ロシア側はますます要求をエスカレート。ウクライナ情勢の長期化は必至
この1週間も、ウクライナ情勢に翻弄される展開が続きました。
ここにきてウクライナ側は、停戦に向けて妥協をする姿勢を見せています。
具体的には、今後国境周辺の安全を担保してもらうことを条件に、NATO(北大西洋条約機構)への加盟をあきらめることを示唆しています。
しかし、ロシア側は、ますます要求をエスカレートさせています。
特に、クリミアの独立の正式な承認、そして、ウクライナ東部のドネツク州、ルガンスク州の独立を求めて一歩も引く様子はありません。
さらに、現ゼレンスキー政権の退陣も求めています。
3月10日(木)にウクライナ、ロシア両国の外相会談が行われましたが、物別れに終わりました。
ウクライナにとって、NATOへの加盟を諦めるのは出来るかもしれませんが、他の要求に応じられるわけがありません。
そんな中でいくら交渉を続けても、解決の糸口が見つかるとはとても考えづらく、この問題は長期化することは必至だと改めて感じています。
ユーロ/米ドルはいずれ1.06ドル台を見ることができるのでは
そのうえで、FX市場の流れですが、基本的には変わっていません。
今週(3月7日~)は水曜日(3月9日)から激しいポジション調整で、ユーロが大きく上昇しました。さすがにかなりショートポジションが溜まっていたようです。
しかし、その流れも続かず、またジリジリと下落してきています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 1時間足)
金融市場全体的に、ウクライナ情勢の長期化はかなり織り込んできているように見えますので、今後はこれまでのように急落する局面はなくなってくると思いますが、やはりユーロの方向は下ではないかと思っています。
ユーロ/米ドルはいずれ1.06ドル台を見ることができるのではないでしょうか。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルは、1.06ドルを目指した売り戦略で! 米ドル/円はレンジだが、上に抜ける可能性が高く、押し目買いが安心か(3月4日、今井雅人)
(出所:TradingView)
資源価格が高騰。資源国通貨の代表である豪ドルは、今後も堅調な動きを見せると予想
原油はOPECプラス(※)が増産を検討するという報道で一時的に下落する局面もありましたが、基本的には、高止まりをしています。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
(出所:TradingView)
他の資源価格も高いままです。金価格はとうとう2000ドルに達しました。
(出所:TradingView)
こうした動きを受けて、資源国通貨の代表である豪ドルは、相変わらず堅調です。豪ドル/円も85円台がしっかりしてきました。
この通貨は今後一気に上昇することはないかもしれませんが、堅調な動きを見せると予想しています。
(出所:TradingView)
米ドル/円はジリ高が続きそうだが、一気に118円、120円というような相場展開にはならない
最後に、米ドル/円について考えていきたいと思います。
米ドル/円は114円台から115円台でのもみ合いがずっと続いていたのですが、ここに来て少し上方向に向かい始めています。
この1週間を見ると、日本の年金などの機関投資家が115円台で買っている動きが何度か見られました。
通常、日本の機関投資家は米ドル/円が下がったところを買いたいと、じっと待っていることが多いのですが、この水準で買ってくるということは、もう下がらないと判断しているのかもしれません。
こうした買いが米ドル/円をジリジリと押し上げているのだと思います。
ただ、動きに関しては非常にゆっくりしていますので、これもジリ高が続くということではないかと思います。
116円台がしっかりしてきても、一気に118円、120円というような相場展開にはならないと考えています。
(出所:TradingView)
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