トルコの11月失業率は横ばい。内需悪化による失業率の増加を製造業の雇用増加が相殺
TUIK(トルコ統計局)は、1月10日(月)に2021年11月の雇用統計を発表しました。
11月の失業率は前月と変わらずの11.2%でした。
(出所:TUIK)
一方で、広義の失業率は22.1%を記録しました。また、15歳から24歳までの若い層の失業率は前月比1.7%増加し、22.3%となりました。内需の悪化による失業率の増加を、トルコリラ下落の恩恵を受けて好調な製造業における雇用増加が相殺している模様です。
12月の製造業PMIは52.1でしたが、製造業PMIは昨年(2021年)の5月以降、50を下回っておらず、為替レートの不安定さに苦戦しながらも製造業の稼働率は高いです。
トルコ長期金利は25%超え。トルコリラの乱高下と不透明な経済運営が要因。
今週(1月10日~)は、トルコの10年債利回りが25%を超えました。これは過去最高水準ですが、結果的に10年債と政策金利のスプレッドが11%まで広がることになりました。
(出所:TradingView)
トルコのCDS(クレジットデフォルトスワップ)は年初から20bp以上も上昇し、579bpに達しています。また、トルコ中銀が利下げを始めた9月以降、期間が3年以上の長期債の利回りは6.50%も上昇しました。トルコリラの乱高下と不透明な経済運営がトルコ債の利回り上昇につながっています。
トルコ政府の為替差損保証付き預金制度はトルコリラをある程度安定させましたが、トルコ人の外貨預金がなお増え続けています。
12月31日の週で、個人の外貨預金は9億3300万ドル増加し、1470億ドルになりました。
【参考記事】
●【2022年のトルコリラ見通し】エルドアン大統領の新政策は、大失敗に終わる可能性。政権交代がなければ、本格的な上昇は難しい(2021年12月22日、エミン・ユルマズ)
トルコ経済の行方に対する不安が根強く、政府が為替損を保証すると言ってもあまり信用していない国民が多数いるという証です。
(C)AdobeStock
政治スケジュールがはっきりするまで、テクニカル分析を使った短期トレードが最適な戦略か
今週(1月10日~)のトルコリラですが、米ドル/トルコリラは13.80リラ前後、トルコリラ/円は8.30円前後の狭いレンジで動いています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコリラの実質実効為替レートは、12月に史上最安水準である47.82に下落しました。前月比で11.7%の下げです。
(出所:トルコ中銀のデータを元にメルマガ部が作成)
昨年(2021年)の市場最安値から反発しても、トルコリラが売られすぎであることに変わりありません。
個人的には、2月もしくは3月のどこかの時点で解散総選挙が発表されるのではないかと予想しています。解散総選挙の発表でトルコリラとトルコ株が大きく反発しそうですが、それまでは狭いレンジのボックス相場が続く可能性があります。
政治のスケジュールがはっきりするまで、長期のポジションよりもテクニカル分析を使った短期トレードの方がトルコリラ投資家にとって最適な戦略であると考えます。
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