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米ドル/円上昇力に鈍化のサインが出てきた。
上昇トレンドは頓挫しないが、高値追いはせず
押し目をゆっくり買うトレードにするべきか

2022年05月11日(水)20:54公開 (2022年05月11日(水)20:54更新)
志摩力男

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米ドル/円上昇が難しいと思わせる「サイン」が出てきた

 3月中旬ごろから始まった米ドル/円の上昇相場、2カ月弱で15円ほどと猛烈な上昇相場となりました。しかし、さすがにこのままの勢いで上昇し続けることは難しいのではないか、そう思わせる「サイン」がいくつか出てきたように見えます。

 今回は、上昇鈍化のシグナルを、まずはテクニカル面において、次はファンダメンタルズ面において見ていきたいと思います。

【テクニカル面において】

(1)ダイバージェンスの発生

 5月9日(月)、米ドル/円は131.35円の新高値を付けました。それ以前の高値は日銀金融政策決定会合後に付けた131.25円でしたが、わずか10銭更新したのみで高値を維持することができず、結局、その日は高値から1円程低いレベルで引けました。

 これまでは高値を更新すると数円動きました。利食いをはるかに上回るストップロスの買い戻しがあったからです。伸びないということは、ストップロスより、利食い売りの方が多かったからでしょう。

 RSIやMACDといったモメンタム系インディケーターのピーク値はむしろ下がっており、典型的な「ダイバージェンス」といえます。

【参考コンテンツ】
MACDとは? 売買シグナルが早く出現する、移動平均線の進化系!?

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView

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ドルインデックスは104が重要ポイント。まだ完全に突破したとは言えない微妙なところ

(2)ドルインデックスの104

 ドルインデックスの104は、多くのトレーダーが注目しているレベルです。2017年1月に103.82、2020年3月に102.99と、ドルインデックスは104近辺で大きな天井を2回打っています。それ以前は2002年まで遡らないとドルインデックスの104台はなく、ここをしっかり超えることは、次の目標が120という大きなレベルになります。

今回104.18まで上昇し、104を抜けたともいえますが、まだ突破していないとも言える微妙なところです。

 最終的に104を超える可能性は十分あるとは思いますが、重要ポイントだけに、米ドルがいったん緩んでもおかしくはないところです。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:TradingView

米国経済はある種のピーク感が出ているか。インフレ率が落ち着けば、米利上げペースも鈍化する

【ファンダメンタルズ面において】

 米ドル/円の上昇は日米両国のファンダメンタルズ格差に基づいています。今後、金利上昇が見込まれる米国に対し、日本の金利はこの先もずっと低金利であることが予想されます。日本の状況が変わることは難しいでしょう。

 しかし、絶好調の米国経済ですが、ある種のピーク感も出ているように感じます。おそらく、インフレ率は今後次第に落ち着いてくるのではないでしょうか。インフレ率が落ち着けば、米利上げペースも鈍化します。

 先日、バイデン大統領は、インフレの要因を3つ挙げました。新型コロナウイルス、サプライチェーンの混乱、そしてロシアによるウクライナ侵攻で上昇したエネルギー価格です。

 だが、そこには「ウソ」があります。本当の要因は、コロナ対策として、米政府の財政支出が大きく過ぎたからです。トランプ政権もたくさん出しましたが、それに対抗するように民主党政権も財政支出を増やしてしまったからですトランプ政権もたくさん資金を出しましたが、それに対抗するように民主党政権も資金を出してしまったからです。

 よく日本の景気が悪いのは、GDPギャップのマイナスが大きいからという説明がされます。正確な把握は難しい指標ですが、GDPギャップは20から30兆円ぐらいでしょう。

 ところが、米国は今回のコロナ対策として多額の財政支出を行なったため、GDPの10%ぐらい需要超過となりました。米国のGDPは24兆ドルなので、10%といえば300兆円ぐらい。インフレになるのは当然です。

株の上昇によるあぶく銭は消えつつある。夢を買うような投資は、冷え込むだろう

 もうひとつ大きな理由は、株価の上昇です。株の上昇であぶく銭が生まれました。

 民主党の政策はマンチン上院議員の奮闘もあり、今は止まっています。2022年の財政支出は締まってくるでしょう。そして、FRBによる金融引き締めもあり、株価がこのところ不調です。

 NYダウの下げは12%程度ですが、ナスダック総合指数は27%下げました。新興のネット株などはもっと下げています。一時もてはやされたキャシー・ウッド氏率いるARKインベストメントのETFは高値160ドル近辺から大きく下げて41ドル台と4分の1ほどになっています。

 FT(フィナンシャル・タイムズ)紙が報じたところによると、大手ヘッジファンドであるタイガーファンドは170億ドルという、ヘッジファンド業界過去最高の損失を出しました。

 夢を買うような投資は今後、冷え込むでしょう。あぶく銭は消えつつあります。株価下落がインフレ抑制にもっとも効果的ともいえます。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:TradingView

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、まだ2回しか利上げしていません。政策金利がゼロから0.75%になっただけです。しかし、市場の金利は結構上昇しています。

 米30年債利回りは3%を超えたところですが、モーゲージ金利は5%台に乗せてきました。これは、徐々に住宅価格にも効いてくるでしょう。

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米ドル/円の上昇トレンドが頓挫するとは思えないが、押し目をゆっくり買うトレーディングに変化させるべき

 ウクライナ侵攻で資源価格が急騰しましたが、高い資源価格そのものが需要を抑制する要因となります。高すぎる資源価格は景気を落ち込ませます。

 BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])が2022年第4四半期からマイナス成長になることを予想しはじめ、世界を驚かせました。これは、他の国にもいえることです。欧州と英国は年末から景気後退すると思います。米国も減速するでしょう。

 5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)のあとに、パウエル議長が慎重に0.75%利上げを排除したのは、こうした要因もあり、インフレ対策も重要だが、景気や株価を落ち込ませ過ぎないようにコントロールする必要が生まれてきたということでもあるでしょう。

 今後もあと何回か、0.50%利上げは行われるでしょうが、市場が予想するような3%台に行く前に、株価等の下落や成長低下により、米金利もそれほど上昇しなくなると思います。

 それが見えてきているので、米ドル/円も影響を受け、これまでの一方的な上昇ペースが鈍化し、横ばいの調整時期に入るのではないでしょうか。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView

上昇トレンドが頓挫するとは思いませんが、高値を追っかけて買う必要はなく、押し目をゆっくり買うトレーディングに変化させるべきでしょう。


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