コロナ禍の中、ジャクソンホール会議はオンラインで開催。パウエル議長の講演に注目
先週(8月16日~)の為替市場は、米ドル高、円高、豪ドル安のリスク回避の動きとなりました。
アフガニスタンでの地政学リスクや、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大などがリスク回避の動きへとつながりました。
今週(8月23日~)は、27日(金)にジャクソンホール会議があります。
本来は、8月26日(木)~28日(土)の3日間で予定されていましたが、デルタ株の感染拡大の影響もあり、今年(2021年)もオンラインで、そして27日(金)の1日のみに短縮されています。
【参考記事】
●ジャクソンホール会議が行われる建物はジャクソンホール? なぜ、ジャクソンホールは世界中のトレーダーの注目を集めるのか?
その中でも、日本時間23時から始まるパウエル議長の講演がもっとも重要となってきます。
コロナ禍で、FRB(米連邦準備制度理事会)は大規模な金融緩和を行ってきましたが、その転換期がきているため、非常に重要な局面です。
現在は、テーパリング(※)がいつ開始されるのか、どの程度のペースで縮小していくのか、そこが注目されるところです。
(※「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
今週はジャクソンホール会議に注目。その中でも、日本時間23時から始まるパウエルFRB議長の講演がもっとも重要になる (C)Bloomberg/Getty Images News
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パウエル議長は基本的にハト派。テーパリング開始を示唆しない可能性もある
今回のパウエル議長の講演の議題は、経済見通しになるため、金融政策というわけではないですが、市場参加者が非常に注目していることや、前回のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、「多くのメンバーが年内のテーパリングが適切」としていたため、テーパリングについても発言があると思います。
【参考記事】
●米国のテーパリング期待は後退。米ドル/円は状況次第で、107円台に突っ込む可能性もあり得るか(8月3日、バカラ村)
●FRBがテーパリングに向けて慎重に動く中、トレンドが出にくい状態が続く。米ドル/円は利益確定を早めに行うトレードがよさそう(8月17日、バカラ村)
パウエル議長は基本的にハト派になるため、まだテーパリングの開始を示唆しない可能性もあります。
前回のFOMC後の会見でも、デルタ株の感染拡大を気にしていましたし、9月3日(金)の米雇用統計の結果を見てから判断したいと思いますので、それらを重視すれば、まだテーパリングの開始を示唆しないということもあり得ます。その場合、株価は上昇し、為替市場はリスク選好となり、豪ドル/円などのクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇するのではないかと思います。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
反対にタカ派となった場合ですが、市場参加者の多くは、11月や12月のFOMCでのテーパリングを予想していますが、それよりもタカ派な9月のFOMCでのテーパリングを示唆し、10月から開始するような内容となってくれば、少し驚きです。
もしそうなると、株価は下がり、為替市場は米ドル高となって、豪ドル/米ドルなどが下がるのではないかと思います。米ドル/円は上がると思いますが、円高の影響も受けると思います。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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ジャクソンホール会議はイベントリスク高いため、ポジションを持たない状態で臨みたい
基本的に、ジャクソンホール会議はイベントリスクが高いため、ポジションを持たない状態で臨むべきだと思います。
特に、翌週(8月30日~)には米雇用統計の発表もあるため、ここで良い数字が出れば、9月のFOMCでのテーパリングの可能性がかなり高まり、米長期金利は上昇しやすく、米ドル/円もそれに連れて、現在のレンジ上限の110.80円も超えて、111円台に乗せる動きが出てくると思います。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
すでに市場は、テーパリングに関してかなり織り込んでいる状態だと思いますので、短期的には米ドル高に反応するとは思いますが、トレンドができるような動きにはならないと思います。
米ドル/円は、今年(2021年)1~3月に動きましたが、それ以降は横ばいが続いています。そして、米長期金利も今年(2021年)1~3月は上昇しました。
テーパリングが示唆されても米長期金利が動かないようであれば、米ドル/円もまだ横ばいとなるため、そのときは他の通貨ペアを取引する方がいいことになります。
まずは、ジャクソンホール会議に注目です。
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