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田向宏行
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エミン・ユルマズの「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」

【トルコリラ見通し】トルコリラへのスタ
ンスを弱気に変更。大統領にとって重要
なのは、インフレへの対策ではなく選挙

2022年05月11日(水)09:55公開 (2022年05月11日(水)09:55更新)
エミン・ユルマズ

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トルコのインフレは加速。それでもエルドアン大統領が金融引き締めを望まないワケ

 5月5日(木)にTUIK(トルコ統計局)は4月のCPI(消費者物価指数)を発表しました。4月のCPI上昇率は前年同月比で69.97%となり、市場コンセンサスを超えました。前月比でも上昇率は7.25%とインフレが加速しているのがわかります。また、コアCPIの上昇トレンドも続いていて、4月の上昇率は52.37%を記録しました。

トルコCPI 前年同月比
トルコCPI 前年同月比

(出所:TUIK

 今後のCPIを予想するうえでもっとも参考になるのはPPI(生産者物価指数)ですが、4月の上昇率は121.82%になり、1995年3月以来の水準に達しました。PPIの上昇はインフレの勢いが収まる気配がないことを示唆しています。

トルコPPI 前年同月比
トルコPPI 前年同月比

(出所:TUIK

 データの中身を見ると、この1年間で物価がもっとも上昇したのは、105.86%の交通・運輸と89.1%の食料品・ノンアルコール飲料です。前月比では食料品の物価上昇率が13.38%になっていて、月次では上昇率トップです。

トルコCPI (前年同月比の内訳)
トルコCPI (前年同月比の内訳)

(出所:TUIK

トルコCPI (前月比の内訳)
トルコCPI (前月比の内訳)

(出所:TUIK

 消費者物価の記録的な上昇を受け、トルコ中銀は2022年末のインフレ予想を23.2%から42.8%に上方修正しました。

 本来であれば中銀がインフレ予想を変えたら金融政策も変更して、トルコのような高インフレ国では積極的な金融引き締めに行いますが、トルコは遅くても2023年の6月までに総選挙を実施する必要があり、エルドアン大統領は選挙に不利な金融引き締めを望みません。

 トルコ中銀に独立性がないため、必要な政策を実行できないままトルコの実質金利がマイナス60%に近づきつつあります。

ラマダン祭り後のトルコリラは対米ドル・対円で下落

 先週(5月2日~)は、ラマダン祭りで市場はほとんど動きませんでしたが、今週(5月9日~)に入ってから、トルコリラは大きく動いています。

 トルコリラは対米ドル・対円でともに下げに転じていて、米ドル/トルコリラは瞬間的に15.50リラ水準まで上昇し、トルコリラ/円は8.50円を割りました。

米ドル/トルコリラ 日足
米ドル/トルコリラ 日足

(出所:TradingView

トルコリラ/円 日足
トルコリラ/円 日足

(出所:TradingView

インフレ加速と新しい景気刺激策を受け、トルコリラのスタンスを弱気に変更

 今週(5月9日~)、エルドアン大統領は住宅市場を対象にした一連の景気刺激策を発表しました。

 初めて住宅を購入する人は10年間の住宅ローンを月利0.99%(年間約13%)の金利で借りられるようになるとのことです。また、外貨預金や金(ゴールド)を売却して住宅ローンを申請した人はさらに低い金利で(月利0.89%)で借りられるとのことです。

 エルドアン大統領の支持基盤は不動産・住宅セクターなので、以前も似たような低金利住宅ローンのキャンペーンを実施したことがあります。しかし、低金利での住宅ローンの提供は、結局インフレを加速させます。

エルドアン大統領はハイパーインフレを起こしてまでも景気を刺激して選挙に勝ちたいようです。

エルドアン大統領は住宅市場を対象にした景気刺激策を発表。ハイパーインフレを起こしてまでも景気を刺激して選挙に勝ちたいとの見方も (C)Anadolu Agency/Getty Images

エルドアン大統領は住宅市場を対象にした景気刺激策を発表。ハイパーインフレを起こしてまでも景気を刺激して選挙に勝ちたいようだ (C)Anadolu Agency/Getty Images

 個人的には、年初から解散総選挙の可能性が高まっていることからトルコリラに関しては慎重な強気スタンスを維持しましたが、インフレの加速と新しい景気刺激策の発表を受け、スタンスを弱気に変更しました。

エブリシング・バブルの崩壊(エミン・ユルマズ著)
エブリシング・バブルの崩壊
エミン・ユルマズ

<内容紹介>
今後の世界経済はどのように展開していくのか?すべてがバブルと思われるほど価格が上昇したいま(2022年春)、リーマンショック以上の世界経済の崩壊(!)が近づいていることを、著者は深く懸念している。さらにサイバーセキュリティへの懸念や暗号通貨の広がりなど、グローバル化、デジタル化した世界経済ならではの、新しい問題についても警鐘を鳴らしている。
著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
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