日銀の指し値オペ実施発表を受けて、円安第1弾、第2弾が起きた
先週(3月21日~)までは、一方的な円安トレンドが出来ていましたが、今週(3月28日~)は乱高下をするという展開に変わってきています。
【参考記事】
●米ドル/円は、125円が視野に入ってきた。「円安は、こんなものでは終わらない。まだまだ続く」と考えるのが自然(3月24日、今井雅人)
その原因となったのが、月曜日(3月28日)の動きです。
月曜日は普通に始まったのですが、日銀が指値オペを実施することを発表すると、まず一発目の円安が発生しました。
そして、さらに日銀が3月29日(火)から3月31日(木)まで、3日間連続で指値オペを実施すると発表したことで、円安第2弾が起きるという展開でした。
(出所:TradingView)
どうしてここまで反応してしまったのかを考えてみます。
まず、最初の場面ですが、実は日銀が先週末、指値オペを実施するのではないかという観測が流れ、オペが見送られたことを受けて、円高になる局面がありました。
日銀は指値オペをやらないのかなと思った時に、一転してオペを実施すると発表したので、サプライズとなって、円安に反応したということです。
2つ目の局面ですが、これまで、指値オペの予告は1日分だけでしたが、今回3日まとめて予告したということに市場がびっくりして、さらなる円安を引き起こしたということです。
あまりに速く125円に到達した米ドル/円は、極端な反応をしたことの後遺症で、反落も速かった
しかし、それにしても、市場の反応が極端過ぎました。
米ドル/円はあっという間に、みんなが1つの目標としていた125円に到達しました。
落ち着いた状態で125円を迎えていれば、動きも冷静なものになっていたと思いますが、あまりに速く到達したために、やや呆然とした感じで相場を眺めていた投資家も多かったと思います。
そして、そこからの反落も非常に速度が速かったため、利食いのタイミングを失ってしまいました。
そうなると、売っておきたかったという後悔の念が市場全体に広がります。
こうした状況になってくると、もう相場は上がりません。米ドル/円はジリジリと下落していきました。
さらに、期末決算関係で、リパトリ(海外から日本にお金を戻す)に伴う円買いが大量に出て、さらに円高になりました。
岸田総理と黒田総裁が急遽会談をしましたが、大した話は出るはずはないのは分かっていても、どうしても不安になって円買いが出てしまいました。
それもこれも、月曜日に極端な反応をしたことの後遺症です。
(出所:TradingView)
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ウクライナ情勢の停戦交渉前進報道で、円全面高は説明がつかない。やはり月曜日の反動だったのだろう
ウクライナ情勢で停戦交渉が前進したと伝えられ、円高になったということも非常に不思議です。
停戦方向に歩み寄りが見られたということであれば、これまでその影響を受けていたユーロが上昇するのはわかりますし、資源国通貨が売られるのも理解できます。
しかし、円全面高になったのは、通常では説明がつきません。
資源価格の下落から米国の長期金利(米10年債利回り)が低下して、米ドルが売られるというのが、一応の説明だとは思いますが、それにしても、ユーロ/米ドルより米ドル/円の方が大きく動く合理性がありません。
やはり、月曜日の反動で、こうした不合理な反応までしてしまうようになったのだと思います。
一方的な円安は難しくなってきたが、上下動を繰り返しながら、ジリジリと円安方向に戻っていく流れを想定
その上で、今後の円相場がどうなっていくかという点を考えて見ます。
今週の乱高下で、市場にはかなり疲労感が漂っており、その影響でまだ後遺症がかなり残ると思います。
市場がかなり薄くなっていますので、簡単に1円ぐらいすぐ動いてしまいます。
しかし、今の動きは所詮はポジション調整です。円を取り巻く環境に変化はありません。
月曜日の動きに懲りて、かなり神経質になっているので、一方的な円安の展開になるのがかなり難しくなってきましたが、上下動を繰り返しながら、ジリジリと円安方向に戻っていくという流れを想定しておきたいと思います。
(出所:TradingView)
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今後ユーロが上昇してくる可能性が高い。ウクライナ情勢の落ち着きやECBの金融引き締め傾向が理由
その他の通貨としては、今後ユーロが上昇してくる可能性が高いと見ています。
ウクライナ情勢がやや落ち着いてきたことに加え、ECB(欧州中央銀行)がかなり金融引き締めに傾きつつあることが理由です。
今後のウクライナ情勢に注視しておきましょう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
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