのためのFRBの条件は、2022年末までに満たされる可能性がある」とコメントしたこともあり、米10年債利回りは急反発。
一気に1.2136%まで反発し、米ドル/円もあっという間に、109円台後半まで急騰しました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
以下をみると、米10年債利回りは1.1260%でダブルボトムとなっています。
(出所:TradingView)
この米10年債利回りの1.1260%というレベルは、自分の米国の友人が指摘していた重要レベルなのですが、彼が主張するように、今回も1.1260%でボトムアウトしています。こちらについては、以前公開した「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」でも紹介しています。
【参考記事】
●米ドル/円やクロス円は買っていい。「米金利上昇=リスクオン」の反応が顕著に(7月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
元大手米銀の債券トレーダーの友人は、年初から「米金利が本格的に上昇し始めるのは今年後半から」という見方を維持していました。
そして、今週(8月2日~)のミーティングでは、「マーケットはデルタ株拡大報道の影響で、先月(7月)から米金利に対する弱気の見方が多すぎる。米国のインフレ進行は変わらないため、米10年債利回りの1.1260%はボトムに近い」との見方をしていました。
彼の債券に対する見方が正しければ、米ドル/円も、8月4日(水)に到達した108.72円が当面のボトムになる可能性が高まります。
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米ドル/円は、長期金利の低下には反応薄も、上昇にはビビットに反応
以下は、米ドル/円と米10年債利回りの相関チャート。
(出所:TradingView)
3月末までは、米10年債利回りの急騰にあわせて、米ドル/円も上昇。
しかし4月以降、米10年債利回りが下げに転じても、米ドル/円の下げは限定的。
これは、米国債のロングがたまりすぎていて、その調整が激しかったことが要因のひとつです。
【参考記事】
●なぜ、米10年債利回りは上昇しないのか?米金利低下時の、米ドル/円上昇は難しい(7月8日、西原宏一)
もうひとつは、リスクオフの局面になっても、スイスフランは買われますが、円はあまり買い進まれなくなったことの影響が大きいと考えています。
これは、昨年(2020年)からのポストコロナ相場の特徴ですが、円はすでに避難通貨ではないということです。
この「円は避難通貨ではない」という事実は、米ドル/円に大きな影響を与えています。シンプルにいえば、急激な円高になる要素のひとつが消滅したことを意味するからです。
ともあれ、このところの米ドル/円は、米10年債利回りの低下には大きく反応しません。
一方、8月4日(水)の相場のように、米10年債利回りの上昇には、ビビットに反応します。
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米長期金利反発なら、米ドル/円は112円に向けて再上昇か
今週(8月2日~)は、7月米雇用統計の発表を控えていますが、4日(水)のADP全米雇用者数発表後の相場展開から考えれば、現在の米ドル/円相場は、悪材料に対する耐性はある程度できているのではないかと想定します。
一方、好結果が出た場合の反応のほうが大きいと考えます。
米10年債利回りが2.00%を越えて急騰するのは、来年(2022年)からというスタンスは変わりませんが、インフレが進行している米国にとって、米10年債利回りが1.00%を割って急落するという展開も考えづらい状況。
結果、米10年債利回りがダブルボトムを形成して反発するのであれば、米ドル/円も112円に向けて再上昇する可能性は濃厚。
(出所:TradingView)
米金利の反発とともに上昇を再開した、米ドル/円の行方に注目です。
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