オミクロン株で猛烈なリスクオフ!
先週金曜日(11月26日)、南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」が拡大したことで、リスクオフとなりました。
NYダウは一時1000ドル超の下落、日経平均は先物市場で2万8000円割れまで売り込まれました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
流動性の低下した相場を、CTA(商品投資顧問業者)などの投機筋が狙ったのでしょう。
11月26日(金)はサンクスギビングデー(感謝祭)の翌日で、米国株は半休場でしたから、日経平均先物でヘッジするしかない。
トレーダーとしては「お見事!」というしかないですね。
オミクロン株を材料に売りたかった向きがたくさんいた、ということですね。
注意したいのが、今夜(11月29日夜)のNY市場。
ここで再度売られるかもしれませんが、落ち切らなければいったんは戻すのでしょう。
テーパリング加速は見送りか? パウエル発言に注目
米長期金利(米10年債利回り)も1.47%まで急落しました。
12月FOMC(米連邦公開市場委員会)でのテーパリングの加速を予想する人も多かったですが、不透明感が強まりましたね。
今週は11月29日(月)、11月30日(火)、12月1日(水)とパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言があり、その他のFRB要人の発言機会も多いため、要注意です。
(出所:TradingView)
いずれにせよ、オミクロン株の感染力や毒性、既存ワクチンの効果などの続報待ちでしょう。
ファイザーなどはワクチンの有効性を判断するデータが2週間以内に得られるだろう、必要ならば100日以内に新たなワクチンを出荷できる、との見通しを示しています。
100日は長いですね。
既存のワクチンが効かないとなれば、影響が長引くのでしょう。
原油暴落! 12月2日にはOPECプラス会合も
WTI原油は、11月26日(金)に10ドルの暴落となりました。
今週、12月2日(木)にはOPECプラス(※)閣僚級会合が開催されます。
これまで実質的な増産を続けてきましたが、今回は見送る可能性もありそう。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
(出所:TradingView)
バイデン米大統領は「ほら見ろ、原油備蓄の放出が効いただろう」とドヤりそうですね。
すでに各国が渡航制限などの対策を打ち出していますが、さらに厳格化されると、需要減退への思惑からもう一段下落する可能性もありそうです。
米ドル/円はいかがですか?
先々週のセミナーでも話したように、オミクロン株がなくとも、チャート的には上値が厳しい形となっていました。
米ドル/円が上がるには、米長期金利が上がるか、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上がるかのいずれかが必要ですが、米長期金利は急落し、クロス円も売られています。
【参考記事】
●西原宏一×大橋ひろこが2022年相場を解説! スゴ腕FXトレーダー・プラタナス登場で、メルマガを活用した爆益トレード手法を伝授!
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株式市場の最大リスクがオミクロンで払拭!?
ただ、テーパリング加速や利上げの織り込みなどが低下すれば、株式市場にはポジティブとなりますね。
株式市場にとって最大のリスクはテーパリングの加速、米利上げでしたが、オミクロン株によって遠のくなら、再上昇する可能性も高い。
株高からクロス円上昇となれば、米ドル/円が再度115円にトライする可能性もありますが、ただチャート的には深めの押しが入りそうな形となっています。
(出所:TradingView)
オミクロン次第、ですね。
オミクロンの行方を冷静に見ているのがゴールドマン・サックスです。
東日本大震災の原発事故で日本から逃げ出す外資系銀行も多かったのですが、ゴールドマンは東京へ残りました。
こうしたこともあり、個人的にゴールドマンは有事の判断に長けた印象があるのですが、今回も「ポートフォリオを変更する必要はない」とのコメントを出しています。
来週(12月6日~)には「オミクロン? あったよね」くらいに収まっているかもしれません。
実際、南アフリカでも死者数が急増しているわけではありません。ワクチンの有効性を確認したいですね。
では、今週の戦略はどう考えますか?
今週は月末であり、金曜日(12月3日)には米雇用統計も控えているのですが、焦点はオミクロン株の続報。
それが出るまでは無理に取引せず、様子見がいいのでしょう。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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