5月12日発表の米CPIに注目
5月4日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、事前に想定されたとおり0.5%の利上げが発表されました。
注目されたのは、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が次回6月会合での0.75%の利上げについて「積極的に検討するものではない」と否定したこと。
ところが、5月6日(金)にはリッチモンド連銀総裁から「可能性を排除しない」との発言も出ています。
【参考記事】
●米ドル/円は、128円台を下限と考えた押し目買いで。当面は128.50~131.50円のレンジを想定、GW明けに円売りが戻るか動向を注目(5月6日、今井雅人)
パウエル議長はすでに「インフレ対策に失敗した議長」と認識されており、ペースはどうあれ、今後利上げを急速に進めざるを得ない状況は変わらないでしょう。

パウエルFRB議長はすでに「インフレ対策に失敗した議長」と認識されており、ペースはどうあれ今後利上げを急速に進めざるを得ない状況は変わらない (C)Bloomberg/Getty Images News
インフレの原因のひとつが賃金上昇でしたが、給与を上乗せしてのヘッドハントを取りやめる企業も増えているようで、インフレのピークアウトが近いと見るエコノミストもいるようです。
米国でもそうした見方は出ています。
その意味で、あさって5月12日(木)に発表される4月分の米CPIは注目。
3月は前年比8.5%の上昇でした。ここから10%、15%とは行かないまでも高止まりするのではないかと思います。
たとえインフレが6%まで下がったとしても、FRBがターゲットとする2%は遠い。
米CPIが多少下がったからといって利上げを中断するわけにはいかず、米金利の上昇は続くのでしょう。
「米ドル不足」で米ドル1強
岸田総理は今日(5月9日)、G7(先進7カ国首脳会議)でロシア産石油の原則禁輸を発表しました。
原油高となるニュースですが、一方、サウジアラムコはアジア向けの原油販売価格を4か月ぶりに引き下げました。
G7の禁輸はこれまでの流れに沿った措置ですが、サウジアラムコの件は上海ロックダウンが長期化するなど中国での需要減退が影響しているようですね。
G7のロシア産原油禁輸と中国経済の後退との綱引きとなり、原油価格もレンジ相場ですね。
中国では、習近平国家主席がゼロコロナ政策の堅持をあらためて表明しています。
体面を気にしているのか、方針転換ができなくなっているようですね。
中国経済の変調で中国人民元も大幅安。
資本流出が起きているようですし、ゼロコロナ政策の失敗は株安・米ドル高ともなります。
中国人民元安・円安・オセアニア通貨安で米ドル1人勝ちですね。
最近では仲値に向けた米ドル買いが目立ちますし、本邦勢だけでなく世界的に米ドル不足となっているようでもあります。
米ドルの手当が遅れており、買わないといけない人が多いのでしょう。
「インベスト・イン・キシダ」
話題となったのが、ロンドンで講演した岸田総理の「インベスト・イン・キシダ」宣言。
具体策としてNISA(少額投資非課税制度)の拡充や、脱炭素への150兆円投資、原子力発電の活用などを表明しています。
原発再稼働には心理的な抵抗も強い。一筋縄ではいかないでしょう。
それでも再稼働できれば、貿易赤字の縮小につながり円高要因ですね。
インパクトの大きさはわかりませんが、教科書的にはそうなりますね。
いずれにせよ、足もとの相場は米ドル1強。米ドルを売るのは避けたいところです。
1米ドル=135円方向へ
米ドル高の一方でゴールドも下落。
ゴールドETF(上場投資信託)からも資金が抜けており、キャッシュ化の動きが進んでいるようです。
こうした中、「1米ドル=150円」といった声も聞こえてきましたね。
【参考記事】
●米ドル/円は1米ドル=150円もあり得る!? 「2022年はFXの年!」。米長期金利に注目すれば、今年の為替は初心者にもわかりやすい!
1998年に147円で天井をつけたあとの戻り高値が135円ですから、135円近辺ではいったん止まるでしょうが、やがて140円方向へ向かうのではないでしょうか。

(出所:TradingView)
140円まで上昇となると、米長期金利(米10年債利回り)はどこまで上がっているでしょうか。
4%を超えるようだと、株式市場も大きく崩れそうですね。
金利先物市場が織り込むほどの金利上昇を、株式市場は織り込んでいないようですから、この先のどこかで大きく崩れる可能性は高いと思います。
今週の戦略はどう考えますか?
今の米ドル/円は米長期金利との相関性が極めて高い。
米長期金利は3%へしっかり乗せてきましたし、米ドル/円の押し目買いでいいでしょう。
あるいは、4月は円を抜いてニュージーランドドルが最弱通過となりましたから、ニュージーランドドル/米ドルでの戻り売りでもいいと思います。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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