中国恒大集団騒動は「不動産バブル崩壊型」に?
先週(9月20日~)は中国恒大集団(エバーグランデ)関連のニュースが飛び交いました。
香港の友人にも改めて確認しましたが、リーマンショックのような金融システム全体の危機にはならないだろう、という見通しは変わりません。
【参考記事】
●米ドル買い選好方針を継続! FOMCで決定された、非常に重要な内容とは?(9月24日、今井雅人)
●米ドル/円も株価もぶっ飛ぶ!? 自民党総裁選、高市早苗氏の政策はアベノミクスのバージョンアップ。恒大集団問題、影響は限定的か?(9月22日、志摩力男)
●豪ドルは、年末に向けての上昇に期待!リスク選好入りなら、IMMで積み上がった売りポジションの巻き戻しが後押しに(9月21日、バカラ村)
日本の不動産バブル崩壊型だと予想する人もいますね。
その場合、あくまでも中国の国内問題にとどまり、中国株だけがジリ下がりしていくことになります。
「LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)ショック型」だという人もいます。ロシアやその周辺企業だけに影響がとどまるショックです。
いずれにせよ、中国当局が粛々と整理を進めていくことになるのでしょう。
【参考記事】
●円キャリートレードとは? リーマンショック時の巻き戻しでは、円安から急速な円高に一転!
●ノーベル賞を信じるな!? 巨大ヘッジファンドLTCM破綻の余波で米ドル/円が22円暴落!
転換点となった「8月20日」
先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)はどう見ましたか?
ドットチャートでは18人中9人が2022年中の利上げを予想。思ったよりもタカ派な印象でしたが。
(出所:FRB)
【参考記事】
●米ドル買い選好方針を継続! FOMCで決定された、非常に重要な内容とは?(9月24日、今井雅人)
以前なら株価がもう少しグラっときてもおかしくないのですが。影響は軽微でした。
8月15日(日)に、カブール陥落のニュースが出てリスクオフとなりましたが、影響は1週間だけ。
8月20日(金)をボトムに、日経平均は3800円ほど上昇しています。
8月20日(金)前後がボトムとなっているのは、豪ドル/円やWTI原油先物など他のリスク資産も同様。
昨年(2020年)は、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が利下げした3月19日(木)を転換点にしてリスクアセットが上がり始めましたが、今年(2021年)8月20日(金)も、同じようなターニングポイントになる可能性があると見ています。
【参考記事】
●豪ドルは、先週がセリングクライマックスか。ジャクソンホール会議のパウエル講演を控え、ドルストレート回避なら、豪ドル/円の買いで(8月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(2020年3月26日、西原宏一)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米長期金利(米10年債利回り)についてはいかがですか?
米長期金利は1.2%から1.4%のレンジがもう少し続くかと思いましたが、1.4%をあっさり抜けてきました。
上昇基調は続くのでしょうが、かといって一気に3月高値を抜けて1.8%まで行くとは思いませんし、たとえ2%になっても株価への影響は小さいでしょう。
(出所:TradingView)
米長期金利上昇ということは、素直に米ドル高と考えればいいのでしょうか?
米ドル/円はそうでしょう。
ただ、豪ドルやニュージーランドドルなどは、米長期金利が上がれば同じように、豪長期金利やニュージーランド長期金利が上昇するため、反応しにくいのではと思います。
コモディティ・スーパーサイクルと豪ドル/円
では、今週(9月27日~)の戦略は米ドル/円の買いでしょうか?
豪ドル/円がいいのではと思っています。
前述のように、8月20日(金)でリスクアセットはボトムアウトしたと考えていることがひとつ。
それに、昨年から価格が4倍になっているLNG(液化天然ガス)も、豪ドル/円に追い風です。
日本のLNGは、豪州が最大の輸入元。脱カーボンでLNG転換が進めば、豪ドル/円は底堅くなります。
欧州を中心に、「脱炭素」政策で再生可能エネルギーへのシフトが進んでおり、二酸化炭素の排出量が比較的少ない、天然ガスの買いが旺盛になっています。
しかも、再生可能エネルギーによる発電が42%を占めるまでになっている英国では、風況が悪く、風力発電の効率が悪化。
電気代が1年で7倍にも高騰しており、不足した電力量を埋めるために、ガスや石炭発電所を再稼働させています。
(出所:TradingView)
世界的にインフレですね。
10年単位の話になりますが、JPモルガンが提唱する5度目の「コモディティ・スーパーサイクル(※)」はすでに始まっています。
前回は、1999年から2008年までにコモディティ全体の値動きを示すCRB指数が3倍になりました。
(※編集部注:コモディティ・スーパーサイクルとは、商品相場の周期的変動や景気循環のうち、数十年の周期で起こるもの)
【参考記事】
●世界の変革の波に乗れ! クリーンエネルギー関連銘柄をCFDで取引する!
●インフレはやってくるのか。コモディティの新しい上昇サイクルが始まる可能性あり(2月24日、志摩力男)
(出所:TradingView)
景気が悪くないのに財政出動を行なっていますから、インフレになるのも当然ですが、ここからは米長期金利の上昇速度とともにインフレの動向、特にコモディティ価格の重要性が高まっていくのかもしれません。
9月29日、自民党総裁選の影響は?
今週9月29日(水)は自民党総裁選です。
河野太郎さんが増税を打ち出したのは失策でしたね。
海外勢はレジームチェンジへの期待で日本株を買い進めましたが、実際に決まれば政策を詳しく調べるでしょうし、当選したのがマクロ経済への理解が乏しい候補なら、日本株が売られるリスクもありますね。
その他のイベントでは、FOMC明けということでFRB(米連邦準備制度理事会)関連の要人発言が多く、9月28日(火)、9月29日(水)にはECB(欧州中央銀行)フォーラムが開催されます。
ユーロは上値が重く、対米ドルでは週足が変形ヘッド&ショルダーとなっています。
1.1650ドルから1.17ドルあたりのネックラインを割ってくれば、下落が鮮明になるのでしょう。
そのため、ユーロ/豪ドルのショートでもいいのですが、今週は8月20日(金)をターニングポイントに切り返している豪ドル/円を押し目買いしていきたいと思います。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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