イスタンブールのCPIは前月比13.78%増。2002年以降で最高を記録
ICOC(イスタンブール商工会議所)が発表したイスタンブールのCPI(消費者物価指数)は、1月に前月比で13.78%増、年間ベースでは50.91%増となりました。
(出所:ICOC)
2002年以降に記録されたもっとも高いインフレ率ですが、イスタンブールはトルコの最大都市であり、経済活動の中心なのでトルコの全国インフレ率もイスタンブールに近いと考えています。
TUIK(トルコ統計局)は、政府の指示によりインフレの数字をずっと操作していて、本来より低く見せています。エルドアン大統領は過去に何度もTUIKの局長を変えたことがありますが、その理由は、彼らがエルドアン大統領が見たくなかったインフレの数字を出したからです。
インフレ率の押し上げ要因は原油価格の上昇。エネルギー危機が製造業に悪影響
ICOCが発表したデータの中身を見ると、この1カ月でもっとも価格が上昇したセクターは26.69%増の通運と通信、21.5%増の健康・パーソナルケア消費と17.19%増の住宅になりました。
これを見ると、やはり原油価格の上昇がインフレを大きく押し上げているのがわかります。
(出所:TradingView)
また、薬品・化粧品の価格上昇も著しいです。エネルギー価格の上昇がトルコにエネルギー危機をもたらしていて、トルコ政府は製造業向けの電気供給を制限せざるを得なくなりました。
トルコの1月の製造業PMIは50.5で12月の52.1を下回っていることからもエネルギー危機が製造業に悪影響を与えていることがわかります。輸出は堅調に推移しているもののインフレの上昇が国内受注を減らしていて、1月の新規受注は4カ月連続で減少しました。
トルコリラはしばらく狭いレンジを想定も、ウクライナ情勢悪化すれば売りが強まる可能性もある
今週(1月31日~)のトルコリラですが、米ドル/トルコリラは13.40リラ前後、トルコリラ/円は8.50円水準での狭いレンジで推移しています。FOMC(米連邦公開市場委員会)開催後、トルコリラを含む新興国通貨に新規買いが入りました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコリラはしばらく狭いレンジでの動きが続くと思いますが、ウクライナ情勢が悪化するとレンジを下に抜ける可能性もあります。
トルコがウクライナに軍事ドローンを輸出していて、直近でウクライナ国内でのライセンス生産の契約もしました。ウクライナは現時点でトルコ製のドローンを20機保有していますが、これらはドンバス地方での親ロシア派の武装組織に大きな被害を与えたと言われています。ドローンの輸出はトルコをウクライナ・ロシア対立の当事者の一人にしているのは明らかです。
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