衆議院議員総選挙に海外勢は無関心。「鉄火場」にされる日本株
昨日(10月24日)の参議院議員補欠選挙では、自民党が山口県で勝利したものの、静岡県で敗れ、1勝1敗に。
来週、10月31日(日)の衆議院議員総選挙では、自民党単独過半数を期待する声すらありましたが、不安が高まっているようです。
今朝(10月25日朝)の日経平均が前場終値で前週末比284円安となったのは、その影響でしょうか。
(出所:TradingView)
ただ、海外勢は日本の総選挙をあまり意識していないようです。
日本株の現物市場は商いが盛り上がらない一方で、先物市場のボラティリティは高い。
日本株はCTA(商品顧問投資業者)など短期筋の「鉄火場」にされているだけのようですね。
COP26で買われる通貨、高まる日本への脱炭素圧力
個人的に気になったのは、日本の総選挙よりもCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)へ向けたボリス・ジョンソン英首相の発言。
議長国である英国は日本に対して「石炭火力の全廃」を求めています。
COP26の議長国である英国のボリス・ジョンソン首相は、日本に対して「石炭火力の全廃」を求めている (C)Justin Sullivan/Getty Images
英国はすでに、石炭火力発電を2024年までに全廃すると表明しています。
その結果、発電の24%を風力に頼っているのですが、今年は「風なき夏」となって苦しんでいるのは何度も話したとおりです。
同じ苦しみを日本にも味わわせたいのでしょうか……。
【参考記事】
●豪ドル/円にやってきた「イージーマーケット」は米ドル/円にも到来! 5年間の停滞を抜け出し上昇フルスピード。年末120円に不思議なし!(10月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
●豪ドル/円は目標の85円に接近。天然ガス上昇を追い風に、中期100円も想定。米ドル/円は、年末年始に向けて120円へ(10月14日、西原宏一)
●豪ドルは、対円・対ユーロでの買い継続。中期でも、天然ガス急騰が続く公算高く、豪ドルの上昇トレンドは不変か(10月7日、西原宏一)
●豪ドルには、年に1度の「イージーマーケット」のチャンスがまだある! 天然ガスで格差が鮮明な豪ドルは、対ユーロで買い方向!(10月4日、西原宏一&大橋ひろこ)
世界的な脱炭素の流れは変わりませんし、今後も再生可能エネルギーへのシフトは進んでいくのでしょう。
そうなると、炭素排出量が比較的小さい天然ガスは買われやすくなります。
足もとの豪ドル高は、COP26が脱炭素を加速させるタカ派的な方向へと進むことを先取りしていたのでしょう。
(出所:TradingView)
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止まらない原油高。200ドルのオプション物色も
COP26は、資源価格にも影響を及ぼすかもしれません。
WTI原油先物市場では、年内100ドル達成の予想が台頭。
オプション市場では、ブレント原油が来年末(2022年末)200ドルといったオプションも物色され始めたようです。
【参考記事】
●原油高のピンチをチャンスへ変えよう! 原油へ投資する新商品登場。東証上場、「WTI原油ETF」の信用取引よりスグレモノ!
●豪ドルには、年に1度の「イージーマーケット」のチャンスがまだある! 天然ガスで格差が鮮明な豪ドルは、対ユーロで買い方向!(10月4日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
日本は資源を輸入に頼っていますから、資源高は円安要因ですね。
WTI原油は84ドル台まで上昇していますが、OPECプラス(※)に増産の気配はありません。
昨年(2020年)はマイナス価格に陥るほどの原油安で苦労しましたし、コロナ禍からの正常化といっても変異株がいつ登場して需要が急減しないとも限らない――そんな警戒感があるようです。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
【参考記事】
●原油価格が史上初のマイナスに! 一体なぜ? 各社の原油CFDはマイナス価格になったのか?
(出所:TradingView)
原油の価格決定権が米国からOPECプラスに移行していますから、OPECプラスに増産するつもりがないのなら、高止まりなのでしょうね。
米ドル/円、クロス円はいったん天井を付け、ともに調整局面か
米国では、全州でガソリン販売価格が3ドル台まで上がってきました。
インフレが庶民の懐を直撃するようだと、バイデン政権の支持率低下に直結します。
11月2日(火)にはバージニア州知事選を控えていますが、共和党候補が追い上げているようです。
バージニア州知事選は、来年(2022年)行われる中間選挙の前哨戦ともなります。
カブール陥落で同胞を見捨てたことで、バイデン政権の支持率はガクンと低下していますし、このままだと上下院とも共和党が制することになりそうです。
西原さんが資源高に期待して買っていた豪ドル/円は先週(10月18日~)、86.25円まで上昇しましたね。
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のチャートは、いったん天井を付けたように見えます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
ターニングデイとなった8月20日(金)から8円以上も上がりましたから、調整が入るのは自然です。
有料メルマガ「トレード戦略指令!」でお伝えしたとおり、先週いったんスクエアにしており、押し目で再び買っていこうと思っています。
豪ドル/円はいいんですが、米ドル/円も調整が始まってしまいました。こちらはまだ4円程度上がっただけなのですが……。
(出所:TradingView)
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豪ドル/円は下げた場面で少しずつロングを再構築。米ドル/円の調整は113円割れ程度か
IMM(国際通貨先物市場)通貨先物市場の投機筋ポジションを見ると、円は10万枚のネットショート。
だいぶ積み上がりましたから、いったん調整が入っているのかもしれませんね。
今週10月28日(木)は日銀とECB(欧州中央銀行)の金融政策発表ですね。
【参考記事】
●最新IMM円ショート→102,734枚へ急増! 米ハイテク決算、PCEデフレーター注目。(10月25日、ZERO)
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
日欧ともに大きな政策変更はなさそうです。
トルコでは、エルドアン大統領が欧米の大使に国外退去を言い渡したことが嫌気され、今朝(10月25日朝)のトルコリラ/円は史上最安値を更新しています。
トルコ発のリスクオフになるとは思いませんが、ポジションを持っている人は要注意ですね。
さて、今週の戦略はどう考えますか?
(出所:TradingView)
豪ドル/円への強気な見方は変わりませんが、足もとでは83円程度までの調整があってもおかしくありません。
下げた場面では、少しずつロングを再構築していきたいと思います。
米ドル/円も見通しは同じ。調整が続いたとしても113円割れ程度まででしょうから、押し目買いでいいのでしょう。
(出所:TradingView)
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(構成/ミドルマン・高城泰)
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