米国株、暗号資産市場が急落
先週(5月9日~)の米国株市場は大幅に下落しました。
きっかけは暗号資産(仮想通貨)市場でしょうか。
米ドルに連動するステーブルコインのUSTが崩壊。
ビットコインも、1年4か月ぶりの安値となる2万5000ドル台まで下落しました。
(出所:TradingView)
5月10日(火)に発表された米大手取引所コインベースの決算も、5億ドルの大幅な赤字に転落。
リテールの取引高が半減しており、個人投資家の暗号資産離れが鮮明となっています。
もともとの地合いが悪いところへ、ステーブルコインがステーブル(安定)しなかったことで、大きな下落となりましたね。
ナスダック総合指数も、コロナショック時の安値と昨年(2021年)11月の史上最高値で引いたフィボナッチ・リトレースメントの50%ラインまで下落しました。
ITバブル崩壊時のチャートを見ると、50%押しで大きなリバウンド相場が来ています。
大きな流れは株安が続くとしても、短期的にはリバウンドしやすいところまで落ちていますね。
同感です。
週足は長い下ヒゲとなり、チャートだけで判断すれば、買いやすい形となっています。
(出所:TradingView)
株安=豪ドル/円下落は市場限定?
先週の株安が進んだ場面では円高も進み、米ドル/円も127円台半ばまで調整しました。
米長期金利(米10年債利回り)が3%を超えたことで、米国株も下落しましたが、米国株が急落すると、債券へ逃避する資金が出てきて、米長期金利が低下する。
そのため、米長期金利と相関性の高い米ドル/円も下落するという流れでしょうか。
米長期金利がこのまま2.5%といった水準まで低下するとは思いませんし、目先の目安は2.8%割れ程度でしょう。
落ち切らなければ、米ドル/円を買っていいと思います。
(出所:TradingView)
先週はクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落も強烈でした。
5月12日(木)に豪ドル/円は90円から87.30円まで急落しています。
クロス円に引っ張られて、米ドル/円が低下したという面もありませんか?
(出所:TradingView)
あると思います。
ただ、リスクオフで豪ドル/円が売られるのは「東京市場からロンドン市場前半にかけて」という市場限定でしょうか。
先週、米ドル/円が127円台につっこんだ場面でも円高というよりは米ドル高でした。
パニック・セリング的に株が売られることで、豪ドル/円が売られるのは東京市場とアーリー・ロンドン(ロンドン市場前半)が中心だと思います。
5月20日発表の日本のインフレ率は2%の予想。日本の金融政策に注目が集まりそう
今週、5月20日(金)8時30分に日本の全国CPI(消費者物価指数)が発表されます。
日銀がターゲットとする2%(前年同月比)に達する予想で、注目が集まりそうですね。
米ドル/円は129.50円のレジスタンスが重いよね、といった雰囲気のなかで、2%を超える数字が出てくると効いてくる可能性はありますね。
今日、5月16日(月)の午前中には、次期日銀総裁として名前が挙がっている中曽(前日銀副総裁)さんが金融政策の正常化をほのめかして、円高となる場面がありました。
中曽発言でこれだけ動くということは、日本の金融政策への注目度が高まっているようですね。
(出所:TradingView)
週末には豪州で総選挙も控えています。
世論調査では与党が劣勢。政権交代の可能性も高まっています。
また、注目しているのが軍事的中立の立場だったフィンランドのNATO加盟申請。
ロシアのウクライナ侵攻はNATO(北大西洋条約機構)加盟がきっかけでした。
「次はフィンランドか」との思惑も出てくるかもしれません。
為替市場から見れば、ユーロにとっていい材料ではありません。
ユーロ/円の戻り売りか、127円台の米ドル/円を買い
今週の戦略はどう考えますか?
ECB(欧州中央銀行)やRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が利上げへと向かっても、米国の利上げの前では影響が薄れてしまう。
ユーロ/米ドルが反発するのは、パリティの1.00ドルを割ってからではとの予想も出ており、短期的にはユーロ/円の戻り売りがよさそうです。
あるいは、127円台までつっこむ場面があれば、米ドル/円を買ってもいいでしょう。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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