トルコ主要都市の住宅価格は1年で2倍以上値上がり。ロシア人富裕層が移住し、トルコ資産に投資開始か
トルコ中銀は今週(4月18日~)2月の住宅価格指数を発表しました。2月の住宅価格の上昇率は前年同月比で96.4%を記録しました。特にイスタンブール、アンカラ、イズミルなどの大都市はこの1年間で住宅価格が2倍以上に値上がりしています。
(出所:トルコ中銀)
2月は前月比ベースでも13.5%の上昇ですが、ロシアによるウクライナ侵攻がトルコの住宅価格を大きく押し上げている要因のひとつです。
トルコはシリアの難民を400万人以上抱えているうえに、米軍のアフガニスタン撤退以降、アフガン難民も増えています。そこにロシアやウクライナからトルコに避難している人も加わっているので、特に大都市の住居が足りなくなっています。
外国人による住宅購入が近年増えていますが、TUIK(トルコ統計局)の発表によると今年(2022年)3月に外国人が購入した住宅の数が前年同月比で31%増えました。
現地メディアによると、欧米諸国の制裁を受けているロシア人のお金持ちの一部はトルコに移住し、トルコの資産に投資を始めているようです。
データがないのでこの情報はどこまで正しいか確認できませんが、直近のトルコ株やトルコの不動産価格の動きをみるとトルコに資本流入が起きているのは間違いないです。
米金利上昇時の短期対外債務の増加はトルコリラの売り圧力につながる
一方で懸念すべき点は、トルコの短期対外債務の増加です。トルコ中銀は2月末のトルコの短期対外債務残高は1305億ドルと発表しています。
前年比で8.5%増ですが、1305億ドルのうち銀行セクターの債務残高は547億ドル、銀行を除く民間セクターの債務残高は460億ドルとなっています。
米金利が上昇している環境での短期対外債務の増加はトルコリラの売り圧力につながります。
(出所:TradingView)
円安主導で、トルコリラ/円は目先9円までの上昇を想定。ロシアとウクライナ和平交渉進展なら、リスク資産すべての追い風になる
今週(4月18日~)のトルコリラは、対米ドルでは大きく動いていませんが、円安が加速したことで対円では上昇に転じています。米ドル/トルコリラは14.70リラ前後ですが、しばらくレンジ相場が続きそうです。
(出所:TradingView)
トルコリラ/円は8.70円を超えてきましたが、円安トレンドは今後も続きそうで、目先、9円までの上昇を想定すべきです。
(出所:TradingView)
ロシアとウクライナの和平交渉に大きな進展がみられていませんが、トルコ政府は両国の首脳をトルコで会談させるために外交努力を続けています。
実現した場合に大きな進展となり、トルコリラに限らずリスク資産すべてに追い風となるでしょう。
エミン・ユルマズ
<内容紹介>
今後の世界経済はどのように展開していくのか?すべてがバブルと思われるほど価格が上昇したいま(2022年春)、リーマンショック以上の世界経済の崩壊(!)が近づいていることを、著者は深く懸念している。さらにサイバーセキュリティへの懸念や暗号通貨の広がりなど、グローバル化、デジタル化した世界経済ならではの、新しい問題についても警鐘を鳴らしている。
著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
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