自民党単独過半数、残念なのは“あの人”の落選…
衆議院議員総選挙では、自民党が単独過半数を獲得しました。
大幅に議席を減らすとの予想も多かったのですが、冷静に考えれば「過半数を取れない理由はあるか? 立民が躍進する理由はあるのか?」という感じでしたし、当然なのでしょう。
ただ、我々にはなじみ深い為替ディーラー出身の今井雅人さんが落選してしまったのは、とても残念ですね。
【参考コンテンツ】
●今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」
自民党の甘利明幹事長が小選挙区で落選したことを不安視する声もありますが、日経平均は窓を開けて値上がり。前場終値は645円高となっています。
(出所:TradingView)
ここから続伸するかどうかは、米国株や中国次第となってくるのでしょう。
「六重苦」に苦しむトヨタの決算は?
今週(11月1日~)はトヨタ自動車の決算が発表されます。
今、製造業業界には、半導体不足や中国リスク、資材高騰、電力不安、輸送コスト上昇、東南アジアの人手不足など「六重苦」とも「七重苦」とも言われる逆風が吹き荒れています。
トヨタがどんな数字を出してくるのか、日本株の岐路となりそうです。
中国リスクも気になりますね。
製造業PMIは2か月連続で50割れですが、算出価格指数は2016年以来の高水準まで上昇しており、スタグフレーションの兆候が見られます。
中国景気の悪化は感じますね。ゲームチェンジが起きているのでしょう。
ただ、中国発の悪いニュースが出ても、当局がかなりの程度コントロールできますから、市況が数日崩れることがあっても、長くは続かないはず。
少なくとも北京五輪までは大きな中国発の大きなショックはないでしょうし、資源国通貨が中国リスクで売られた場面は買い場だと思います。
明日11月2日のRBAは「ビッグデイ」に!
今週はイベントが多いですね。
中央銀行では、明日11月2日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])、11月3日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)、11月4日(木)にBOE(イングランド銀行英国の中央銀行])と金融政策発表が続きます。
“Big Day(ビッグデイ)”となりそうなのがRBAですね。
先週(10月25日~)、豪3年債利回りが暴騰しました。
RBAはYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)を行っており、豪3年債利回りの目標は0.1%前後なのですが、10月29日(金)には1.2%台まで急騰しています。
(出所:TradingView)
YCCを事実上、放棄したということでしょう。
カナダやニュージーランドがインフレ対策として利上げへ動く一方、RBAは利上げ時期を2024年以降としていました。
自分たちはニュージーランドのような小国ではないし、大丈夫と思っていたのですが、そうも言っていられなくなっています。
RBA、利上げ時期の前倒しへ。来年利上げの可能性も?
利上げ時期も前倒しされますか?
2023年後半への前倒し予想が出ていますし、あるいは来年(2022年)後半まで前倒しされるのでは…との予想すら出ています。
為替市場ではすでに織り込む動きが出ていますが、ロウRBA総裁の発言に大きな注目が集まっています。
11月3日(水)のFOMCでは、テーパリング開始が決まる見通し。
決定後すぐに買い入れ額を減らすのか、減額のペースはどのくらいか、いつまでにテーパリングを終えるのか、といったあたりが注目でしょうか。
FOMCを受けて米長期金利(米10年債利回り)、そして、株価がどう動くか、ですね。
今年の米長期金利は大きなドラマなく動いています。夏場に底をつけてからも、じわじわ上がるだけ。
株式市場にショックを与えないよう、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がうまくやっていますね。
(出所:TradingView)
サプライズありそうなBOE
見通しが割れているのがBOE。
利上げが濃厚となっていましたが、直前になってHSBCが据え置き予想のレポートを出しています。
英ポンドでは利上げを織り込む動きも出ていましたから、据え置きとなった場合は売られる可能性がありそうです。
注目度でいえばRBA、BOE、FOMCの順でしょう。
特に“ビッグデイ”となる可能性があるRBAは目が離せません。
これまでハト派だったRBAが急速にタカ派転換する可能性がありますね。
高まるバイデン政権への不満
11月2日(火)は接戦となっている米バージニア州知事選です。
カブール陥落、ガソリンの高騰、治安の悪化などにより、バイデン米大統領の支持率が低下していますし、来年の中間選挙は、上下院とも共和党勝利との見通しも出てきました。
【参考記事】
●豪ドル/円への強気の見方は変わらず! 83円程度までの調整はありそうだが、下げた場面では少しずつ買っていきたい(10月25日、西原宏一&大橋ひろこ)
州知事選で共和党が勝つようだと、来年の中間選挙に向けて民主党バイデン政権への不安が高まりそうですね。
左派色を強めるバイデン政権への不満の声は高まっています。
ウォール・ストリート・ジャーナルが報じていたのは、国境で引き離されて精神的外傷を抱えた移民家族への補償金。1人あたり45万ドルの支払いを検討しているそう。
こうした政策に対して、「移民を優遇しすぎだ」との不満の声も出ているようです。
■調達通貨は売り、資源国通貨は買い
今週はCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)、それにOPECプラス(※)の会合も。
COP26では、二酸化炭素排出量世界1位の中国と、世界4位のロシアの首脳がそろって不参加で、足並みがそろいません。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
原油はいかがですか? バイデン米大統領は増産を求めていますが。
OPECプラスは今年の石油需要予測を下方修正しており、サウジアラビアのエネルギー相は「新型コロナウイルスの感染拡大は収まっていない」と増産に慎重な姿勢で、今回も米国など消費国からの増産要請には応じない可能性が高そうです。
原油先物市場でも投機筋ポジションの買い残はさほど積み上がっていませんので、買い余地はまだまだありそうです。
(出所:TradingView)
今週の戦略としてはファンディングカレンシー(調達通貨)の円、ユーロは売り、資源国通貨の豪ドル、カナダドルは買い、でしょう。
米ドルはファンディングカレンシーに対しては強いのでしょうが、資源国通貨よりは弱い。
そう考えると、豪ドル/円の買いやユーロ/豪ドルの売りがいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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