僕は20数年にわたり、東京、ロンドン、シンガポールの外資系銀行にてトレーダーを歴任。銀行勤務の時の元同僚や先輩の何人かがヘッジファンドを立ち上げたり、ヘッジファンドに勤めたりしており、彼らと頻繁にコンタクトをとっています。
このため、このコラムは「ヘッジファンドの思惑」というタイトルがついていますが、ヘッジファンドも特段、特殊な情報があり、収益を上げているわけではありません。
情報をとり、チャートをチェックし、一部はシステムで運用するといったところ。
ただ、彼らは為替だけを取引しているわけではなく、いわゆるグローバルマクロと呼ばれる運用手法を取るところが多く、株や債券、金(ゴールド)といった商品も含め、各市場間のバランスをとって取引しているところが一般の個人投資家の方とは違うところでしょうか。
このコラムでは、彼らとの会話の中で、自分が興味深いと感じたことなどもご紹介させていただこうと思っています。
それでは、よろしくお願いします。
それでは、第1回は米ドル/円から。
■「QE2(量的緩和第2弾)」の決定と「buy the rumor, sell the fact.」
市場の注目を集めていた今月のFOMC(米連邦公開市場委員会)ですが、大方の予想どおりに「QE2(量的緩和第2弾)」が行われることになりました。総額は6000億ドル。
この発表は市場が予想していたものと大きなカイ離はなく、発表を受けて多くの市場参加者はそれまでキープしていたドルショート(米ドルの売りポジション)を縮小にかかります。
いわゆる「buy the rumor,sell the fact(噂で買って、事実で売る)」ですね。
加えて、11月5日の米国雇用統計が市場予想の2倍以上の伸びをみせたことで、ドル金利は急騰、連れて米ドルは急速に値を戻しています。
それでは実際に、下記の米ドル/円のチャートで値動きを追ってみましょう。
9月21日に、FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が追加緩和措置を示唆します。
それを受けて、ヘッジファンドなどは「ドル金利の低下=米ドル安」というシナリオのもと、ドルショートを積み上げます。
米ドル/円は11月3日のFOMCの発表に向けてジリ安となり、11月1日には80.22円まで急落します。
その後、11月3日の発表を受けて、米ドル/円はジワジワと値を戻し、83.59円まで回復しています。
「QE2」に向けて、ドルショートを積み上げていた市場参加者のポジションは市場にまだ残っていると考えられ、米ドル/円が反落する局面では彼らのドルショートカバー(米ドルの買い戻し)により、当面、米ドル/円の下値は限定されるのではないかと考えています。
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