S&P500、99年ぶりの8週連続下落
米国株の下落が止まりませんね。
S&P500は8週連続の下落。99年ぶりのことだそうです。
(出所:TradingView)
米国株市場は1月から3月にかけて乱高下しましたが、4月以降は一方的に落ちるだけ。
ナスダック総合指数も7週続落です。
株価の下落に対し、為替市場は当初「リスクオフの米ドル買い」で反応しましたが、先週(5月16日~)は米ドル全面安です。
(出所:TradingView)
米ドル売りとなったのは、米金利低下の影響でしょうか?
【参考記事】
●ユーロ/円の戻り売りが短期的に良さそう。ユーロ/米ドルの反発は1.00ドルを割れてから!? 米ドル/円は、127円台なら買い(5月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
米国人の貯蓄率は33%から6%へ急降下
景気後退懸念の高まりを債券市場が織りこみ始めて、それが米ドル/円にも影響しているのではないか、という印象もあります。
米長期金利(米10年債利回り)は3.2%を超えられず、もう2.8%まで下げてきましたね。
(出所:TradingView)
米金利は意外と上がらないのではとの見方も出ていますね。
米国株市場では個人の信用買いがまだ高水準のままですから、手仕舞いの動きで一段安となれば、米金利は上がりにくい。
個人の貯蓄率も、2020年4月のピーク時に33%だったのが6%台まで低下しました。
購買力が低下し、インフレがピークを越えた可能性もあります。
米金利の上昇がここまでとなれば、米ドル/円の上値も重たいということになります。
短期的にはそうかもしれませんね。
その先は、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長次第となります。
景気後退への懸念に配慮して利上げペースを鈍化させるか、あるいはインフレ退治を最優先させ、株価急落や景気後退を気にせず利上げを続けるのか――。
ユーロ、7月利上げへ上昇相場の開始も
一方、欧州ではラガルドECB(欧州中央銀行)総裁が7月利上げを示唆したことでユーロが買われました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 1時間足)
ECBは2月にもタカ派転換して買われる場面がありましたが、ウクライナ侵攻でかき消されてしまいました。
本来、もっと高い水準にあるべきユーロが、ウクライナの一件で抑え込まれている印象です。
その反動もあって、いったん買われ始めると大きく上昇する可能性があります。
短期金利の動きを見ても、すでに利上げへと動いた米国やニュージーランドなどが下がっている一方、これから利上げへ動く欧州は上昇しています。
ドルストレート(米ドルが絡んだ通貨ペア)での欧州通貨買いはおもしろいかもしれませんね。
ウクライナという重しが取れると、ユーロの巻き返しがありそうですね。
日本では4月の消費者物価指数(CPI)が2%を超えてきました。
予想されていたことなので市場は反応していませんが、今後3か月、4か月と連続して2%を超えるようだと、日銀の動きにも注目が集まりそうです。
ただ見るべきは「コアコア(食料およびエネルギーを除いたCPI)」。4月は0.8%ですから、とてもインフレとはいえません。
5月以降、コアコアが上がってくるのかどうかにも注目です。
ユーロ/米ドルの押し目買いで、利上げに向けて一段高を期待
週末には豪州で総選挙が行われ、労働党が政権を獲得しましたが、為替市場の反応は限定的です。
大胆な政策転換があるわけでもないですし、メルボルンの友人に聞いても、中国に対する反感は根強く、豪政府の対中強硬姿勢にも変化はないようです。
5月22日(日)、バイデン米大統領が来日しましたが、こちらも為替に影響するようなことはなさそうですね。
米ドル/円の日足はヘッド&ショルダーとなっており、127円をクリアに割り込んでくると122円台が視野に入る形。
戻り売りでしょうか?
(出所:TradingView)
米ドル/円については125円台を下値メドとする声も多く、細かく値幅を抜いていくならいいですが、大きく狙えるかどうかはまだ判断がつきません。
今週(5月23日~)はユーロ/米ドルの押し目買いがいいのでは。
ユーロ/米ドルの月足を見ると1.0350ドルでダブルボトムを形成しつつあります。
ユーロ/豪ドルなどのユーロクロスが重いこともあり、本格上昇はまだ先かもしれませんが、利上げに向けて一段高を期待したいと思います。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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