2008年9月のリーマン・ショック後にとんでもない“大崩落”を起こした豪ドル/円相場。
その結果、2009年はじめには55円台まで下落した豪ドル/円だったが、今年、2010年1月には86円台をつけるまで、約30%も回復した。
これを振り返って「60円割れのあの場面で買っていれば大儲けだったのに…」と後から言うのはカンタンだが、下落相場の真っ只中では恐怖感が先に立ち、そうカンタンには買えないもの。第一、どこで底入れしたか、どうやって判断したらいいものか——。
ところが、「あの時の豪ドル/円の底はカンタンにわかりましたよ」と語る人がいた。
ザイFX!の連載コラム「データが語る為替の法則」でもおなじみのT&Cフィナンシャルリサーチ社長・吉田恒さんだ。
■「オーバーシュート・アラート(OSA)」とは?
吉田さんはなぜ、底がカンタンにわかるというのか? それは“底がわかる秘密兵器”=「オーバーシュート・アラート(OSA)」を持っているからだ。
そして、この「オーバーシュート・アラート」について解説した吉田さんの著書が昨年、2009年暮れに出版された。
『FX予想のプロフェッショナルがついに書いた! FX7つの成功法則』(以下、『FX7つの成功法則』。ダイヤモンド社刊、税込み1500円)がそれだ。
今回は、吉田さんへのインタビューを交えながら、吉田さんとしては4年ぶりの著書となる、この単行本についてご紹介しよう。
■相場の行き過ぎに対して警告シグナルを発する
まず、オーバーシュート・アラートとは何なのだろうか?
「相場というのは極端に上がりすぎたり、極端に下がりすぎたりして、行き過ぎになってしまうことがよくあります。そして、この相場の行き過ぎのことを『オーバーシュート』と言います。
『オーバーシュート・アラート』とは、こうした相場の行き過ぎに対して警告シグナルを発してくれるものなのです」
先ほどは「底がわかる」と書いたが、オーバーシュート・アラートは底だけでなく、天井でも警告シグナルを発してくれるものなのだ。
吉田さんが使っている具体的な『オーバーシュート・アラート』にはいくつかの種類があるのだが、その一つに「5年移動平均線からのかい離率」がある。
■通常は使わないような移動平均線にヒミツあり!
移動平均とは一定期間の終値を平均して出した値。5年移動平均なら、5年間の終値を平均したものとなる。そして、移動平均を結んだものが移動平均線だ。
さらに5年移動平均線からのかい離率とは、今の相場が移動平均線から何%離れているかを示したものとなる。
ちなみに吉田さんの使っている5年移動平均線は1年ごとの終値を5つ平均したものではなく、1カ月ごとの終値を60個平均したものということだ(12カ月×5年分=60個)。
移動平均線はもっとも基本的なテクニカル指標の一つだが、「5年移動平均線」となると、相当算出期間の長い移動平均線と言える。通常はあまり聞いたことがないぐらい長い移動平均線だ。
けれど、これが吉田さんの秘密兵器なのである。そして、この5年移動平均線からのかい離率がズバリ、豪ドル/円の底で警告シグナルを発してくれたものというわけだ。
■過去20年のデータでわかる豪ドル/円の底打ちポイント
「5年移動平均線からのかい離率は相場の中長期的な行き過ぎを示してくれる『オーバーシュート・アラート』です。私は過去30年以上のデータについて、このかい離率を算出しています。
そうすると経験的にどこまでかい離率が広がれば相場が反転するかというポイントがわかってくるんですね。
そのポイントとなる数値は通貨ペアごとに異なっています。
では、豪ドル/円の場合はどうでしょうか?
5年移動平均線からのかい離率をグラフにすると、過去20年に渡って、5年移動平均線からのかい離率がマイナス30%を下回ると下がり過ぎの限界となっていたことがわかります。そのあたりで、底打ちとなるわけです(下のチャート参照)。
そして、2009年のはじめの豪ドル/円は、この『かい離率がマイナス30%を下回る状況』になっていたというわけです」
■「7つの成功法則」とはどんなものなのか?
ここまで出てきたのは相場の中長期的な行き過ぎを示す5年移動平均線からのかい離率だったが、オーバーシュート・アラートに使える指標はその他にもある。
たとえば、短期的な行き過ぎを示す90日移動平均線からのかい離率、さらには購買力平価(PPP)、実効為替レート、長期金利といった指標だ。今回の吉田さんの単行本『FX7つの成功法則』では、こうしたさまざまな指標に対するオーバーシュート・アラートの見方、使い方が詳しく解説されている。
ザイFX!での吉田さんの連載「データが語る為替の法則」にも、このオーバーシュート・アラートは登場するが、単行本を読めば、それを整理された形で改めて頭に入れることができるだろう。
そして、その整理されて凝縮されたモノがまさしく、この本のタイトルにもなっている『FX7つの成功法則』なのだ。
では、その「7つの成功法則」とはいったいどんなものなのか?……それは、ぜひこの本を手にとって、みなさん自身の目で確かめてみてほしい。
■天才でなくても8割の確率で為替は予測可能!
「一般投資家のみなさんには為替は予測不可能と感じている方がいるかもしれません。けれど、為替はきちんとデータを蓄積し、分析すれば、十分予測できるものなんです。
きちんとしたプロの手法を学んで、真似れば、8割の確率で為替予測を当てることも可能。それは為替の天才でなくても、普通の人が達成可能なことなんですよ」と吉田さんは話す。
そして、「8割当たる」何よりの証拠として、『FX7つの成功法則』の中で紹介されているのが、過去にザイFX!が吉田さんに取材した時の記事なのだ。
■ズバリ当たった吉田さんの予想
その一つにザイFX!で2008年7月31日に掲載した記事がある。その中で、吉田さんはこんなふうに語っていた(「吉田恒さんに聞く(3) ~円高第2幕は大統領選前後に起こる~」参照)。
「年内にドル/円は95円を割れていくと思います。理由はアメリカ大統領選挙の年だから…」
「大統領選挙の年は基本、動かないんですよ。特に夏はね。だけど、11月の選挙が近づくと途端に動き出す」
その当時のドル/円は106~108円程度で推移していたが、その後、9月にはリーマン・ショックが起こり、さらに10月にはその余波で為替も株も大荒れとなって、ドル/円が90円台まで下がっていったのはみなさんご存じのとおり。
(出所:米国FXCM)
つまり、まさに吉田さんの言うとおり、11月の大統領選が近づいてきた段階で、大きくドル/円は下がっていったのだった。ザイFX!には吉田さんが「8割当たる」という証拠が残されていた!
こんなふうに単行本『FX7つの成功法則』と、過去のザイFX!の記事、さらにはザイFX!での吉田さんの連載「データが語る為替の法則」を行ったり来たりしてもらえば、より一層、オーバーシュート・アラートへの理解が深まるのではないかと思う。
『FX7つの成功法則』には自分でデータをとってきて、Excelでさまざまオーバーシュート・アラートを計算する方法なども載っているのだが、自分でそんな計算をやるのは面倒くさいという人もいるだろう。
そんな人のために、吉田さんが社長を務めるT&Cフィナンシャルリサーチでは、個人投資家向けに誰でもオーバーシュート・アラートが一目でわかるサービスをこの2月はじめからスタートさせたということだ。
(ザイFX!編集部・井口稔)
つまり、まさに吉田さんの言うとおり、11月の大統領選が近づいてきた段階で、大きくドル/円は下がっていったのだった。ザイFX!には吉田さんが「8割当たる」という証拠が残されていた!
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