ウクライナ情勢は悪化の一途。それを織り込んだ相場に
今週もよろしくお願いします。
ウクライナ情勢ですが、予想どおり泥沼化してきました。
【参考記事】
●米ドル/円は114円台の堅さを確認、114円台半ばあたりは買いか。ユーロ/米ドルは、1.12ドル台前半を目指した売り方針で(2月24日、今井雅人)
●ウクライナに関する情報に振り回されて、「円」が乱高下か。大きなポジションは取らず、短期間で逃げる姿勢が大切(2月18日、今井雅人)
ロシア軍はウクライナ全土で破壊活動を継続し、一方でウクライナとの停戦協議をしていますが、双方が歩み寄れる糸口も見つからず、本当に残念なことになっています。
ウクライナ情勢が緊迫化していていた当初は、様々な情報が飛び交い、その度に相場も乱高下する局面がありましたが、結局、情勢は悪化の一途をたどっているため、それを織り込んだ相場になってきました。
地政学リスクが高まった中で、米ドル/円にまったく方向感がない
しかし、今回は1つ、今までとは違う特徴があります。
通常、地政学リスクなどの大きな出来事が起きると、リスクオフからの株安、円高という流れになることがよくあります。
しかし、もう1つの可能性もあります。それは、米ドル高です。
ご存じのとおり、現在の世界の基軸通貨は米ドルで、世界中の様々な取引の大半は米ドルでやり取りされています。
そのうえで、何かの危機が発生したとき、国にしろ、企業にしろ、危機に備えて十分な手元資金を確保しておこうとする傾向があります。
そのため、通常は資金市場というところで、米ドルを調達するのですが、それでも足らないときなどは、為替市場で直接ドル買いをして、米ドルを確保しようとする動きになるときがあります。
そうすると、米ドルが上昇するという流れになるということです。
新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年の前半、当初はリスクオフから激しい円買いが起き、米ドル/円も急落しました。
しかし、その後、米ドルの買いあさりが起き、米ドル/円は急反転するという流れになりました。
(出所:TradingView)
まさに、1つ目のシナリオから2つ目のシナリオに転換した例でした。
そこで、今回はどうでしょう。
米ドル/円を見る限り、114円台から115円台のレンジに入り込んでしまい、まったく方向感がありません。
過去、地政学リスクが高まった中で、こんなケースを私は今まで見た記憶がありません。
(出所:TradingView)
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ユーロ/豪ドルは急落をしているのがはっきりと分かる
その上で、面白い現象が起きています。1つはユーロ安です。
これは、ウクライナ、あるいはロシアに一番近く、関係が深いのはEU(欧州連合)圏ですので、その通貨が下落しているという、ある意味非常に分かりやすい流れです。
一方、上昇している通貨があります。その典型は豪ドルです。
日本では、あまりなじみがありませんが、オセアニアやヨーロッパでは、ユーロ/豪ドルという通貨ペアもよく取引をされます。
そのチャートを見ると、急落をしているのがはっきりと分かります。
(出所:TradingView)
豪ドル上昇の理由は2つ。資源価格の急上昇と距離的な問題
では、今回何故、豪ドルが上昇しているのか? それは2つの理由からのようです。
1つは原油を始めとして、資源価格が急上昇していることです。
(出所:TradingView)
豪ドルはいわゆる資源国通貨といわれていますので、資源価格の上昇に伴って豪ドルも上昇しているということ。
そして、2つ目は距離的な問題。ウクライナから近い地域の通貨を売って、距離の遠い地域の通貨を買うという取引に注目が集まり、その代表として、ユーロ/豪ドルでの売りが本格化しているということです。
私もユーロ安は予想していて、ユーロの売りポジションで基本的にはやってきたのですが、豪ドルのところまでは、最近まで頭が回りませんでした。まだ、この流れは続くと思います。
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米ドル/円はレンジトレードだが、押し目買いが安全か。ユーロ売りをメイン戦略として継続
さて、その上でのことですが、米ドル/円に関しては、ともかく現在のレンジを抜くのは難しそうですので、114円台から115円台でのレンジトレードをしていくことだと思います。
どちらかと言えば、上方向に抜ける可能性が高い気がしますので、押し目買いから入るほうが安全だと思います。
(出所:TradingView)
そして、メインはやはりユーロ売りです。ユーロ/ドル、ユーロ/円のどちらでもいいのですが、分かりやすいのはユーロ/米ドルでしょうか。
ユーロ/米ドルも安値をどんどん下に抜けてきて、ずっと私がターゲットとして取り上げてきた1.06ドル台が本当に視野に入ってきました。
【参考記事】
●米ドル/円は120円へ、ユーロ/米ドルは1.05~1.06ドルへ向かう動きに! 米ドル買いのポジションを維持する方針は継続(2021年11月25日、今井雅人)
●米ドル/円、時間はかかるが120円へ向かう展開へ。米国の物価は約31年ぶりの高水準、ユーロ/米ドルは1.05ドルあたりを目指しそう(2021年11月11日、今井雅人)
●ユーロ/米ドルに大相場の可能性!目立ったチャートポイントのない空白地帯が続き、1.06ドル台までの大幅下落も!(2021年10月1日、今井雅人)
(出所:TradingView)
そこまで到達するかはまだ定かではありませんが、それを目指してユーロ売りをメイン戦略として続けていきたいと思います。
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