米ドル/円、新年度の買いは断続的に続く
先週(3月28日~)、125円に到達した米ドル/円ですが、その後は反落していますね。
125円が節目になるのは想定どおりですが、気になっていたのは年度末と新年度になっての動き。
先週金曜日(4月1日)、やはり本邦勢のニューマネーが入ってきたようで、東京時間に買われて1円ほど上昇しました。
(出所:TradingView)
これだけ債券価格が下がっていても買われるんですね。
例年、3月末から4月1日にかけての米ドル/円は、ニューマネーの買いで上がりやすい傾向があります。
動きの遅い機関投資家の場合は、4月になってから新年度の戦略ミーティングを開いて方針を決めて、4月第2週、第3週から買ってくるというところもあります。
景気後退シグナル「逆イールド」が発生
マーケットでは「逆イールド(長短金利の逆転)」が話題ですね。
米2年債利回りが米10年債利回り(米長期金利)を上回るだけでなく、米5年債利回りと米10年債利回りなど、さまざまな年限で逆イールドが発生しています。
(出所:TradingView)
逆イールドが起きると通常、1年から1年半後に景気後退が始まるとされています。
株式市場にはネガティブな影響が出そうですね。
ロシアからの天然ガス輸出が止まり、豪州からの輸入が増えれば、豪ドル/円の買い要因
ロシア関連では、プーチン大統領が非友好国への天然ガス輸出について、ルーブルで支払わなければ輸出を停止するとしています。
停めてしまえば、ロシアも収入源が失われますから、実際に停めることはないのでしょうが、プーチンさんが大きく譲歩するとも考えにくく、混乱も予想されます。
特に、天然ガスをロシアに依存する欧州で影響が大きくなる可能性もあります。
テクニカル面で見るとユーロは買いなのですが、このニュースが気になるため様子見でしょうか。
岸田政権は、ルーブル払いを拒否する方針を示しています。
日本のLNGはロシアの割合が9%ですが、岸田首相のお膝元である広島ガスは、サハリンから約5割を調達しています。
気になる数字ですね。
もし、ロシアからの天然ガスが止まれば、他国から買うことになりますし、特に、地理的に近い豪州からの輸入が増えるでしょう。
そうなれば、豪ドル/円の買い要因ですね。
コモディティ市場では、ウクライナ侵攻から暴騰していた小麦価格が、いったんトップアウトしたように見えます。
インフレ圧力が和らげば、足もとの金利上昇も落ち着く可能性があります。
コモディティの動向も注視したいですね。
(出所:TradingView)
「2022年はFXの年になる」
昨年(2021年)は米国株の年となり、一昨年(2020年)は暗号資産が盛り上がりましたが、「今年(2022年)はFXの年になる」との声が高まっています。
3月の米ドル/円は114円から125円まで1か月で10円動きました。
これだけのボラがあり、かつ最大25倍のレバレッジがかけられると、FXの年になるという声も納得です。
(出所:TradingView)
ただ、1か月で10円動いた直後ですから、一気に黒田シーリングの125円を超えていくのは難しいでしょうか?
注目しているのが123.50円のオプション。
かなり大きな金額が設定されているため、このオプションが消滅するまでは、123.50円を大きく超えるのは難しいかもしれません。
ただ、オプションを利用して123.50円より下では買い、上では売りといった短期トレードが狙えそうです。
このあたりは、今日(4月4日)配信する動画で詳しく解説します。
(出所:TradingView)
今週(4月4日~)のイベントとしては、明日、4月5日(火)がRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の会合です。
どう見ますか?
利上げが近づいている豪州ですが、その時期は7月か8月。
今回は据え置きでしょう。
4月6日のFOMC議事要旨はQT議論に注目
4月6日(水)にはFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨が発表されます。
「前回FOMCで、すでにQT(バランスシートの段階的な縮小)について議論され、5月か6月にもQTが始まるのでは」と予想する向きもあるため、注目ですね。
もし、QTが近いということになれば、123.50円のオプションを突き抜けて一気に上昇する可能性もあります。
深夜3時と発表時間は遅いですが、気をつけたいですね。
今週の戦略はどう考えますか?
米ドル/円は123.50円のオプションを利用して、下がったところをていねいに拾っていくのがいいでしょうし、豪ドル/円の押し目買いでもよさそうです。
豪ドル/円は中期的には100円を目指すのでは。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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