1975年のサイゴン陥落を想起させるカブール陥落!バイデン政権の失策に批判集中
みなさん、こんにちは。
日本でも大きく報道されているアフガニスタン情勢ですが、バイデン米大統領による米軍撤退作戦に批判が集まっています。
アフガニスタン情勢が話題になっているが、バイデン米大統領による米軍撤退作戦に批判が集まっている (C)Scott Olson/Getty Images News
まず、ジョンソン英首相からの電話を36時間も放置していたことが話題に。
バイデン氏、ボリス・ジョンソン氏を36時間無視してアフガンの混乱を拡大
出所:ニューヨーク・ポスト
ジョンソン首相は、バイデン大統領と今後の共同作戦を話し合いたかったのでしょうが、バイデン大統領はプロンプターが用意できていないので、応答ができなかったのではないかとウワサになっています。
こうした中、撤退作戦は混迷を極めています。
西側はもっと良い避難計画を立てられたはずだ
混乱はタリバンの責任ではないと、タリバンの関係者はロイターに語った。"西側はもっと良い避難計画を立てられたはずだ。"
出所:Zerohedge
米国は泥沼化したベトナム戦争と同様、今回も敗退することに。
ただ、ベトナム戦争末期の1975年のサイゴン陥落時、米国勢は自力で何とか撤退。
しかし、今回のカブール陥落で米国勢は自力で撤退できず、敵だったタリバンの温情で退避路を確保してもらっているという報道も。
結果、米国にとって、カブール陥落はサイゴン陥落よりさらに惨めで恥ずかしい話になったとバイデン政権は批判されています。
米国はトランプ大統領から、バイデン大統領に移行してまだ8カ月ですが、今回のことでバイデン政権は窮地に陥っています。
米ユーラシア・グループ社長のイアン・ブレマー氏も、バイデン政権の失敗を指摘。
アフガン、今後数日が命運
米ユーラシア・グループ社長 イアン・ブレマー氏特別寄稿
アフガニスタン駐留米軍の撤収は、バイデン米政権が初めて直面した外交上の危機となった。
出所:日経新聞
この米国の影響力の低下から、即「米ドル売り」や「リスクオフの米ドル買い?」と決めつけられるほど事態は簡単ではありません。
実際、先週(8月16日~)の為替マーケットは、アフガニスタン情勢の混迷によるリスクオフで、一時クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が大きく下落していますが、今週(8月23日~)は一転して反発。
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しかし、今後の情勢によっては、金融市場にさらに大きな影響を及ぼす可能性があるためアフガニスタン情勢には引き続き注目。
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豪州は、「感染ゼロ戦略」からの転換を発表。この報道は豪ドルにとってポジティブとの見方も
前述のように、先週(8月16日~)は、アフガニスタン情勢が緊迫し、一時リスクオフ相場へ。
あれだけ底堅かった鉄鉱石も一時140ドル割れまで急落し、リスクアセットである豪ドルも大きく値を下げています。
(出所:TradingView)
ところが、今週(8月23日~)月曜早朝、豪州のモリソン首相が、新規感染者ゼロをめざした「感染ゼロ戦略」からの転換を発表。
8月23日(月)のシドニー市場では、このニュースを受けて、豪ドルは値を下げていましたが、月曜日に公開した「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」で触れたように、海外の友人たちの間では、この報道は豪ドルに対してポジティブだと判断していました。
【参考記事】
●豪ドルは、先週がセリングクライマックスか。ジャクソンホール会議のパウエル講演を控え、ドルストレート回避なら、豪ドル/円の買いで(8月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
デルタ株感染拡大で、ニュージーランドはロックダウン解除のめど立たず
今年(2021年)の前半まで、オセアニアの「感染ゼロ戦略」はうまく回っていました。
北半球の主要国が、新型コロナウイルスの感染者の急増をうまく抑え込めず、なかなか経済を回復軌道にのせられない中、豪州とニュージーランドは、感染者ゼロ同士で、トラベルバブル(※)を実現し、ポストコロナへと一歩リードしていました。
(※編集部注:「トラベルバブル」とは、隔離なしで行き来できる、二カ国間協定のこと)
【参考記事】
●早晩、ドル/円の調整は終わる可能性高い。108円台ミドルレベルは、買いの好機!(4月15日、西原宏一)
ところが、ここにきて「感染ゼロ戦略」は、経済にとって大きな負担を強いられる戦略に変わってしまいました。
その要因は「デルタ株」。
今月(8月)、ニュージーランド政府は新規感染者がたった1名発見されただけで全土を緊急ロックダウン(都市封鎖)。ロックダウンは経済活動を停滞させますので、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])は急遽利上げを中止。
【参考記事】
●デルタ株感染で、ニュージーランド全土がロックダウン! NZ中銀の声明は依然タカ派も、ニュージーランドドルは下値余地拡大(8月19日、西原宏一)
ニュージーランドのアーダーン首相は「デルタ株はゲームチェンジャーだ」と発言しました。
彼女が主張しているように、デルタ株の感染拡大の速さはすさまじく、当初1人だったニュージーランドの感染者数はその後、急増。
そのため、ニュージーランドはロックダウンに入ったのですが、これまでと違い、デルタ株が感染拡大する中では、ロックダウン解除のめどがたちません。
結果、経済再稼働のめどがたたない国の通貨であるニュージーランドドルも、先週(8月16日~)大きく値を下げています。
(出所:TradingView)
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豪州の「感染ゼロ戦略」転換で、豪ドルは反発開始
ただこうした中、いち早く戦略を転換したのがモリソン豪首相。
モリソン首相は「国の焦点は、感染者数よりも入院率に移す必要がある」とコメントし、感染ゼロ戦略からの転換をいち早く発表しました。
これで、ロックダウン解除へのロードマップが出てくるはず。
ロイターによれば、豪州の連邦政府と州政府は、ワクチン接種率が約2600万人の人口の70%に到達すればロックダウンを行わない方針を示している模様。
長期に渡ってロックダウンに耐えてきたメルボルンの友人も、この判断を大歓迎。
これにより、ロックダウンの解除のめどがたった豪州では、再び経済が回り始めることが期待されます。
この決定はマーケットに大きな影響を及ぼし、一時136.50ドルレベルまで急落していた鉄鉱石も反発しています。
そしてなにより、続落していた豪ドルが反発開始。
先週(8月16日~)の豪ドル/米ドルは一時0.7106ドル、豪ドル/円は77.90円まで急落していましたが、モリソン首相の「感染ゼロ戦略」の撤回発言で一気に反発。
豪ドル/円は、一時80円台を回復しています。
(出所:TradingView)
豪ドル/米ドル、豪ドル/円は押し目買い継続がよさそう
ニュージーランドはまだ戦略の転換を発表していませんが、こちらも豪州に追随することが予想され、ニュージーランドドルも反発。
今週(8月23日~)の金融市場は、ジャクソンホール会議、そしてカブール陥落の行方と、重要なイベントが目白押しで、週末に大きなリスクをとれない状態。
ただ、いち早くモリソン首相が「感染ゼロ戦略」を転換したことで、豪ドルは、先週(8月16日~)セリングクライマックスだった公算が高まっています。
【参考記事】
●豪ドルは、先週がセリングクライマックスか。ジャクソンホール会議のパウエル講演を控え、ドルストレート回避なら、豪ドル/円の買いで(8月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
ジャクソンホール会議と、アフガニスタン情勢のリスクを考慮し、リスクコントロールには気をつけたいところですが、豪ドル/米ドル、豪ドル/円は押し目買い継続がよさそうです。
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