トルコ製造業の好調ぶりが顕著に。トルコリラ安と欧州経済回復が追い風に
TUIK(トルコ統計局)は1月13日(木)に、2021年11月の鉱工業生産指数が146.8ポイントとなったと発表しました。これは前年同月比11.4%上昇で、前月比では3.3%の上昇です。10月は8.7%の上昇でしたので、トルコの製造業の好調ぶりが増したことがわかります。
(出所:TUIK)
セクター別で見ると、製造業は12.5%、採鉱と採石は7.5%、電気・ガス・蒸気・空調は4%の上昇でした。
同日に発表された2021年11月の総売上高指数は前月比11.8%増、前年比で60.4%増となりました。前月比では2020年7月以来の高い伸び率ですが、前月比ベースでは貿易業、前年比ベースではサービス業と製造業の伸び率がもっとも大きいです。
トルコリラ安と欧州経済の回復が、トルコの製造業に追い風となっています。
(出所:TradingView)
1月12日(水)に発表されたユーロ圏の11月の鉱工業生産指数もコンセンサス予想である0.5%増を大きく上回る2.3%増となったことから、ユーロ圏とトルコの製造業が似たような動きをしていることがわかります。
トルコ経済の全体像はあまり良くない…。パンデミックと法人税収入の減少が国家財政を圧迫
製造業の堅調ぶりについて、以前からこのコラムで指摘していますが、トルコ経済の全体像は引き続きあまり良くないのが現状です。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】トルコの解散総選挙が、2月か3月に発表されると予想。今はテクニカル分析を使った短期トレードが最適な戦略か(1月12日、エミン・ユルマズ)
トルコ国庫・財務省の発表によると、2021年の国家予算の赤字は1922億リラになり、2020年の赤字額を越えました。赤字額がGDPに占める比率は3%を下回っていますが、オミクロン株の登場によるパンデミックの長期化、企業業績の悪化による法人税収入の減少が国家財政を圧迫しています。
エルドアン政権が水面下で進めている選挙キャンペーンの一環として公務員給与が大幅にアップされましたので、今年(2022年)の国家予算の赤字額はさらに拡大すると予想しています。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】トルコリラの安易な空売りはNG! 2022年前半のトルコリラは、慎重な強気スタンスが適切か(1月5日、エミン・ユルマズ)
1月20日のトルコ中銀政策会合は据え置き予想が多数も、1%の利下げが行われても驚かない
今週(1月18日~)のトルコリラですが、米ドル/トルコリラは13.50リラ前後、トルコリラ/円は8.50円前後で動いていて、先週(1月10日~)より若干上昇したレンジとなっています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコリラ投資家にとって注目のイベントは1月20日(木)に行われるトルコ中銀の政策会合ですが、市場関係者と現地メディアでは政策金利据え置きの予想が大多数を占めています。
原油価格が再び80ドルを超え、トルコのインフレ圧力も高まっているので本来であれば利下げは考えられませんが、エルドアン大統領は直近でもさらに利下げすべきであるという主張を繰り返していて、1月20日(木)に100bp(1%)の利下げが行われても驚きません。
(出所:TradingView)
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