週明けのWTI原油、130ドルへ暴騰!
今朝(3月7日朝)、WTI原油が上に大きな窓を開けて、一時130ドルまで急騰しました。
(出所:TradingView)
経済制裁強化のひとつとして、欧米がロシア産原油の禁輸を検討との報道がきっかけですね。
米国では「ロシアの原油を買っている場合か」と、バイデン米大統領への批判も高まっていましたし、当然といえば当然の措置ですが。
当然予想されたことですが、ショート筋が踏み上げられているようです。
来週(3月14日~)が先物・オプションのSQ(※)ですから、そこでいったん波乱は終わるのかもしれませんね。
(※編集部注:「SQ」とは先物・オプションといった取引の最終決済を行うための価格のこと)
3月10日ECB理事会、ラガルド総裁の再転換と為替介入
全体的にボラティリティが高まっていますね。
今日(3月7日)の日経平均前場は819円安。2万5000円割れ寸前まで下げる場面もありました。
為替市場では、ユーロ/豪ドルが2月から1300pips以上の下落です。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
行き過ぎにも見えますが、まだ下がるのでしょうか?
ユーロ/米ドル次第でしょうか。
ユーロ/米ドルは2000年から引いた超長期のサポートラインを下抜けています。
コロナショックではヒゲとなって跳ね返されたのですが、今回はどうなるのか。
(出所:TradingView)
このラインを見ると下げそうに見えますね。
3月10日(木)には、ECB(欧州中央銀行)理事会があります。
2月の会合ではタカ派への転換を強くにおわせて、ユーロは急騰しました。
この危機的状況では、さすがにタカ派ではいられない。タカ派的なスタンスは引っ込めるでしょう。
とはいえ、ユーロ圏でもインフレが高まっていますから、どこまでユーロ安を許容できるのか。
一部では、ユーロ買い介入の可能性がささやかれています。
ユーロ/米ドルがパリティを割っているならともかく、まだ介入するような状況ではないと思いますが。
口先介入程度ならあるのかもしれませんし、それもないようだと、ユーロはもっと下がるのかもしれませんね。
ラガルド総裁の記者会見に注目が集まりそうです。
資源国通貨は買い、欧州通貨は資源があっても売り
為替市場の状況を整理すると、ロシア侵攻前日から今日までの強弱を見ると、強い順に豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドル、そして円。
弱い順にスウェーデンクローナ、デンマーククローネ、ユーロ、英ポンド、ノルウェークローネ、スイスフラン。
買われているのは資源国通貨です。スウェーデンやデンマークも資源国ですが、欧州通貨は総売りとなっています。
西原さんが以前から話していた「北半球から南半球へ」という資金シフトですね。
「近くの戦争は売り、遠くの戦争は買い」との相場格言がありますが、その通貨版でしょうか。
【参考記事】
●豪ドルを筆頭に、上昇基調へと回帰した資源国通貨に注目! 米国の大幅な利上げ予想は後退、インフレでも低金利は継続?(3月3日、西原宏一)
●豪ドル/米ドルや豪ドル/円の押し目買いで! ウクライナ情勢で核の恐怖が現実的なものとなり、資金は「北半球から南半球」へ(2月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
今朝も資源価格が上がっていますし、豪ドルはまだ強いのでしょう。
一方で、気になるのが米ドル。
3月16日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では一時、0.5%利上げの可能性も高まっていましたが、その線はほぼ消滅。0.25%の利上げにとどまるでしょう。
異次元緩和脱出!? 静かに近づく日銀の「出口」
3月10日(木)に発表される米CPI(消費者物価指数)がよほど跳ねないかぎり、0.25%でしょうね。
日本ではリフレ派の審議委員が任期を迎え、後任に高田創さんが就任するようです。
高田さんには『異次元緩和脱出 出口戦略のシミュレーション』との著書があるほど、強烈な出口論者。
今のテーマはウクライナ一色ですが、いずれ日本の利上げが焦点となる場面もありそうです。
それにしても、米ドル/円は動きませんね。
米長期金利(米10年債利回り)が1.69%まで低下し、日経平均が2万5000円まで下げても、反応はごくわずかです。
(出所:TradingView)
本来なら日本株が資金の逃避先となってもおかしくないのですが、そんな気配はみじんもありません。
一方で、買われているのがゴールド。
本来なら「有事の金」は、いざ有事が始まるとセル・ザ・ファクトで売られるのですが、今回は核戦争の不安すらあって終わりが見えないせいか、まだ買われています。
(出所:TradingView)
円もスイスフランも買われず、ビットコインもリスクアセットとなっている今、セーフヘイブンがゴールドくらいですね。
「ロシア金本位制回帰」の誤解
ロシアでは、地金への付加価値税20%を撤廃するとの発表がありました。
SNSでは「金本位制への回帰」と解釈する人もいますが、それは誤解。
ロシアルーブルが急落していますから、金の流動性を高めよう、ということでしょう。
ロシアは世界第3位の金生産国なので、海外へ売れなくなった分を、自国民に買わせたいとの思惑もあるのかもしれません。
いずれにせよ、豪ドルやニュージーランドドルなどの資源国通貨が買われる流れは続くのでしょうし、米国は毎会合利上げしていくような雰囲気ではなくなっています。
ユーロの行方にも注意しつつ、豪ドル/米ドルの押し目買い継続でいいでしょう。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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